労働衛生コンサルタント試験 2025年 労働衛生一般 問23

SDSの対象となるもの




問題文
トップ
月桂冠とEXPERTの文字を支える手

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2025年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2025年度(令和07年度) 問23 難易度 SDSの交付義務の対象は基本的な事項である。正答できなければならない。
SDSの対象  2 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問23 次のイ~ホの製品等について、当該製品等に労働安全衛生法令に基づく通知対象物が地切値以上の含有量で含まれているとき、当核製品等を提供する者がその提供の担手側に安全データシー ト(SDS) を交付する対象となるもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 原材料としての適否を判断するために提供する少量の試供品

ロ 飲食店向けに販売される酒類

ハ ホームセンターで販売される業務用の洗剤

ニ 業務用の印刷に用いるトナーカートリッジ

ホ 乾電池を内蔵した電子機器

(1)イ  ロ  ハ

(2)イ  ロ  ホ

(3)イ  ハ  ニ

(4)ロ  ニ  ホ

(5)ハ  ニ  ホ

正答(3)

【解説】

問23試験結果

試験解答状況
図をクリックすると拡大します

本問は、厚労省のサイト「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS 関係)」からの設問である。

SDSの公布義務は、労働安全衛生法第57条の2によって義務付けられているが、同条は「主として一般消費者の生活の用に供される製品」については義務を外している(※)

※ 安衛法はあくまでも労働者(最近では「働く人」に範囲が広がっているが)の安全と健康の確保や職場環境の改善等を目的とする法令なので、このような除外規定を置いているのである。

当然のことだが、主として一般消費者の生活の用に供される製品を職場において使用する場合であっても、SDSの交付義務はない。

従って、各肢が「一般消費者の生活の用」に供するものであればSDSの対象ではなく、そうでなければ、たとえ少量のものや試験研究用のものであったとしても対象となるのである。そこだけを判断すればよい。

イ 対象となる。法令上、原材料としての適否を判断するために提供する少量の試供品であったとしても、SDSの公布義務を除外するという規定はない。

【労働安全衛生法】

(文書の交付等)

第57条の2 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第56条第1項の物(以下この条及び次条第1項において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第2項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

一~七 (略)

2及び3 (略)

これについては、化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)にも明示されている。

【試供品のSDS交付義務】

対象範囲

Q5-1.少量の試験研究用の物やサンプルとして提供する物もラベル表示及びSDSの交付の対象になるか。

 ラベル表示及び SDS の交付については、安衛法令上、取扱量による適用除外はありませんので、たとえ研究目的、少量又はサンプル提供であっても、ラベル表示及びSDSの交付が必要です。

※ 厚生労働省サイト「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係) Q5-1)」より

ロ 対象とならない。飲食店向けに販売される酒類は、安衛法第 57 条の2の「主として一般消費者の生活の用に供される製品」に該当し、SDS交付義務の対象とはならない。

これについては、化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)のQ6-2にも明記されている。

【飲食店向けに販売される酒類のSDS交付義務】

一般消費者の生活の用

Q6-2.エタノール等を含む食品に表示及び通知対象物を含有している場合にも、ラベル表示又はSDSの交付は必要か。

 一般消費者に提供されるもの(そのまま店頭に並ぶもの)、飲食店向けに販売される酒類、食品工場向けに販売される味噌、醤油、たれなど、食品として喫食できる段階のものについては、主として一般消費者の生活の用に供するための容器若しくは包装又は製品に該当し、ラベル表示又はSDSの交付義務の対象から除外されます。

  ただし、食品製造段階で使用される添加材、保存料、香料等については、それら化学物質類が製造工程中に作業者にばく露する可能性が考えられますので、ラベル又はSDSによる情報提供が必要となります。

  なお、次の資料で、食品用途における適用除外の例が示されていますので、ご参照ください。

 <一般消費者の生活の用に供するための製品(適用除外)の例>

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/tekiyoujogai.pdf

※ 厚生労働省サイト「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係) Q6-2)」より

ただし、酒類の工場に対して出荷される酒類の原料については、その工場で酒類の原料が希釈されるのであれば、SDSの交付義務の対象となることに留意すること。

【工場向けに卸される酒類の原料のSDS交付義務】

第3 改正政令及び改正省令に係る細部事項

1 表示対象物の範囲の拡大等について(法第57条、令第18条関係)

(2)法第57条ただし書の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」には、以下のものが含まれるものであること。

ア~エ (略)

 一般消費者のもとに提供される段階の食品。ただし、水酸化ナトリウム、硫酸、酸化チタン等が含まれた食品添加物、エタノール等が含まれた酒類など、表示対象物が含まれているものであって、譲渡・提供先において、労働者がこれらの食品添加物を添加し、又は酒類を希釈するなど、労働者が表示対象物にばく露するおそれのある作業が予定されるものについては、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」には該当しないこと

※ 厚生労働省「労働安全衛生法施行令及び厚生労働省組織令の一部を改正する政令等の施行について(化学物質等の表示及び危険性又は有害性等の調査に係る規定等関係))」(平成27年8月3日基発0803第2号/最終改正:平成27年9月30日基発0930第9号)より(下線強調引用者)

ハ 対象となる。ホームセンターで販売される業務用の洗剤は、一般消費者が購入可能であったとしても、その使用の目的は業務用であるから、「一般消費者の生活の用」に供するものとはいえない(※)

※ 令和4年2月24日基発0224第1号によって改正された平成27年8月3日基発0803第2号によって、「業務用洗剤等の業務に使用することが想定されている製品」は、「一般消費者の生活の用」とはいえないとされている。

なお、安全衛生情報センターに掲示されている平成27年8月3日基発0803第2号は、改正前のものなので、ここには 令和4年2月24日基発0224第1号を示している。

【業務用の洗剤のSDS交付義務】

第4 関係通達の改正

  ラベル表示及びSDS交付の義務対象から除外される法第57条第1項ただし書の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」及び法第57条の2第1項ただし書の「主として一般消費者の用に供される製品」の範囲を明確化するため、平成27年8月3日付け基発0803第2号の記の第3の1(2)を次のとおり改める。

(2) 法第57条第1項ただし書の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」及び法第57条の2第1項ただし書の「主として一般消費者の用に供される製品」には、以下のものが含まれるものであること。

ア~オ (略)

 家庭用品品質表示法(昭和37年法律第104号)に基づく表示がなされている製品、その他一般消費者が家庭等において私的に使用することを目的として製造又は輸入された製品。いわゆる業務用洗剤等の業務に使用することが想定されている製品は、一般消費者も入手可能な方法で譲渡又は提供されているものであっても、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」、「主として一般消費者の用に供される製品」には該当しないこと

※ 厚生労働省「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行について)」(令和4年2月24日基発0224第1号)より(下線強調引用者)

なお、これについては、化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)のQ6-3にも明記されている。

【ホームセンターで販売される業務用の洗剤のSDS交付義務】

一般消費者の生活の用

Q6-3.一般家庭用の洗剤等もラベル表示やSDS交付の対象になるか。

 家庭用品品質表示法に基づく表示がなされている製品、その他一般消費者が家庭等において私的に使用することを目的として製造又は輸入された製品であれば、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」および「主として一般消費者の用に供される製品」に該当するため、ラベル表示及びSDS交付義務の対象から除外されます。

  しかしながら、業務用洗剤等のように業務に使用することが想定されている製品は、スーパーやホームセンター、一般消費者も入手可能な方法で譲渡・提供されているものであっても上記除外には該当しないため、ラベル表示及びSDS交付義務の対象となります。

※ 厚生労働省サイト「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係) Q6-3)」より

ニ 対象となる。業務用の印刷に用いるトナーカートリッジは、あくまでも業務用であるから、SDSの対象となる。

なお、これについては、化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)のQ5-4にも明記されている。

【業務用の印刷に用いる トナーカートリッジのSDS交付義務】

対象範囲

Q5-4.業務用の印刷に用いるトナーカートリッジはラベル表示及びSDSの交付の対象か。

 業務用の印刷に用いるトナーカートリッジは使用の過程で内容物が放出されますので、ラベル表示及びSDSの交付が除外される「対象物が密封された状態で取扱われる製品」等の一般消費者の生活の用に供するためのものとは言えません。

  そのため、当該トナーカートリッジ内容物の成分に表示又は通知対象物が含まれている場合は、ラベル表示及びSDSの交付の対象となります。

※ 厚生労働省サイト「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係) Q5-4)」より

ホ 対象とならない。乾電池を内蔵した電子機器は、そもそも乾電池そのものが、主として一般消費者の生活の用に供するためのものに該当するため、SDSの交付義務はない。

なお、これについては、化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)のQ6-1にも明記されている。

【乾電池を内蔵した電子機器のSDS交付義務】

一般消費者の生活の用

Q6-1.ラベル表示又はSDSの交付の義務の対象外となる「(容器又は包装のうち)主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」又は「一般消費者の生活の用に供される製品」とはどのようなものか。

 ラベル表示では「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」、SDS交付では「主として一般消費者の用に供される製品」についてが義務の対象外となっています。

  この「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」および「主として一般消費者の用に供される製品」には、以下のものが含まれます。

 (略)

 表示対象物が密封された状態で取り扱われる製品(電池など)

 (略)

※ 厚生労働省サイト「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係) Q6-1)」より