問2 受動喫煙及びその防止対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」のほかに、喫煙者が一旦吸い込んだ煙を吐き出す「呼出煙」、たばこの点火部から立ち上る「副流煙」がある。
(2)副流煙や呼出煙がじゅうたんや壁紙に付着して、その後、揮発・浮遊した有害物質を吸い込むことを「二次喫煙」という。
(3)たばこ1本から発生する発がん物質の量は、主流煙よりも副流煙の方が多い。
(4)受動喫煙と虚血性心疾患には、因果関係を推定する十分な科学的証拠がある。
(5)厚生労働省の「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」によれば、一般の事務所や工場では、原則として屋内禁煙とする。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
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| 2025年度(令和07年度) | 問02 | 難易度 | 受動喫煙は2年連続の出題である。基本的な内容であり、確実に正答できなければならない。 |
|---|---|---|---|
| 受動喫煙 | 4 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問2 受動喫煙及びその防止対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」のほかに、喫煙者が一旦吸い込んだ煙を吐き出す「呼出煙」、たばこの点火部から立ち上る「副流煙」がある。
(2)副流煙や呼出煙がじゅうたんや壁紙に付着して、その後、揮発・浮遊した有害物質を吸い込むことを「二次喫煙」という。
(3)たばこ1本から発生する発がん物質の量は、主流煙よりも副流煙の方が多い。
(4)受動喫煙と虚血性心疾患には、因果関係を推定する十分な科学的証拠がある。
(5)厚生労働省の「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」によれば、一般の事務所や工場では、原則として屋内禁煙とする。
正答(2)
【解説】
受動喫煙の問題は、2024 年度に続いて連続の出題となった。労働衛生コンサルタント試験の軸足が、職業性疾病の防止から健康管理へわずかに動いているのかもしれない。その意味では、医師の資格を有する受験者にとって点を取りやすい試験になっていると言えよう。
今回は、一次喫煙、二次喫煙、三次喫煙の区別を知って理うかどうかが、正答できるかどうかのカギとなっている。ただ、正答以外の肢はごく基本的な内容であり、正答の(2)の正誤が分からなくても正答できる問題となっている。
(1)正しい。厚労省のWEBサイト「たばこの煙と受動喫煙」によると「たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」、喫煙者が吐き出した「呼出煙」、たばこから立ち上る「副流煙」があ(る)
」とされている。受動喫煙では呼出煙と副流煙が混ざった煙にさらされることになる。
【たばこの煙】
たばこの煙と受動喫煙
たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」、喫煙者が吐き出した「呼出煙」、たばこから立ち上る「副流煙」があり、受動喫煙では呼出煙と副流煙が混ざった煙にさらされることになります。煙に含まれる発がん性物質などの有害成分は、主流煙より副流煙に多く含まれるものがあり、マナーという考え方だけでは解決できない健康問題です。
※ 厚生労働省「たばこの煙と受動喫煙」(生活習慣病などの情報)より
(2)誤り。本肢の「副流煙や呼出煙がじゅうたんや壁紙に付着して、その後、揮発・浮遊した有害物質を吸い込むこと」は、「二次喫煙(SHS=second-hand smoke)」ではなく、「三次喫煙」(third-hand smoke)又は「残留受動喫煙」である。二次喫煙とは、副流煙を直接吸い込む「受動喫煙」の意味である。
例えば、日本医師会「三次喫煙のリスクとは?~受動喫煙対策だけでは不十分~」によれば、「その場に喫煙者がいないのに、喫煙が繰り返されたカラオケボックスに入ったときや、新幹線の喫煙車両、ヘビースモーカーが所有する車に乗ったときなどにタバコ臭を感じた経験がある方も多いと思います。それは、タバコに含まれている成分が壁紙や布、家具などにしみ込んでしまうからですが、そういった残留タバコ成分によって健康被害を受けることを「三次喫煙」と言います
」とされている。
【三次喫煙のリスクとは?】
三次喫煙とはどういうもの?
喫煙者が自分の肺にタバコの煙を吸い込むことを「一次喫煙」、喫煙者が吐き出した煙やタバコから直接立ちのぼる煙を他者が吸入することを「二次喫煙」といいます。二次喫煙は、自分ではタバコを吸っていない受け身の喫煙ということから「受動喫煙」とも呼ばれます。
英語では、一次喫煙をファーストハンドスモーク(first-hand smoke)、二次喫煙をセカンドハンドスモーク(second-hand smoke)といいますが、新たに問題になっているのが、アメリカ国立がん研究所が提唱するサードハンドスモーク(third-hand smoke)、日本語で「三次喫煙」または「残留受動喫煙」と呼ばれる概念です。
その場に喫煙者がいないのに、喫煙が繰り返されたカラオケボックスに入ったときや、新幹線の喫煙車両、ヘビースモーカーが所有する車に乗ったときなどにタバコ臭を感じた経験がある方も多いと思います。それは、タバコに含まれている成分が壁紙や布、家具などにしみ込んでしまうからですが、そういった残留タバコ成分によって健康被害を受けることを「三次喫煙」と言います。
※ 日本医師会「三次喫煙のリスクとは?~受動喫煙対策だけでは不十分~」より
なお、大貫他(※)によると、三次喫煙には、4つのR(Remain(残留)、React(反応)、Re-emit(再放散、Resuspension(再浮遊))という性質を持つとされる。
※ 大貫文他「三次喫煙による曝露経路に関する研究-接触による移動及び再放散について-」(東京健安研セ年報 Vol.70 2019 年)
【三次喫煙の性質】
はじめに
三次喫煙(Thirdhand Smoke、以下 THS と略す)とは 2009 年に初めて用語が報告された、新しい概念の受動喫煙である。受動喫煙として知られる二次喫煙(Second Hand Smoke)と異なるのは、THS が「4つのR」と定義される性質を持つことである。すなわち、たばこ関連物質が喫煙後も室内等に残っていること(Remain)、大気中成分と反応すること(React)、残った物質や反応生成物質が室内に再放散すること(Re-emit)及び再浮遊すること(Resuspension)である。
※ 大貫文他「三次喫煙による曝露経路に関する研究-接触による移動及び再放散について-」(東京健安研セ年報 Vol.70 2019 年)より
(3)正しい。厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年。以下「新版 たばこ白書」という。)によると、「副流煙/主流煙比」は、タールが1.2~10.1、ホルムアルデヒドが6.2~121.4、アセトアルデヒドが2.2~14.4などとなっている。
主流煙はフィルターを通して吸引するが、副流煙はたばこが燃えている部分から発生する煙を直接吸引するので、このようなことになるのである(※)。
※ 両切りピースのようなフィルターのないタバコの場合は、副流煙/主流煙比が1に近いかもしれない。
| 成分 | 副流煙/主流煙比 |
|---|---|
| ニコチン | 2.8~19.6 |
| タール | 1.2~10.1 |
| ホルムアルデヒド | 6.2~121.4 |
| アセトアルデヒド | 2.2~14.4 |
| トルエン | 10.9~68.8 |
(4)正しい。「新版 たばこ白書」の「第2章 たばこの健康影響」によると、受動喫煙との因果関係を推定するのに十分である(レベル1)と判定された疾患に、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中などがある。
【受動喫煙と健康障害】
第2章 たばこの健康影響
第6節 受動喫煙による健康影響
1.がん
たばこの喫煙者本人以外への影響(受動喫煙による健康影響)として、受動喫煙と成人のがんとの因果関係についてがん種(肺がん、乳がん、鼻腔・副鼻腔がん)ごとに評価を行った(全体の概要・第2章要約表)。その結果、受動喫煙と肺がんとの関連について、「科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である(レベル1)」と判定された。受動喫煙と乳がんおよび鼻腔・副鼻腔がんとの関連については、「科学的証拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない(レベル2)」と判定された。
2.循環器疾患
たばこの喫煙者本人以外への影響(受動喫煙による健康影響)として、受動喫煙と成人の循環器疾患(虚血性心疾患および脳卒中)との因果関係について評価を行った(全体の概要・第2章要約表)。その結果、受動喫煙と虚血性心疾患および脳卒中との関連について、「科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である(レベル1)」と判定された。
※ 厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)より(下線強調引用者)
(5)正しい。一般の事務所や工場は「第二種施設」であり、原則として屋内禁煙としなければならない。
【健康増進法】
(定義)
第28条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~四 (略)
五 第一種施設 多数の者が利用する施設のうち、次に掲げるものをいう。
イ 学校、病院、児童福祉施設その他の受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設として政令で定めるもの
ロ 国及び地方公共団体の行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る。)
六 第二種施設 多数の者が利用する施設のうち、第一種施設及び喫煙目的施設以外の施設をいう。
七~十四 (略)
(特定施設等における喫煙の禁止等)
第29条 何人も、正当な理由がなくて、特定施設等においては、次の各号に掲げる特定施設等の区分に応じ、当該特定施設等の当該各号に定める場所(以下この節において「喫煙禁止場所」という。)で喫煙をしてはならない。
一 (略)
二 第二種施設 次に掲げる場所以外の屋内の場所
イ 第33条第3項第一号に規定する喫煙専用室の場所
ロ 喫煙関連研究場所
三~五 (略)
2 (略)





