問5 労働安全衛生法令に基づき事業者が行わなければならない作業環境測定等に関する次のイ~ホの記述について、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場について、当該金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う測定により、6か月以内ごとに1回、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定しなければならない。
ロ 地下室の内部において、吹付けによる第三種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
ハ 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務を行う作業場について、6か月以内ゴとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
ニ 労働者を常時就業させる室で、事務所衛生基準規則の適用のあるものの建築を行ったときは、当該室におけるホルムアルデヒドの量について、当該建築を完了し、当該室の使用を開始した日以後最初に到来する6月から9月までの期間に1回、測定しなければならない。
ホ 陶磁器、レンガ等を焼成する業務を行う屋内作業場について、1か月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及び輻射熱を測定しなければならない。
(1) イ ロ ハ
(2) イ ハ ニ
(3) イ ニ ホ
(4) ロ ホ
(5) ハ ニ

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更する(号番号等を除く)などの修正を行いました。
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2024年度(令和6年度) | 問04 | 難易度 | 作業環境測定に関する知識問題。最近は、知識問題を落とすと合格は難しくなっている。確実に正答したい。 |
---|---|---|---|
作業環境測定 | 4 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問5 労働安全衛生法令に基づき事業者が行わなければならない作業環境測定等に関する次のイ~ホの記述について、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場について、当該金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う測定により、6か月以内ごとに1回、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定しなければならない。
ロ 地下室の内部において、吹付けによる第三種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
ハ 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務を行う作業場について、6か月以内ゴとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
ニ 労働者を常時就業させる室で、事務所衛生基準規則の適用のあるものの建築を行ったときは、当該室におけるホルムアルデヒドの量について、当該建築を完了し、当該室の使用を開始した日以後最初に到来する6月から9月までの期間に1回、測定しなければならない。
ホ 陶磁器、レンガ等を焼成する業務を行う屋内作業場について、1か月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及び輻射熱を測定しなければならない。
(1) イ ロ ハ
(2) イ ハ ニ
(3) イ ニ ホ
(4) ロ ホ
(5) ハ ニ
正答(5)
【解説】
本問は、正答率がかなり高い。アンケートに答えた受験生の多くは、作業環境測定の基本的なところは、覚えておられたということだろう。
一方、誤答された受験者では、比較的(2)と(1)と回答された方が多かった。(1)と(2)のいずれにもイが含まれている。金属ヒュームには作業環境測定の義務がないこと、従って、定期的な測定の必要がないことは覚えておく必要がある。
イ 誤り。溶接ヒュームを製造し又は取扱う作業場は、安衛令第 21 第7号括弧書きにより、安衛法第 65 条第1項の作業環境測定の対象となる作業場から除かれている。
なお、特化則第 38 条の 21 第2項及び第4項によって、金属ヒュームの気中濃度の測定を行わなければならないが、本肢のように「6か月以内ごとに1回」測定しなければならないわけではない。なお、これは安衛法第 65 条の作業環境測定ではない。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~六 (略)
七 別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質(同号34の2に掲げる物及び同号37に掲げる物で同号34の2に係るものを除く。)を製造し、若しくは取り扱う屋内作業場(同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを行うものを除く。)、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場若しくは石綿分析用試料等を製造する屋内作業場又はコークス炉上において若しくはコークス炉に接してコークス製造の作業を行う場合の当該作業場
八~十 (略)
別表第三 特定化学物質(第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)
一 (略)
二 第二類物質
1~34 (略)
34の2 溶接ヒューム
34の3~36 (略)
37 1から36までに掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令で定めるもの
三 (略)
【特定化学物質障害予防規則】
(金属アーク溶接等作業に係る措置)
第38条の21 (第1項 略)
2 事業者は、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において、新たな金属アーク溶接等作業の方法を採用しようとするとき、又は当該作業の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣の定めるところにより、当該金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う測定により、当該作業場について、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定しなければならない。
3 (略)
4 事業者は、前項に規定する措置を講じたときは、その効果を確認するため、第2項の作業場について、同項の規定により、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定しなければならない。
5~12 (略)
ロ 誤り。有機則第 28 条により、作業環境測定の義務があるのは、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務に限られる。そして、同規則第1条の定義から、これは第一種有機溶剤及び第二種有機溶剤のみである。
第三種有機溶剤は、ガソリン、コールタールナフサなどの混合物であり、そもそも測定をすることなど不可能である。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~九 (略)
十 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場
別表第六の二 有機溶剤(第六条、第二十一条、第二十二条関係)
一~五十五 (略)
【有機溶剤中毒予防規則】
(定義等)
第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一及び二 (略)
三 第一種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
イ 令別表第六の二第二十八号又は第三十八号に掲げる物
ロ イに掲げる物のみから成る混合物
ハ イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するもの
四 第二種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
イ 令別表第六の二第一号から第十三号まで、第十五号から第二十二号まで、第二十四号、第二十五号、第三十号、第三十四号、第三十五号、第三十七号、第三十九号から第四十二号まで又は第四十四号から第四十七号までに掲げる物
ロ イに掲げる物のみから成る混合物
ハ イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物又は前号イに掲げる物を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するもの(前号ハに掲げる物を除く。)
五 第三種有機溶剤等 有機溶剤等のうち第一種有機溶剤等及び第二種有機溶剤等以外の物をいう。
六 (略)
2 (略)
(測定)
第28条 令第21条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務とする。
2及び3 (略)
ハ 正しい。安衛則第 592 条の2により、廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務(同規則第 36 条第三十五号)を行う作業場について、6か月以内ゴとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
【安衛則】
(特別教育を必要とする業務)
第36条 (柱書 略)
一~三十三 (略)
三十四 ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成11年政令第433号)別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設(第90条第五号の四を除き、以下「廃棄物の焼却施設」という。)においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務(第三十六号に掲げる業務を除く。)
三十五 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務
三十六 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の業務及びこれに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務
三十七一~四十一 (略)
(ダイオキシン類の濃度及び含有率の測定)
第592条の2 事業者は、第36条第三十四号及び第三十五号に掲げる業務を行う作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条第1項に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)の濃度を測定しなければならない。
2 事業者は、第36条第三十六号に掲げる業務に係る作業を行うときは、当該作業を開始する前に、当該作業に係る設備の内部に付着した物に含まれるダイオキシン類の含有率を測定しなければならない。
ニ 正しい。事務所則第7条の2により、労働者を常時就業させる室で、事務所衛生基準規則の適用のあるものの建築を行ったときは、当該室におけるホルムアルデヒドの量について、当該建築を完了し、当該室の使用を開始した日以後最初に到来する6月から9月までの期間に1回、測定しなければならない。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~六 (略)
五 中央管理方式の空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。)を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの
六~十 (略)
【事務所衛生基準規則】
(空気調和設備等による調整)
第5条 (柱書 略)
一及び二 (略)
三 (略)
2及び3 ホルムアルデヒドの量(1気圧、温度25度とした場合の当該空気1立方メートル中に含まれるホルムアルデヒドの重量をいう。以下同じ。)が、0.1ミリグラム以下であること。
(作業環境測定等)
第7条の2 事業者は、室の建築(建築基準法第2条第十三号に規定する建築をいう。)、大規模の修繕(同条第十四号に規定する大規模の修繕をいう。)又は大規模の模様替(同条第十五号に規定する大規模の模様替をいう。)(以下「建築等」と総称する。)を行つたときは、当該建築等を行つた室における第5条第1項第三号に規定する事項について、当該建築等を完了し、当該室の使用を開始した日以後最初に到来する6月から9月までの期間に1回、測定しなければならない。
ホ 誤り。安衛則第 607 条により、陶磁器、レンガ等を焼成する業務を行う屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及び輻射熱を測定しなければならない。1か月以内ごとに1回ではない。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 (略)
二 暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの
三~十六 (略)
【事務所衛生基準規則】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第587条 令第21条第二号の厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりとする。
一~三 (略)
四 陶磁器、レンガ等を焼成する業務を行なう屋内作業場
五一~十六 (略)
(気温、湿度等の測定)
第607条 事業者は、第587条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない。
2 (略)