問4 有害物質の性状、空気中での状態などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)固体に研磨、切削、粉砕等の機械的な作用を加えて発生した固体微粒子が空気中に浮遊しているものを粉じんという。
(2)金属の蒸気が空気中で凝固や化学変化を起こし、固体の微粒子となって空気中に浮遊しているものをヒュームという。
(3)常温、常圧で気体の状態であるものをガスという。
(4)液体の微細な粒子が空気中に浮遊しているものをミストという。
(5)常温、常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体になっているものをエアロゾルという。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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| 2025年度(令和07年度) | 問04 | 難易度 | 有害物質の性状・空気中での状態は、頻出事項。内容も基本的なもので、確実する必要がある。 |
|---|---|---|---|
| 有害物の性状等 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問4 有害物質の性状、空気中での状態などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)固体に研磨、切削、粉砕等の機械的な作用を加えて発生した固体微粒子が空気中に浮遊しているものを粉じんという。
(2)金属の蒸気が空気中で凝固や化学変化を起こし、固体の微粒子となって空気中に浮遊しているものをヒュームという。
(3)常温、常圧で気体の状態であるものをガスという。
(4)液体の微細な粒子が空気中に浮遊しているものをミストという。
(5)常温、常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体になっているものをエアロゾルという。
正答(5)
【解説】
有害物質の性状、空気中での状態などに関する問題は、過去問でも頻出事項である。また、この問題は、基本的な内容であり、正答率は極めて高かった。
試験協会のサービス問題である。このような問題を間違えてはならない。
(1)正しい。JIS Z 7252:2019「GHSに基づく化学品の分類方法」(以下「分類 JIS」という。)では、粉じん(dust)を「気体(通常は、空気)の中に浮遊する化学品の固体の粒子
」と定義している。
その発生の原因としては、本肢にあるように、固体に研磨、切削、粉砕等の機械的な作用を加えて発生することが多い。
(2)正しい。金属の蒸気が空気中で凝固や化学変化を起こし、固体の微粒子となって空気中に浮遊しているものをヒュームという。図は、神奈川労働局健康課(※)が作成したパワーポイント資料からの抜粋であるが、ヒュームについて端的な説明となっている。
※ 神奈川労働局健康課「特定化学物質障害予防規則等の改正について」
アーク溶接のアーク内部の温度は極めて高く、アークの状態にもよるが中心部は 16,000 ℃程度で、外周部でも約 10,000 ℃程度となっている。一方、多くの金属の沸点は、鉄(2,863℃)、銅(2,571℃)、タングステン(5,555℃)、マンガン(2,062℃)などと、アーク内部の温度よりかなり低い(※)のである。
※ 金属の沸点は、テキストによって微妙に異なる。ここでは、ウシオ電機株式会社「元素の融点および沸点」(光技術用語解説)の値を用いた。
このため、アーク中心部では、母材や溶接材料の一部は気化して蒸気となって、作業空間へ流れ出す。そして、作業空間へ流れ出した金属蒸気は、空気中で冷却され、すぐにいったん凝縮して液体の粒子となってから凝固して固体に戻る。
液体粒子になったときは表面張力で球形となるので固体粒子も球形となることが多いが、凝固するとき結晶となるものもあり形は整っている。ただ、凝固から凝縮まではごく短時間なのであまり大きくなることはなく、粒子そのものは極めて微細であるが、これが鎖状につながって存在する。
この粒子がヒュームであり、アーク溶接を行うときに白い煙のように見える。なお、溶接工のじん肺は、かつては溶接工肺と呼ばれて一般のじん肺より症状は軽いとされていたが、現在ではじん肺発症の大きな要因となっている。
(3)正しい。分類JISでは、ガス(gas)とは「50 ℃において 300 kPa(絶対圧)を超える蒸気圧をもつ化学品か、又は 101.3 kPaの標準圧力で、20 ℃において完全にガス状である化学品
」と定義されている。すなわち、本肢が言うように常温、常圧で気体の状態であるものをガスという。
(4)正しい。分類JISでは、ミスト(mist)とは「気体(通常は、空気)の中に浮遊する化学品の液滴
」と定義されている。すなわち、本肢が言うように液体の微細な粒子が空気中に浮遊しているものをミストという。
(5)誤り。エアロゾルとは、日本エアロゾル学会の WEB サイトにあるように、気体中に浮遊している微小な液体や固体の粒子のことである。
【エアロゾルとは】
エアロゾルとは What is Aerosol ?
気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体をエアロゾル(aerosol)と言います。エアロゾル粒子は、その生成過程の違いから粉じん(dust)とかフューム(fume)、ミスト(mist)、ばいじん(dust)などと呼ばれ,また気象学的には、視程や色の違いなどから,霧(fog)、もや(mist)、煙霧(haze)、スモッグ(smog)などと呼ばれることもあります。エアロゾル粒子の性状は、粒径や化学組成、形状、光学的・電気的特性など多くの因子によって表され、きわめて複雑です。
その上、例えば粒径についていえば、分子やイオンとほぼ等しい 0.001μm = 1nm 程度から花粉のような 100 μm 程度まで約5桁にわたる広い範囲が対象となり、また個数濃度についても、清浄空気の 10 個/cm3 程度から発生源近傍の10の6乗~10 の 10 乗個/cm3程度まで7~8桁にもわたり、さらに最近の超クリーンルームにおいては 10 の-5乗個/cm3程度まで要求されるようになっています。
※ JAAST 日本エアロゾル学会「エアロゾルとは What is Aerosol ?」より
本肢の「常温、常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体になっているもの」は蒸気であって(※)、エアロゾルではない。
※ 分類JISでは、蒸気(vapour)とは「液体又は固体の状態から放出されたガス状の化学品
」と定義されている。





