問13 電離放射線障害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次のイ~ニの記述について、電離放射線障害防止規則上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 管理区域には、必要のある者以外の者を立ち入らせてはならない。
ロ 放射線業務従事者が眼の水晶体に受ける等価線量は、緊急作業における線量を含め、5年間につき 100 ミリシーベルト及び1年間につき 50 ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
ハ 管理区域に一時的に立ち入る労働者についても、管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。
ニ 放射線業務従事者の実効線量及び人体の組織別の等価線量を、所定の期間ごとに算定し、これを見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る者に周知させなければならない。
(1) イ ロ
(2) イ ハ
(3) ロ ハ
(4) ロ ニ
(5) ハ ニ

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更する(号番号等を除く)などの修正を行いました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2024年度(令和6年度) | 問13 | 難易度 | 電離則のかなり細かな内容の条文問題である。内容の合理性から判断するしかないだろう。 |
---|---|---|---|
電離則 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問13 電離放射線障害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次のイ~ニの記述について、電離放射線障害防止規則上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 管理区域には、必要のある者以外の者を立ち入らせてはならない。
ロ 放射線業務従事者が眼の水晶体に受ける等価線量は、緊急作業における線量を含め、5年間につき 100 ミリシーベルト及び1年間につき 50 ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
ハ 管理区域に一時的に立ち入る労働者についても、管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。
ニ 放射線業務従事者の実効線量及び人体の組織別の等価線量を、所定の期間ごとに算定し、これを見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る者に周知させなければならない。
(1) イ ロ
(2) イ ハ
(3) ロ ハ
(4) ロ ニ
(5) ハ ニ
正答(2)
【解説】
本問も正答である(2)よりも誤答の(1)と答えた受験者の方が多かった。ロとハで迷った受験者が多かったようだ。
イ 正しい。電離則第3条第4項の規定により、管理区域には、必要のある者以外の者を立ち入らせてはならない。
常識的に考えても、危険有害な区域に、必要のある者以外の者を立ち入らせてはならないことは当然であろう。
【電離放射線障害防止規則】
(管理区域の明示等)
第3条 (第1項~第3項 略)
4 (略)
5 (略)
ロ 誤り。電離則第7条第2項は緊急作業における水晶体に受ける等価線量は、その緊急作業に従事する間に受ける線量を 300 ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。なお、これは、電離則第5条第1項(放射線業務従事者が眼の水晶体に受ける等価線量は、5年間につき 100 ミリシーベルト及び1年間につき 50 ミリシーベルトを超えないようにしなければならない)の例外規定である。
多くの受験者が、本肢を正しいと考え、ハを誤りとしている。
【電離放射線障害防止規則】
第5条 事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては5年間につき100ミリシーベルト及び1年間につき50ミリシーベルトを、皮膚に受けるものについては1年間につき500ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない。
2 (略)
(緊急作業時における被ばく限度)
第7条 事業者は、第42条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生し、同項の区域が生じた場合における放射線による労働者の健康障害を防止するための応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行うときは、当該緊急作業に従事する男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については、第4条第1項及び第5条第1項の規定にかかわらず、これらの規定に規定する限度を超えて放射線を受けさせることができる。
2 前項の場合において、当該緊急作業に従事する間に受ける線量は、次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
一 実効線量については、100ミリシーベルト
二 眼の水晶体に受ける等価線量については、300ミリシーベルト
三 皮膚に受ける等価線量については、1シーベルト
3~5 (略)
(退避)
第42条 事業者は、次の各号のいずれかに該当する事故が発生したときは、その事故によつて受ける実効線量が15ミリシーベルトを超えるおそれのある区域から、直ちに、作業に従事する者を退避させなければならない。
一 第三条の二第一項の規定により設けられた遮蔽物が放射性物質の取扱い中に破損した場合又は放射線の照射中に破損し、かつ、その照射を直ちに停止することが困難な場合
二 第三条の二第一項の規定により設けられた局所排気装置又は発散源を密閉する設備が故障、破損等によりその機能を失つた場合
三 放射性物質が多量に漏れ、こぼれ、又は逸散した場合
四 放射性物質を装備している機器の放射線源が線源容器から脱落した場合又は放射線源送出し装置若しくは放射線源の位置を調整する遠隔操作装置の故障により線源容器の外に送り出した放射線源を線源容器に収納することができなくなつた場合
五 前各号に掲げる場合のほか、不測の事態が生じた場合
2及び3 (略)
ハ 正しい。電離則第8条第1項の規定は、管理区域に一時的に立ち入る労働者についても、管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならないとしている。
一時的な立ち入りだからといっても、多量の放射線に被ばくする恐れはあるし、複数の事業場において「一時的な立ち入り」を繰り返す可能性もあろう。被ばく線量を測定しなくても良いということにはならない。
【電離放射線障害防止規則】
(緊急作業時における被ばく限度)
第8条 事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的に立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。
2~8 (略)
ニ 誤り。本肢の言うように、「放射線業務従事者の実効線量及び人体の組織別の等価線量を、所定の期間ごとに算定し、これを見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る者に周知させなければならない」という規定はない。
なお、電離則第 54 条第1項は、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定しなければならないとされ、第2項は測定が著しく困難なときは計算により算出することができるとしている。そして、同条第4項は、その結果を見やすい場所に掲示する等の方法によつて、管理区域に立ち入る者に周知させなければならないとしている。
【電離放射線障害防止規則】
(線量当量率等の測定等)
第54条 事業者は、前条第一号の管理区域について、1月以内(放射線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮蔽物の位置が一定しているとき、又は3.7ギガベクレル以下の放射性物質を装備している機器を使用するときは、6月以内)ごとに1回、定期に、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定し、その都度、次の事項を記録し、これを5年間保存しなければならない。
一~八 (略)
2 前項の線量当量率又は線量当量は、放射線測定器を用いて測定することが著しく困難なときは、同項の規定にかかわらず、計算により算出することができる。
3 (略)
4 事業者は、第一項の測定又は第二項の計算による結果を、見やすい場所に掲示する等の方法によつて、管理区域に立ち入る者に周知させなければならない。