労働衛生コンサルタント試験 2025年 労働衛生関係法令 問02

機械等に関する規制




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2人で受験勉強する医療関係者

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更する(号番号等を除く)などの修正を行いました。

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2025年度(令和7年度) 問02 難易度 機械等に関する規制は、覚えることは多いが確実に点数が取れる分野である。
労働安全衛生管理体制  3 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。(中途段階なので、今後、修正があり得る。)
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問2 次のイ~ホの機械等と当該機械等が対象となるA~Cの規制内容との組合せについて、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

機械等 規制内容
  防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 ・・・ A及びB
  再圧室 ・・・ A及びC
  透過写真撮影用ガンマ線照射装置 ・・・
  チェーンソーで排気量が40立方センチメートル以上の内燃機関を内蔵するもの ・・・ A及びB
  特定化学設備 ・・・

規制内容

A 厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないもの

B 登録型式検定機関が行う型式についての検定を受けなければならないもの

C 事業者が定期に自主検査を行わなければならないもの

(1)イ  ロ  ホ

(2)イ  ホ

(3)ロ  ハ

(4)ロ  ニ

(5)ハ  ニ  ホ

正答(2)

【解説】

問1試験結果

試験解答状況
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本問の、各ABCの規制内容について、各選択肢で該当するものは、以下のようになる。

A 厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないものは、安衛法第 42 条に定められている。具体的な内容は、同条により、安衛法別表第二及び政令(安衛令第 13 条第3項)に委任している。

本肢のイからホに関係するものとしては、安衛法別表第二の第十六号に「電動ファン付き呼吸用保護具」が定められているのみである。なお、これは安衛令第 13 条第5項により、「ハロゲンガス用又は有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具その他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具」を含まないとされている。

※ 二重否定となっているので分かりにくいが、ここで含まれないとされているのは、「ハロゲンガス用又は有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具その他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具」であるから、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具は含まれているのである。

実は、もともと電動ファン付き呼吸用保護具としては、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具だけが対象となっていたのだが、安衛令等の改正により、4種類の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具が追加されたのである。

従って、Aに該当するのは、イの防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具だけである。なお、電動ファン付き呼吸用保護具で「電動ファン付き呼吸用保護具の規格」の対象となるのは、以下のもののみである。これは、覚えておかなければならない。

  • 防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具
  • ハロゲンガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具
  • 有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具
  • アンモニア用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具
  • 亜硫酸ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

別表第二 (第四十二条関係)

一~十五 (略)

十六 電動ファン付き呼吸用保護具

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項 略)

3及び4 (略)

 次の表の上欄に掲げる機械等には、それぞれ同表の下欄に掲げる機械等を含まないものとする。

(略) (略)
法別表第二第十六号に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具 ハロゲンガス用又は有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具その他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具

【労働安全衛生規則】

(規格を具備すべき防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具)

第26条の2 令第13条第5項の厚生労働省令で定める防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具は、次のとおりとする。

 アンモニア用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具

 亜硫酸ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具

B 登録型式検定機関が行う型式についての検定を受けなければならないものは安衛法第 44 条の2第1項に定められており、具体的には同法別表第4の2に定めるもののうち政令(安衛令第 14 条の2)で定めるものとされている。

これも下記に示すように、本問の選択肢の中では、イの防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具だけが定められている。

【労働安全衛生法】

(型式検定)

第44条の2 第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。

2~7 (略)

別表第四 (第四十四条の二関係)

一~十二 (略)

十三 電動ファン付き呼吸用保護具

【労働安全衛生法施行令】

(型式検定を受けるべき機械等)

第14条の2 法第44条の2第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~十二 (略)

十三 防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具

十四 (略)

C 事業者が定期に自主検査を行わなければならないものは、安衛法第 45 条第1項に定められており、具体的な内容は政令(安衛令第 15 条第1項)に委任されている。

本問の選択肢の中で、安衛令第 15 条第1項(※)各号に定められているのは、ハの透過写真撮影用ガンマ線照射装置とホの特定化学設備のみである。

※ なお、第一号については、条文を注意深く読んでいただければお分かりいただけるが、本問の選択肢は、いずれも含まれていない。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項 略)

 法第42条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~十九 (略)

二十 再圧室

二十一及び二十二 (略)

二十三 ガンマ線照射装置(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第四項に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)

二十四~二十八 (略)

二十九 チェーンソー(内燃機関を内蔵するものであつて、排気量が四十立方センチメートル以上のものに限る。)

三十~三十四 (略)

4及び5 (略)

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

 第12条第1項各号に掲げる機械等、第13条第3項第五号、第六号、第八号、第九号、第十四号から第十九号まで及び第三十号から第三十四号までに掲げる機械等、第十四条第二号から第四号までに掲げる機械等並びに前条第十号及び第十一号に掲げる機械等

二~九 (略)

 特定化学設備(別表第三第二号に掲げる第二類物質のうち厚生労働省令で定めるもの又は同表第三号に掲げる第三類物質を製造し、又は取り扱う設備で、移動式以外のものをいう。)及びその附属設備

十一 ガンマ線照射装置で、透過写真の撮影に用いられるもの

 (略)

従って、本問の選択肢の中は、それぞれ、以下のものに該当する。

イ 防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具 A(構造規格)及びB(型式検定)

ロ 再圧室 いずれも該当しない。

ハ 透過写真撮影用ガンマ線照射装置 C(定期自主検査)

ニ チェーンソーで排気量が 40 立方センチメートル以上の内燃機関を内蔵するもの いずれも該当しない。

ホ 特定化学設備 C(定期自主検査)

2025年11月29日執筆