問26 厚生労働省の「石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程」における教育の科目及び範囲について、下表の A ~ C に入る語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
科目 | 範囲 |
---|---|
石綿の有害性 | 石綿の性状石綿による疾病の病理及び症状 A |
石綿等の使用状況 | 石綿を含有する製品の種類及び用途 B |
石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置 | 建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。)の解体等の作業の方法 C 作業場所の隔離の方法その他石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置について必要な事項 |
保護具の使用方法 | 保護具の種類、性能、使用方法及び管理 |
その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項 | 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則及び石綿障害予防規則中の関係条項石綿等による健康障害を防止するため当該業務について必要な事項 |
A | B | C | |||
---|---|---|---|---|---|
(1) | 喫煙の影響 | 事前調査の方法 | 湿潤化の方法 | ||
(2) | 喫煙の影響 | 事前調査の方法 | 局所排気装置等の点検の方法 | ||
(3) | 喫煙の影響 | 分析調査の結果 | 湿潤化の方法 | ||
(4) | 年齢の影響 | 事前調査の方法 | 湿潤化の方法 | ||
(5) | 年齢の影響 | 分析調査の結果 | 局所排気装置等の点検の方法 |

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2024年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2024年度(令和06年度) | 問26 | 難易度 | 特別教育規定の内容まで覚えている受験者はいないだろう。その内容から正答を判断するしかない。 |
---|---|---|---|
石綿解体特別教育 | 2 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問26 厚生労働省の「石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程」における教育の科目及び範囲について、下表の A ~ C に入る語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
科目 | 範囲 |
---|---|
石綿の有害性 | 石綿の性状石綿による疾病の病理及び症状 A |
石綿等の使用状況 | 石綿を含有する製品の種類及び用途 B |
石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置 | 建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。)の解体等の作業の方法 C 作業場所の隔離の方法 その他石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置について必要な事項 |
保護具の使用方法 | 保護具の種類、性能、使用方法及び管理 |
その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項 | 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則及び石綿障害予防規則中の関係条項 石綿等による健康障害を防止するため当該業務について必要な事項 |
A | B | C | |||
---|---|---|---|---|---|
(1) | 喫煙の影響 | 事前調査の方法 | 湿潤化の方法 | ||
(2) | 喫煙の影響 | 事前調査の方法 | 局所排気装置等の点検の方法 | ||
(3) | 喫煙の影響 | 分析調査の結果 | 湿潤化の方法 | ||
(4) | 年齢の影響 | 事前調査の方法 | 湿潤化の方法 | ||
(5) | 年齢の影響 | 分析調査の結果 | 局所排気装置等の点検の方法 |
正答(1)
【解説】
本問は、「石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程」(最終改正:平成 21 年2月5日厚生労働省告示第 23 号)(※)に関する問題である。それほど長いものではないので、全文を下記に示すが、ここに記された表から(1)が正しい。
※ 範囲の各欄の文章の途中に空白があるが、これは個々の項目の区切りである。空白の前後で、直接の意味のつながりはない。
さすがに、この教育に携わってでもいない限り、特別教育規定の内容を覚えている受験者は。まずいないだろう。従って、教育の必要性という観点から、試験場の現場で考えて解答するしかない。ほとんどの受験者がそうしたと思われるが、正答率はかなり高い。
次のようなことから、正答は可能だったのではないか。
- Aについて 石綿による健康障害の発現には、喫煙の影響を強く受ける(※1)ので、これを教育する必要性は高い。一方、年齢についても影響がないとはいえないが(※2)、それについて教育する必要性はそれほど高くはないだろう。
- Bについて 石綿が使用された建築物等の解体等の業務に当たるものに対して、事前調査の方法を教育することは、絶対に必要である。一方、分析調査の結果(石綿則様式第1号)は、建築物の各部分に石綿があるかないかを示しているだけなので教育を行う必要性は低いだろう。また、教育すべき事項として「分析調査の結果の見方」や「分析調査の結果の報告」となっていればともかく、「分析調査の結果」だけでは、何を教育するべきなのか分からず日本語として違和感がある。
- Cについて 石綿が使用された建築物等の解体等の業務で局所排気装置を使うとは考え難い。従って、教育を行う必要性はないだろう。一方、粉じん対策として、湿潤化の方法は重要な項目である。
※1 独立行政法人環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」など
※2 ILO「年齢、性別、その他の要因の影響」(2010 年 12 月 20 日)など
【石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程】
石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第27条第2項の規定に基づき、石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程を次のように定め、平成17年7月1日から適用する。
石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程
石綿障害予防規則第27条第1項の規定による特別の教育は、学科教育により、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。
※ 厚生労働省「石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程」(最終改正:平成 21 年2月5日厚生労働省告示第 23 号)
科目 範囲 時間 石綿の有害性 石綿の性状石綿による疾病の病理及び症状 喫煙の影響 0.5時間 石綿等の使用状況 石綿を含有する製品の種類及び用途 事前調査の方法 1時間 石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置 建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。)の解体等の作業の方法 湿潤化の方法 作業場所の隔離の方法 その他石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置について必要な事項 1時間 保護具の使用方法 保護具の種類、性能、使用方法及び管理 1時間 その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則及び石綿障害予防規則中の関係条項 石綿等による健康障害を防止するため当該業務について必要な事項 1時間