問18 検知管に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)共存ガスによる妨害は、その種類、濃度により一様ではなく、測定値にプラス又はマイナスの影響を及ぼす場合がある。
(2)検知管の測定値は温度によって影響を受けるので、変色層の長さから濃度を読み取った後、温度補正を行う。
(3)検知管の変色層が斜めに現れたときは、変色した部分の最先端を変色の長さとし、濃度を決定する。
(4)作業環境測定のB測定において3本の検知管を用いて測定を行うとき、3本目の検知管の測定中に最初の測定の開始から 10 分を経過した場合でも、三つの測定値の算術平均値をB測定値とする。
(5)有機溶剤混合物について、2年以上の期間、作業環境測定結果の評価で第一管理区分が継続した単位作業場所については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた上で、定められた方法により当該有機溶剤の濃度の測定に検知管を用いることができる。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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| 2025年度(令和07年度) | 問18 | 難易度 | さすがにほとんどの受験者にとって難問だっただろう。作業環境測定士でもなければ正答は困難か。 |
|---|---|---|---|
| 検知管 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問18 検知管に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)共存ガスによる妨害は、その種類、濃度により一様ではなく、測定値にプラス又はマイナスの影響を及ぼす場合がある。
(2)検知管の測定値は温度によって影響を受けるので、変色層の長さから濃度を読み取った後、温度補正を行う。
(3)検知管の変色層が斜めに現れたときは、変色した部分の最先端を変色の長さとし、濃度を決定する。
(4)作業環境測定のB測定において3本の検知管を用いて測定を行うとき、3本目の検知管の測定中に最初の測定の開始から 10 分を経過した場合でも、三つの測定値の算術平均値をB測定値とする。
(5)有機溶剤混合物について、2年以上の期間、作業環境測定結果の評価で第一管理区分が継続した単位作業場所については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた上で、定められた方法により当該有機溶剤の濃度の測定に検知管を用いることができる。
正答(3)
【解説】
本問は、実際に検知管を使用したことがあるか、検知管の使用方法についての研修(※)を受けたことがなければ正答は難しいだろう。事実、正答率は極めて低かった。
※ 中災防で、医師向けの研修(日医認定産業医制度指定研修会)で、検知管の使用方法について実習を伴う研修を行っている例がある。
ただ、労働衛生コンサルタントの試験として、具体的な検知管の使用方法を問うことが適切かについてはやや疑問も感じる。本来、コンサルタントは、どのような場合に検知管を使用するべきかを適切に判断し、また、そのメリットとデメリットを熟知していることが必要なのであって、具体的に検知管を読む方法を知っている必要まではないのではないだろうか。
なお、検知管の使用方法については、厚生労働省「検知管を用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック」(以下「簡易測定ガイドブック」という。)を参照されたい。
(1)正しい。簡易測定ガイドブックによれば、共存ガスによる影響は、その種類や濃度により様々で、測定結果に対しプラスに作用する場合やマイナスに作用する場合以外にも、変色の境界を不鮮明にする場合や異なった変色を示すなどの影響があるとされている。
【共存ガスによる影響】
実践編
5.検知管を用いた測定のポイント
5.2.検知管指示値の誤差について
④ 共存ガスの影響による誤差
(略)
共存ガスによる影響は、その種類や濃度により様々で、測定結果に対しプラスに作用する(実際の濃度より高い結果となる)場合やマイナスに作用する(実際の濃度より低い結果となる)を与える場合以外にも、変色の境界を不鮮明にする場合や異なった変色を示すなどの影響があります。
(略)
※ 厚生労働省「検知管を用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック」(みずほ情報総研株式会社)
(2)正しい。検知管は、温度の変化による物理的吸着力の変化や反応速度の変化などにより、指示値に影響を受けるものがある。このため、補正係数または補正表を用いて温度補正が必要となる場合がある。温度補正の具体的な方法については、高知産業保健総合支援センターの「検知管用ガス採取器と検知管の使い方」に詳細な説明がある。
【温度補正】
実践編
5.検知管を用いた測定のポイント
5.3.検知管の説明書と安全上の注意事項
① 検知管の説明書の読み方
検知管は、主に下記の項目から構成されています。記載内容について不明点等があれば、メーカーに直接問い合わせてください。
※ 厚生労働省「検知管を用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック」(みずほ情報総研株式会社)(表の配色は原文と異なる)
No. 項目 説明 (略) (略) (略) 13 環境の影響 検知管の測定結果は、温度や湿度の影響を受けるものがある。その場合、真の濃度は、記載されている係数または表に従って補正して求める。 (略) (略) (略)
(3)誤り。検知管の変色層が斜めに現れたときは、斜め部分の中間を読み取るのが正しい読み方である。
【共存ガスによる影響】
実践編
3.検知管を用いたリスクアセスメント手法
3.5. 【STEP 5】測定結果の評価とリスクの判定
① 測定結果の読み取り
検知管は、取り込んだ化学物質(気体)に対し、検知管内に充填されている検知剤が化学物質と化学反応を起こし、色の変化として濃度の目盛上に現れるものです。
● 目盛の読み取りかたの例
変色層先端が平らな場合 変色層先端が斜めの場合 変色層先端の色が淡い場合※ 変色層先端の数値を読み取る
この場合は、測定結果「5」
斜め部分の中間を読み取る
この場合は、4と6の中間で測定結果「5」
淡い変色層の先端と濃い変色層の中間を読み取る
この場合は、4と6の中間で測定結果「5」
※ 図をクリックすると拡大します
※ メーカーによって、目盛の読み取りかたが異なるため、詳細は取扱い説明書を参照
※ 厚生労働省「検知管を用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック」(みずほ情報総研株式会社)
(4)正しい。B測定のサンプリング時間は継続した 10 分間であるが、検知管を用いてB測定を行う場合には5本程度の検知管を用い、5本の測定を終えないうちに 10 分が経過したときは、その時点で測定している検知管の測定値までの算術平均値をB測定値とする。
本問では、本肢を誤っているとして選んだ受験者が最も多かった。おそらく、作業環境評価基準の第2条第1項第二号のB測定の定義に、「2以上の測定点においてB測定を実施した場合には、そのうちの最大値
」とあることから、本肢の「測定している検知管の測定値までの算術平均値」を誤りと考えたものであろう。
しかし、作業環境評価基準第2条は、B測定を複数の場所でサンプリングした場合のことである。B測定は気中濃度が最大になる場所で測定するものであるから、この場合に最大のものを採用するのは当然である。
ところが、本肢の場合はあくまでも、ひとつのサンプリングを行う場合のことである。作業環境測定基準第2条(※)第1項第三号は、
※ 作業環境評価基準第2条は、粉じんの濃度の測定の場合であるが、本条の測定の考え方は化学物質の場合にも準用されている。「一の測定点における試料空気の採取時間は、10分間以上の継続した時間とすること
」とされている。従って、10分間の平均を求めなければならないのである。
【作業環境測定基準】
(粉じんの濃度等の測定)
第2条 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第21条第一号の屋内作業場における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度の測定は、次に定めるところによらなければならない。
一~二 (略)
二の二 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの発散源に近接する場所において作業が行われる単位作業場所にあっては、前三号に定める測定のほか、当該作業が行われる時間のうち、空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度が最も高くなると思われる時間に、当該作業が行われる位置において測定を行うこと。
三 一の測定点における試料空気の採取時間は、10分間以上の継続した時間とすること。ただし、相対濃度指示方法による測定については、この限りでない。
四 (略)
2~4 (略)
【作業環境評価基準】
(測定結果の評価)
第2条 労働安全衛生法第65条の2第1項の作業環境測定の結果の評価は、単位作業場所(作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)第2条第1項第一号に規定する単位作業場所をいう。以下同じ。)ごとに、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号の表の下欄に掲げるところにより、第一管理区分から第三管理区分までに区分することにより行うものとする。
一 (略)
二 A測定及びB測定(作業環境測定基準第2条第1項第二号の二の規定により行う測定(作業環境測定基準第10条第4項、第10条の2第2項、第11条第2項及び第13条第4項において準用する場合を含む。)をいう。以下同じ。)を行った場合
| 管理区分 | 評価値又はB測定の測定値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果 |
|---|---|
| 第一管理区分 | 第一評価値及びB測定の測定値(2以上の測定点においてB測定を実施した場合には、そのうちの最大値。以下同じ。)が管理濃度に満たない場合 |
| 第二管理区分 | 第二評価値が管理濃度以下であり、かつ、B測定の測定値が管理濃度の一・五倍以下である場合(第一管理区分に該当する場合を除く。) |
| 第三管理区分 | 第二評価値が管理濃度を超える場合又はB測定の測定値が管理濃度の一・五倍を超える場合 |
| 管理区分 | 評価値又はB測定の測定値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果 |
|---|---|
| 第一管理区分 | 第一評価値及びB測定の測定値(2以上の測定点においてB測定を実施した場合には、そのうちの最大値。以下同じ。)が管理濃度に満たない場合 |
| 第二管理区分 | 第二評価値が管理濃度以下であり、かつ、B測定の測定値が管理濃度の一・五倍以下である場合(第一管理区分に該当する場合を除く。) |
| 第三管理区分 | 第二評価値が管理濃度を超える場合又はB測定の測定値が管理濃度の一・五倍を超える場合 |
2~4 (略)
(5)正しい。作業環境測定基準第10条第3項により、有機溶剤混合物について、2年以上の期間、作業環境測定結果の評価で第一管理区分が継続した単位作業場所については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた上で、定められた方法により当該有機溶剤の濃度の測定に検知管を用いることができる。
【作業環境測定基準】
(特定化学物質の濃度の測定)
第10条 (第1項及び第2項 略)
3 前2項の規定にかかわらず、前項各号に掲げる物又は令別表第三第二号3の3、18の3、18の4、19の2、19の3、22の3若しくは33の2(前項第五号、第七号又は第九号から第十一号までに掲げる物のいずれかを主成分とする混合物として製造され、又は取り扱われる場合に限る。)について、特化則第36条の2第1項の規定による測定結果の評価が2年以上行われ、その間、当該評価の結果、第一管理区分に区分されることが継続した単位作業場所については、当該単位作業場所に係る事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)の許可を受けた場合には、当該特定化学物質の濃度の測定は、検知管方式による測定機器又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いる方法によることができる。この場合において、当該単位作業場所における一以上の測定点において第1項に掲げる方法を同時に行うものとする。
4~9 (略)





