問26 危険又は有害な業務で、労働者を就かせるときに当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育(以下「特別教育」という。)を行わなければならない業務と、当該特別教育において教育を行う科目に含まれる範囲に関する次のイ~ニの組合せについて、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
| 特別教育を行わなければならない危険又は有害な業務 | 当該特別教育において教育を行う科目に含まれる範囲 | ||
|---|---|---|---|
| イ | ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務 | ・・・ | 放射性物質によって汚染された設備の汚染の除去の方法 |
| ロ | 再圧室を操作する業務 | ・・・ | 人工蘇生法 |
| ハ | 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検の業務 | ・・・ | 洗身及び身体等の清潔の保持の方法 |
| ニ | チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務 | ・・・ | 振動障害の予防措置 |
(1)イ ロ ハ ニ
(2)イ ロ ハ
(3)イ ロ ニ
(4)イ ハ ニ
(5)ロ ハ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
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| 2025年度(令和07年度) | 問26 | 難易度 | 特別教育規定の科目の範囲に関する問題。内容の妥当性から判断するしかないだろう。 |
|---|---|---|---|
| 特別教育の科目の範囲 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問26 危険又は有害な業務で、労働者を就かせるときに当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育(以下「特別教育」という。)を行わなければならない業務と、当該特別教育において教育を行う科目に含まれる範囲に関する次のイ~ニの組合せについて、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
| 特別教育を行わなければならない危険又は有害な業務 | 当該特別教育において教育を行う科目に含まれる範囲 | ||
|---|---|---|---|
| イ | ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務 | ・・・ | 放射性物質によって汚染された設備の汚染の除去の方法 |
| ロ | 再圧室を操作する業務 | ・・・ | 人工蘇生法 |
| ハ | 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検の業務 | ・・・ | 洗身及び身体等の清潔の保持の方法 |
| ニ | チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務 | ・・・ | 振動障害の予防措置 |
(1)イ ロ ハ ニ
(2)イ ロ ハ
(3)イ ロ ニ
(4)イ ハ ニ
(5)ロ ハ ニ
正答(5)
【解説】
特別教育において教育を行う科目に含まれる範囲は、「安全衛生特別教育規程」(昭和47年9月30日労働省告示第92号/最終改正:令和6年6月3日厚生労働省告示第213号)などに定められていることである。
該当する特別教育の講師を務めているか、特別教育関係の仕事でもしていない限り、この内容を覚えていることはないだろう。内容が妥当かどうか(その範囲のことをその業務に従事する者に教える必要があるかどうか)で判断するしかない。
とは言え、何を教える必要があるかは人によって考え方は異なる。そのため、実際には、ほとんど偶然に頼ることとなろう。このような問題が、コンサルタント試験として相応しいのだろうか。
イ 適切ではない。「エックス線装置及びガンマ線照射装置取扱業務特別教育規程」(昭和50年6月26日労働省告示第50号/最終改正:令和7年10月29日厚生労働省告示第287号)の表に「放射性物質によって汚染された設備の汚染の除去の方法」に関する記述はない。
実質的に考えても、ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に従事する者に、放射性物質によって汚染された設備の汚染の除去の方法まで教える必要はないだろう。それは専門の業者に任せるべき事項である。
【労働安全衛生法】
(安全衛生教育)
第59条 (第1項及び第2項 略)
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
【労働安全衛生規則】
(特別教育を必要とする業務)
第36条 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
一~二十七 (略)
二十八 エツクス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務
二十八の二~四十一 (略)
【電離放射線障害防止規則】
(透過写真撮影業務に係る特別の教育)
第52条の5 事業者は、エツクス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、特別の教育を行わなければならない。
一~四 (略)
2 安衛則第37条及び第38条並びに前項に定めるほか、同項の特別の教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
【ガンマ線照射装置取扱業務特別教育】
エックス線装置及びガンマ線照射装置取扱業務特別教育規程
電離放射線障害防止規則第52条の5第1項の規定による特別の教育は、学科教育により、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に定める範囲について同表の下欄に定める時間以上行うものとする。
※ 厚生労働省「エックス線装置及びガンマ線照射装置取扱業務特別教育規程」(昭和50年6月26日労働省告示第50号/最終改正:令和7年10月29日厚生労働省告示第287号)より
科目 範囲 時間 エックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務に係る作業の方法に関する知識 作業の手順 電離放射線の測定 被ばく防止の方法 事故時の措置 1時間30分 エックス線装置又はガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 エックス線装置を取り扱う業務を行う者にあつては、次に掲げるもの
エックス線装置の原理 エックス線装置のエックス線管、高電圧発生器及び制御器の構造及び機能 エックス線装置の操作及び点検
1時間30分 ガンマ線照射装置を取り扱う業務を行う者にあつては、次に掲げるもの
ガンマ線照射装置の種類及び型式 線源容器の構造及び機能 放射線源送出し装置又は放射線源の位置を調整する遠隔操作装置の構造及び機能 放射線源の構造及び放射性物質の性質 ガンマ線照射装置の操作及び点検
1時間30分 電離放射線の生体に与える影響 電離放射線の種類及び性質 電離放射線が生体の細胞、組織、器官及び全身に与える影響 30分 関係法令 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)及び電離放射線障害防止規則中の関係条項 1時間
ロ 適切である(高気圧業務特別教育規程第5条の表により、再圧室を操作する業務に就く者に対する特別教育では、人工蘇生法に関する知識を教育しなければならない。
本肢の正誤を判断するには、ガンマ線照射装置を取り扱う者が、救急蘇生の方法を知っている必要があるかどうかが問題となる。ところが、放射線を被ばくした場合の初期症状(前駆症状)は、環境省の「急性放射線症候群の前駆症状と被ばく線量」(※)にもあるように、よほどの大量被ばくでもない限り、それほど重大なものではない。
※ このサイトの表は、IAEA/WHO Safety Reports Series No.2 からの引用である。なお、JCO臨界事故の初期治療に関する記録が、鈴木元「JCO臨界事故患者の初期治療」(保健物理 Vol.35 No.1 2000年)に詳しく記されている。
また、大量の被ばくをして重度の急性症状がでた被爆者に対して、再圧室を操作する業務に従事する者が、特別教育の講習を受けた程度で適切な救急措置ができるとも思えない。もっとも、JCO臨界事故では、意識を失って体を硬直させている被災者に対して、他の労働者が被災者の口をこじ開けて割り箸を噛ませ、呼吸ができるようにしている。
従って、ガンマ線照射装置を取り扱う者が、救急蘇生の方法を知っている必要があるのかについて、迷う受験者が多いのではないかと思えた。しかし、実際には、ロがないのは(4)だけだが、(4)を選んだ受験者はそれほど多くはなかった。
【労働安全衛生法】
(安全衛生教育)
第59条 (第1項及び第2項 略)
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
【労働安全衛生規則】
(特別教育を必要とする業務)
第36条 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
一~二十三 (略)
二十四 再圧室を操作する業務
二十四の二~四十一 (略)
【高気圧作業安全衛生規則】
(特別の教育)
第11条 事業者は、次の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、当該業務に関する特別の教育を行わなければならない。
一~四 (略)
五 再圧室を操作する業務
六 (略)
2 前項の特別の教育は、次の表の上欄に掲げる業務に応じて、同表の下欄に掲げる事項について行わなければならない。
| 業務 | 教育すべき事項 |
|---|---|
| (略) | (略) |
| 再圧室を操作する業務 |
一及び二 (略) 三 救急そ生法に関すること。 四及び五 (略) |
| (略) | (略) |
3 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第37条及び第38条並びに前項に定めるもののほか、同項の特別の教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
【高気圧業務特別教育規程】
(再圧室を操作する業務に係る特別教育)
第5条 高圧則第11条第1項第五号に掲げる業務に係る特別の教育は、次の表の上欄に掲げる教育すべき事項に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。
※ 厚生労働省「高気圧業務特別教育規程」(昭和47年9月30日労働省告示第129号/最終改正:昭和56年4月10日厚生労働省告示第37号)より
教育すべき事項 範囲 時間 (略) (略) (略) 救急そ生法に関すること。 人工呼吸法 人工そ生法 2時間 (略) (略) (略)
ハ 適切である。安全衛生特別教育規程第 21 条第2項の表により、廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検の業務に従事する者の特別教育においては、洗身及び身体等の清潔の保持の方法についての教育を行わなければならない。
これは、作業者がダイオキシンの含まれる粉じんを吸引したり、作業場の外へ出た後で周囲の者(本人以外のものが作業衣の洗濯をするのであれば、その者も含まれる)汚染物質を吸引したりしないために必要なことであるから、やはり教育を行う必要はあろう。
【労働安全衛生法】
(安全衛生教育)
第59条 (第1項及び第2項 略)
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
【労働安全衛生規則】
(特別教育を必要とする業務)
第36条 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
一~三十四 (略)
三十五 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務
三十六~四十一 (略)
(特別教育の細目)
第39条 前2条及び第592条の7に定めるもののほか、第36条第一号から第十三号まで、第二十七号、第三十号から第三十六号まで及び第三十九号から第四十一号までに掲げる業務に係る特別教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
【安全衛生特別教育規程】
(廃棄物の焼却施設に関する業務に係る特別教育)
第21条 安衛則第36条第34号から第36号までに掲げる業務に係る特別教育は、学科教育により行うものとする。
2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。
※ 厚生労働省「安全衛生特別教育規程」(昭和47年9月30日労働省告示第92号/最終改正:令和6年6月3日厚生労働省告示第213号)より
科目 範囲 時間 (略) (略) (略) 作業の方法及び事故の場合の措置 作業の手順 ダイオキシン類のばく露を低減させるための措置 作業環境改善の方法 洗身及び身体等の清潔の保持の方法 事故時の措置 1.5時間 (略) (略) (略)
ニ 適切である。安全衛生特別教育規程第 10 条第2項の表により、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務を行うものに対する特別教育においては、振動障害の予防措置について教育する必要がある。
これは、作業者が振動病に罹患しないようにするためのものであり、作業者が知っておかなければならない事項であるから、やはり教育を行う必要はあろう。
【労働安全衛生法】
(安全衛生教育)
第59条 (第1項及び第2項 略)
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
【労働安全衛生規則】
(特別教育を必要とする業務)
第36条 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
一~七の二 (略)
八 チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務
九~四十一 (略)
(特別教育の細目)
第39条 前2条及び第592条の7に定めるもののほか、第36条第一号から第十三号まで、第二十七号、第三十号から第三十六号まで及び第三十九号から第四十一号までに掲げる業務に係る特別教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
【安全衛生特別教育規程】
(伐木等の業務に係る特別教育)
第10条 安衛則第36条第八号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。
2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。
科目 範囲 時間 (略) (略) (略) 振動障害及びその予防に関する知識 振動障害の原因及び症状 振動障害の予防措置 2時間 (略) (略) (略) 3 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生特別教育規程」(昭和47年9月30日労働省告示第92号/最終改正:令和6年6月3日厚生労働省告示第213号)より





