労働衛生コンサルタント試験 2025年 労働衛生一般 問06

じん肺対策(一般)




問題文
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月桂冠とEXPERTの文字を支える手

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2025年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2025年度(令和07年度) 問06 難易度 じん肺に関するごく基本的な問題である。この種の問題が正答できないと合格は難しい。
じん肺  1 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問6 じん肺こ関する次の記述のうち、適切でないのはどれか。

(1)鉱物、金属、研磨材、炭素原料等の粉じんの吸入により生じる。

(2)肺内では線維増殖性変化が生じる。

(3)初期にはチアノーゼなどの低酸素血症による症状が生じる。

(4)合併症として、肺結核、原発性肺がん、続発性気胸が生じることがある。

(5)じん肺の病変は不可逆性である。

正答(3)

【解説】

問6試験結果

試験解答状況
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じん肺関係の出題は、ほぼ必出であるが、例年、問題の趣が大きく変わる。本年度は、ごく基本的な内容からの出題である。

近年の高難易度の傾向からは、例外的なサービス問題といえる。この種の問題を間違えてはならない。

(1)適切である。法的には、じん肺とは「粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」である。鉱物、金属、研磨材、炭素原料等の粉じんの吸入により生じる。

【じん肺法】

(定義)

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 じん肺 粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。

二~五 (略)

2及び3 (略)

【じん肺とは】

第一 法律関係

一 定義(第二条関係)

(一)第一項第一号の「じん肺」とは、粉じんの吸入によつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とし、これに気道の慢性炎症性変化、気腫性変化を伴つた疾病をいい、一般に不可逆性のものであること。

(二)及び(三)(略)

※ 厚生労働省「改正じん肺法の施行について」(昭和53年4月28日基発第250号)より

なお、本肢の正誤とは関係がないが、じん肺の法律上の定義は、時代とともに次のように変遷してきている。これに関連して、特定の吸入性有機粉じん等により、複数の労働者に肺組織の繊維化、間質性肺炎、肺気腫、気胸等の肺疾患が発症している事案があることを覚えておくこと。

【じん肺の法律上の定義の変遷】

  • けい肺及び外傷性 せき髄障害に関する特別保護法(1955年)
  •    遊離けい酸粉じん又は遊離けい酸を含む粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化の疾病
  • 旧じん肺法(1960年)
  •    鉱物性粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化の疾病
  • 現行じん肺法(1978年)
  •    粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病

【特定の有機粉じんによるじん肺の可能性】

第二 じん肺法の改正の内容

一 じん肺の定義(第二条関係)

(一)(略)

(二)じん肺を起こす起因粉じんについて、旧法では「鉱物性粉じん」としていたが、近年、特定の有機粉じんを吸入することによつても鉱物性粉じんによるものと同様のじん肺が起こるとの意見もあるところから、今後の医学的解明の結果によつては有機粉じんをも含み得る余地を残すため、「鉱物性」という文言を削除したものであること。今後の調査研究により、特定の有機粉じんについてもじん肺を起こすとの専門家の合意が得られれば、その時点で当該粉じんに係る作業を「粉じん作業」としてじん肺法施行規則に追加することとなるものであること。

※ 厚生労働省「労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律の施行について(じん肺法関係)」(昭和53年4月28日発基第47号)より

【吸入性有機粉じん等による肺疾患】

  国内の製造事業場において、複数の労働者に肺組織の繊維化、間質性肺炎、肺気腫、気胸等の肺疾患が発症している事案が明らかになった(別紙)。

※ 厚生労働省「特定の吸入性有機粉じん等による肺疾患の防止について」(平成29年4月28日基安発0428第2号)より

(2)適切である。(1)の解説で示したように、じん肺法第2条第1項第一号の定義に、肺内では線維増殖性変化が生じるとされている。

(3)適切ではない。人間の肺には十分な余裕があるので、次に示す厚労省のサイトやパンフレットにもあるように、初期に低酸素血症などの症状は生じない。

【じん肺の初期症状】

②じん肺とは?

  じん肺の初期にはほとんど症状がありませんが、病気が進んでくると呼吸器症状が出てきます。じん肺に見られる最も多い症状は咳、痰、喘鳴、息切れです。

※ 厚生労働省WEBサイト「じん肺とは?」より

【じん肺の初期症状】

② じん肺の症状

  じん肺の初期症状は息切れ・咳・痰が増えるなどですが、進行すると肺の組織が壊され、呼吸困難を引き起こします。また、気管支炎、肺がん、気胸などの合併症にかかりやすくなるので注意が必要です。粉じん作業を行っているときは気づかなくても、じん肺の症状は数年から十数年かけてゆっくりと進行します。

※ 厚生労働省「じん肺について」(パンフレット)より

(4)適切である。じん肺則第1条に合併症として、肺結核、原発性肺がん、続発性気胸などが定められているが、これらはじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病である。

【じん肺法】

(定義)

第1条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 (略)

 合併症 じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病をいう。

三~五 (略)

 合併症の範囲については、厚生労働省令で定める。

 (略)

【じん肺法施行規則】

(合併症)

第1条 じん肺法(以下「法」という。)第2条第1項第二号の合併症は、じん肺管理区分が管理二又は管理三と決定された者に係るじん肺と合併した次に掲げる疾病とする。

 肺結核

 結核性胸膜炎

 続発性気管支炎

 続発性気管支拡張症

 続発性気胸

 原発性肺がん

(5)適切である。じん肺の病変は、昭和53年4月28日発基第47号にも示されている通り、不可逆性であり、現在の医学ではこの病変を回復させる有効な治療の方策は一般的にはない。

【じん肺の病変の不可逆性】

第一 じん肺法の改正の経緯及び趣旨

 (略)

 じん肺は、長期間粉じんを吸入することによつて、肺に線維増殖性変化を主体とする一般的には不可逆性の病変を起こす疾病であり、現在の医学ではこの病変を回復させる有効な治療の方策は一般的にはない。

  (略)

※ 厚生労働省「労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律の施行について(じん肺法関係)」(昭和53年4月28日発基第47号)より