問1 常時 300 人の労働者を使用する造船業の事業場における安全衛生管理体制に関する次の文中の A ~ C に入る語句又は数値の組合せとして、労働安全衛生法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
事業者は、 A を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は法令の規定により技術的な事項を管理する者の指揮をさせるとともに、所定の業務を統括管理させなければならない。また、 A の選任は、 A を選任すべき事由が発生した日から B 日以内に行わなければならない。
また、事業者は、安全委員会及び衛生委員会又はこれらに代えて安全衛生委員会を設置しなければならず、衛生委員会又は安全衛生委員会の委員は、 C のうちから事業者が指名した者を含めて構成しなければならない。
A | B | C | |||
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(1) | 総括安全衛生管理者 | 14 | 衛生管理者 | ||
(2) | 総括安全衛生管理者 | 14 | 作業環境測定士 | ||
(3) | 総括安全衛生管理者 | 30 | 作業環境測定士 | ||
(4) | 統括安全衛生責任者 | 14 | 作業環境測定士 | ||
(5) | 統括安全衛生責任者 | 30 | 衛生管理者 |

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更する(号番号等を除く)などの修正を行いました。
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2024年度(令和6年度) | 問01 | 難易度 | 総括安全衛生管理者及び産業医は基本中の基本。本問は正答できる必要がある。 |
---|---|---|---|
労働安全衛生管理体制 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問1 常時 300 人の労働者を使用する造船業の事業場における安全衛生管理体制に関する次の文中の A ~ C に入る語句又は数値の組合せとして、労働安全衛生法令上、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
事業者は、 A を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は法令の規定により技術的な事項を管理する者の指揮をさせるとともに、所定の業務を統括管理させなければならない。また、 A の選任は、 A を選任すべき事由が発生した日から B 日以内に行わなければならない。
また、事業者は、安全委員会及び衛生委員会又はこれらに代えて安全衛生委員会を設置しなければならず、衛生委員会又は安全衛生委員会の委員は、 C のうちから事業者が指名した者を含めて構成しなければならない。
A | B | C | |||
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(1) | 総括安全衛生管理者 | 14 | 衛生管理者 | ||
(2) | 総括安全衛生管理者 | 14 | 作業環境測定士 | ||
(3) | 総括安全衛生管理者 | 30 | 作業環境測定士 | ||
(4) | 統括安全衛生責任者 | 14 | 作業環境測定士 | ||
(5) | 統括安全衛生責任者 | 30 | 衛生管理者 |
正答(1)
【解説】
本問は、衛生管理に関する基本的な内容であり、正答率は極めて高かった。初学者以外は、ほぼ正答できたということであろう。
まず、Aについては、「安全管理者、衛生管理者又は法令の規定により技術的な事項を管理する者の指揮をさせる」べき者であるから、安衛法第 10 条第1項により総括安全衛生管理者となる。
なお、「統括安全衛生責任者」は、安衛法第15条第1項により、その労働者及びその請負人の労働者が混在して作業を行うときに、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するために選任するべきものである。
【トップが就任する管理者】
- 単独企業:総括安全衛生管理者(安全衛生に関する業務の統括管理)
- 重層下請:統括安全衛生責任者(下請け構造における災害防止)
次に、Bは安衛則第2条第1項により、14 日となる。安全衛生法で選任が必要となる各管理者・責任者の選任期限は、ほとんどの場合、選任すべき事由が発生した日から 14 日以内である(※)。
※ 例外は、元方安全衛生管理者(安衛則第 18 条の3)、店社安全衛生管理者(安衛則第 18 条の6)、安全衛生責任者(安衛則第 16 条)、救護に関する技術的事項を管理する者(安衛則第 24 条の7)などがある。
これらについては、選任の猶予規定(14 日以内など)が定められていないため、選任すべき事由が発生するときまでに選任しておかなければならない。
また、Cは安衛法第 18 条第2項(第二号)により衛生管理者となる。なお、作業環境測定士は事業場内の者について同条第3項により、選任することができるとされているのみである。
【労働安全衛生法】
(総括安全衛生管理者)
第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一~五 (略)
2及び3 (略)
(衛生委員会)
第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一~四 (略)
2 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
二 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
三 産業医のうちから事業者が指名した者
四 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
3 事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができる。
4 (略)
(安全衛生委員会)
第19条 事業者は、第17条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)
第2条 労働安全衛生法(以下「法」という。)第10条第1項の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。
一 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 100人
二 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 300人
三 その他の業種 1,000人
(衛生委員会を設けるべき事業場)
第9条 法第18条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。
【労働安全衛生規則】
(総括安全衛生管理者の選任)
第2条 法第10条第1項の規定による総括安全衛生管理者の選任は、総括安全衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に行なわなければならない
2 (略)