労働衛生コンサルタント試験 2024年 労働衛生一般 問21

照明(全般)




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2024年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2024年度(令和06年度) 問21 難易度 過去問にも類問はなく、かなり専門的な内容の肢も含まれており、やや難問である。
照明  5 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問21 照明に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

(1)照度とは、単位立体角当たりに放出される光束を観測方向から見た見掛けの面積で割った値のことである。

(2)グレアとは、照明の光が明滅し、物がちらついて見えることをいう。

(3)間接照明は、光線のほとんどが対象に向けて放射される照明方式で、コントラストの強い影ができる。

(4)演色評価数は、標準光源の色の見え方と対象とする照明の色の見え方を比較して、その色のずれを数値で表したもので、色のずれが大きいほどその値は大きくなる。

(5)照明の光色は色温度で表され、色温度が高いと青みを帯びた光色、色温度が低いと赤みを帯びた光色となる。

正答(5)

【解説】

問21試験結果

試験解答状況
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本問は、正答の(5)よりも(1)と(4)を選んだ受験者の方が多かった。(5)は温度が高い方が青、温度が低い方が赤という、一般的な常識と異なる内容だったために、適切ではないと考えたものであろうか。

なお、(4)はやや専門的に過ぎる内容である。コンサルタントとして、ここまでの知識が必要なのかは、やや疑問を感じないでもない。

(1)誤り。本肢は輝度の説明である。照度は、単位面積当たりに入射する光束であり、明るさの指標である。本肢は、2016 年度問 20 の(1)を変形(輝度と照度を入れ替えている)した内容である。過去問を学習しておけば、本肢は誤りだと分かったはずである。

言葉を換えれば、照度とはある面にどれだけの光が届いているかを表す値(単位:㏓(ルクス)=㏐/㎡(ルーメン毎平方メートル))であり、輝度とはそれを観測する人の眼にその面の明るさがどれだけ届いているかを表す値(単位:㏅/㎡(カンデラ毎平方メートル))である。

従って、照度は、本肢にある観測方向がどうであろうと関係がない。また、光の当たる面の状態(色やざらつき)とも無関係である。これに対し、輝度は見る角度によって変わるし、光の当たる面の状況にによっても変化する。

(2)誤り。グレアとはとは不快感のある眩しさのこと。本肢は、フリッカのことであろう。

【情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン】

解説

「4 作業環境管理」について

(1)照明及び採光

イ~ハ (略)

 「グレア」とは、視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによっておきる不快感や見にくさのことで、光源から直接又は間接に受けるギラギラしたまぶしさなどをいう。

 (略)

「5 作業管理」について

(1)作業時間等

 (略)

ロ 一連続作業時間及び作業休止時間

(イ) (前段略)

  一連続作業時間の目安として1時間としているのは、パソコン作業がおおよそ1時間以上連続した場合には誤入力の頻度が増すことやフリッカー値が低下する(フリッカー値とは光の点滅頻度のことで、この値の低下は覚醒水準の低下に起因する視覚機能の低下を反映していると考えられる。)、すなわち大脳の疲労と関連する指標値に変化が見られたという研究結果に基づいている。

(ロ) (略)

 (略)

※ 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(最終改正:令和3年 12 月1日基発 1201 第7号)」の「解説」より(下線強調引用者)

(3)誤り。間接照明とは、照らしたい部分を直接照らすのではなく、天井や壁を照らしてその反射で空間全体を明るくする照明のことである。本肢は、直接照明の説明である。

(4)誤り。演色評価数(CRI)とは、ある光源で物を照らしたとき、どれだけ自然に見えるかについて、その光源を評価する指数で、0から 100 までの値をとる。

どのように評価するかは、JIS Z 8726:1990「光源の演色性評価方法」に定められている。15 種類(国際的には肌色を抜いた 14 色)の標準色を用いて、標準光源の色の見え方と対象とする照明の色の見え方を比較して、その色のずれを数値で表す。その値は、色のずれが小さければ0に近く、大きければ 100 に近くなる。

演色評価数が 100 の光源で照らせば、照らされたものの色が完全に自然に見える(ことになっている)が、0であればきわめて不自然な色に見える。

(5)適切である。色温度とは、光の色味を表す値(単位:K(ケルビン))である。色温度が高いと赤みを帯びた光色、色温度が低いと青みを帯びた光色となるので、本肢は逆の説明となっている。

ガス溶接で、炎を適切に調整すると青みを帯びた炎になるが、酸素が不足気味だと赤みを帯びた炎になり、青い炎の方が温度が高い。一般的な感覚とは逆なので注意したい。

黒瀬政男氏の動画で分かりやすいものがあるので、埋め込みで引用させて頂く(音が出ます)。