労働衛生コンサルタント試験 2025年 労働衛生一般 問14

過重労働対策




問題文
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月桂冠とEXPERTの文字を支える手

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2025年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2025年度(令和07年度) 問14 難易度 過去に類問はないが、正答率は高かった。内容は基本的なものであり、正答できなければならない。
過重労働  3 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

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問14 厚生労働省の「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」に関する次のイ〜ニの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 時間外・休日労働時間が1か月当たり 45 時間を超える労働者で、健康への配慮が必要と認めた者については、面接指導等の措置を講ずることが望ましい。

ロ 面接指導等により労働者のメンタルヘルス不調が把握された場合は、面接指導を行った医師、産業医等の助言を得ながら必要に応じ精神科医等と連携を図りつつ対応する。

ハ 常時 50 人未満の労働者を使用する事業場における面接指導等については、近隣に専門的知識を有する医師がいない等の理由により、事業者が自ら医師を選任し、面接指導を実施することが困難な場合には、地域産業保健センターの活用を図る。

ニ 過重労働による業務上の疾病を発生させたときは、労働時間の管理状況、労働時間及び勤務の不規則性、健康診断及び面接指導の結果等について、多角的に原因の究明を行う。

(1)イ  ロ  ハ  ニ

(2)イ  ロ  ハ

(3)イ  ロ  ニ

(4)イ  ハ  ニ

(5)ロ  ハ  ニ

正答(1)

【解説】

問14試験結果

試験解答状況
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本問は、問題文にもあるように「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日基発第0317008号/最終改正:令和2年4月1日基発0401第11号雇均発0401第4号)の別添。以下「過労死防止措置」という。)からの出題である。

意外に思われるかもしれないが、本サイトが解説を掲示している 2012 年度以降この問題まで、過重労働に関する問題は 2023年度の問 10 の1回しか出題されておらず、しかもテレワークにおける長時間労働についての問題であった。

ただ、今回の問題の内容はかなり初歩的なものである。ロ、ハ及びニは誤っていると考える余地がなく、適切であることが明白である。迷うとすればイであるが、国は法定外労働時間が 45 時間未満であれば、健康への影響はないとしており、そのことを知ってれば正答できるだろう。

イ 適切である。「過労死防止措置」の5の(2)のウの(ア)のcに、時間外・休日労働時間が1か月当たり 45 時間を超える労働者で、健康への配慮が必要と認めた者について、面接指導等の措置を講ずることが望ましいとされている。

【時間外労働45時間の労働者の面接指導】

5 派遣労働者に対する健康診断に係る留意事項

(2)長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する面接指導等(高度プロフェッショナル制度適用者を除く。)

ウ 面接指導等の実施等

(ア)事業者は、安衛法第66条の8又は第66条の9の規定等に基づき、労働者の時間外・休日労働時間に応じた面接指導等を次のとおり実施するものとする。

a及びb (略)

 時間外・休日労働時間が1月当たり45時間を超える労働者で、健康への配慮が必要と認めた者については、面接指導等の措置を講ずることが望ましいものとする。

※ 厚生労働省「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日基発第0317008号/最終改正:令和2年4月1日基発0401第11号雇均発0401第4号)の別添)

なお、法的には、面接指導について、努力義務が課せられるのは、(高度プロフェッショナル制度の対象者を除く)事業場において定められた必要な措置の実施に関する基準に該当する者についてである。

本問で(5)と解答した受験者の方が多かったのは、おそらくこのことが念頭にあったものであろう。ガイドラインは、この基準を「時間外・休日労働時間が1月当たり45時間を超える労働者」とすることが望ましいとしていることになる。

国民が拘束される法令と、たんなる行政指導に過ぎないガイドラインでは、異なった規定がなされることも多いので、混同しないようにしたい。

【労働安全衛生法】

(労働安全衛生法の適用に関する特例等)

第66条の9 事業者は、第66条の8第1項、第66条の8の2第1項又は前条第1項の規定により面接指導を行う労働者以外の労働者であつて健康への配慮が必要なものについては、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

【労働安全衛生規則】

(法第六十六条の九の必要な措置の実施)

第52条の8 法第66条の9の必要な措置は、法第66条の8の面接指導の実施又は法第66条の8の面接指導に準ずる措置(第3項に該当する者にあつては、法第66条の8の4第1項に規定する面接指導の実施)とする。

 労働基準法第41条の2第1項の規定により労働する労働者以外の労働者に対して行う法第66条の9の必要な措置は、事業場において定められた当該必要な措置の実施に関する基準に該当する者に対して行うものとする。

 労働基準法第41条の2第1項の規定により労働する労働者に対して行う法第66条の9の必要な措置は、当該労働者の申出により行うものとする。

ロ 適切である。「過労死防止措置」の5の(2)のウの(ウ)のcの規定により、面接指導等により労働者のメンタルヘルス不調が把握された場合は、面接指導を行った医師、産業医等の助言を得ながら必要に応じ精神科医等と連携を図りつつ対応する必要がある。

本肢は、誤っていると考える要素がない。受験者のかなりの割合が、本肢を適切ではないと回答している。おそらく、面接指導でメンタルヘルス不調が発見された場合に、精神科医と連携を図る必要まではないと考えたのかもしれない。

しかし、面接指導は(ストレスチェックとは異なり)医師が本人と面接して行うのである。医師である以上、精神科医による治療が必要と判断することはあり得る。そもそも、本肢には「必要に応じ」とされているのだから、精神科医等と連携を図る必要があれば、連携を図るべきであろう(※)

※ 「過労死防止措置」には、「するものとする」となっているが、これは「努めなければならない」を婉曲に表現する場合の法令用語である。さすがに精神科医との連携まで事業者に義務付けるのは、やり過ぎだと考えられたのであろう。しかし、だからといってそれを行うことが適切でなくなるわけではない。

【メンタルヘルス不調者への対応】

5 派遣労働者に対する健康診断に係る留意事項

(2)長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する面接指導等(高度プロフェッショナル制度適用者を除く。)

ウ 面接指導等の実施等

(ウ)事業者は、安衛法第66条の8第1項第66条の8の2第1項又は第66条の9の規定等に基づき、面接指導等の実施後の措置等を次のとおり実施するものとする。

a及びb (略)

 面接指導等により労働者のメンタルヘルス不調が把握された場合は、面接指導を行った医師、産業医等の助言を得ながら必要に応じ精神科医等と連携を図りつつ対応するものとする。

※ 厚生労働省「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日基発第0317008号/最終改正:令和2年4月1日基発0401第11号雇均発0401第4号)の別添)

ハ 適切である。「過労死防止措置」の5の(2)のオにより、常時 50 人未満の労働者を使用する事業場における面接指導等については、近隣に専門的知識を有する医師がいない等の理由により、事業者が自ら医師を選任し、面接指導を実施することが困難な場合には、地域産業保健センターの活用を図るとされている。

地域産業保健センターは、国が、50 人未満の事業場への医師による産業保健サービスを提供するために運営しているものである。そのため、多くの指針やガイドライン類において、産業医のいない 50 人未満の事業場について、地域産業保健センターの活用を図るものとされている。誤っていると考える余地はない。

【零細規模事業場の医学的事項の実施】

5 派遣労働者に対する健康診断に係る留意事項

(2)長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する面接指導等(高度プロフェッショナル制度適用者を除く。)

オ 常時使用する労働者が50人未満の事業者の対応

  常時使用する労働者が 50 人未満の事業者においても、上記(2)のアからエまでの措置を実施する必要があるが、ウについては、近隣に専門的知識を有する医師がいない等の理由により、事業者自ら医師を選任し、面接指導を実施することが困難な場合には、地域産業保健センターの活用を図るものとする。

  (略)

※ 厚生労働省「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日基発第0317008号/最終改正:令和2年4月1日基発0401第11号雇均発0401第4号)の別添)

ニ 適切である。「過労死防止措置」の5の(5)のアにより、過重労働による業務上の疾病を発生させたときは、労働時間の管理状況、労働時間及び勤務の不規則性、健康診断及び面接指導の結果等について、多角的に原因の究明を行うものとされている。

そもそも、本肢が誤りであると考える要素はない。

【過労死を発生させた場合の措置】

5 派遣労働者に対する健康診断に係る留意事項

(5)過重労働による業務上の疾病を発生させた場合の措置

  事業者は、過重労働による業務上の疾病を発生させた場合には、産業医等の助言を受け、又は必要に応じて労働衛生コンサルタントの活用を図りながら、次により原因の究明及び再発防止の徹底を図るものとする。

ア 原因の究明

  労働時間の適正管理、労働時間及び勤務の不規則性、拘束時間の状況、出張業務の状況、交替制勤務・深夜勤務の状況、作業環境の状況、精神的緊張を伴う勤務の状況、健康診断及び面接指導等の結果等について、多角的に原因の究明を行うこと。

※ 厚生労働省「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日基発第0317008号/最終改正:令和2年4月1日基発0401第11号雇均発0401第4号)の別添)