問19 作業環境測定に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)A測定で、測定値が定量下限の値に満たない測定点があるときは、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなして、管理区分の決定を行う。
(2)B測定で、複数の作業位置でどこが最大濃度となるか予測できないときは、最大濃度となる可能性がある全ての点で測定を行い、得られた測定値の最大値をB測定値とする。
(3)2日間測定を実施する場合、連続する2作業日に測定を行うことができない合理的な理由があるときは、必要最小限の間隔を空けた2作業日に測定を行ってよい。
(4)C測定は、単位作業場所において、労働者にばく露される個人サンプリング法の対象物質の量が均一でないと見込まれる作業ごとに、それぞれ、5人以上の適切な数の労働者に対して行う。
(5)D測定を行う場合は、作業が行われる時間のうち、対象となる個人サンプング法の対象物質の濃度が最も高くなると思われる時間に、15分間のサンプリングを行う。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2024年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2024年度(令和06年度) | 問19 | 難易度 | 過去問も多く、基本的な内容の知識問題。十分な学習によって正答できるタイプの問題である。 |
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作業環境測定 | 4 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問19 作業環境測定に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)A測定で、測定値が定量下限の値に満たない測定点があるときは、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなして、管理区分の決定を行う。
(2)B測定で、複数の作業位置でどこが最大濃度となるか予測できないときは、最大濃度となる可能性がある全ての点で測定を行い、得られた測定値の最大値をB測定値とする。
(3)2日間測定を実施する場合、連続する2作業日に測定を行うことができない合理的な理由があるときは、必要最小限の間隔を空けた2作業日に測定を行ってよい。
(4)C測定は、単位作業場所において、労働者にばく露される個人サンプリング法の対象物質の量が均一でないと見込まれる作業ごとに、それぞれ、5人以上の適切な数の労働者に対して行う。
(5)D測定を行う場合は、作業が行われる時間のうち、対象となる個人サンプング法の対象物質の濃度が最も高くなると思われる時間に、15分間のサンプリングを行う。
正答(4)
【解説】
本問は、「作業環境測定基準(最終改訂:令和6年4月 10 日厚生労働省告示第 187 号)」及び「作業環境評価基準(令和2年4月 22 日厚生労働省告示第 192 号)」からの出題である。
この2つの告示の内容は、過去問でも繰り返し問われている。それほど長大な内容でもないので、学習により基本的な枠組みを理解・記憶しておくことで正答は可能である(※)。
※ さすがに、(これまでは)数式を覚えていなければ正答できないような問題は出されていない。今後も出題されるようなことはないとは思うが・・・。
なお、作業環境測定のこの2つの告示の内容は技術的な内容なので、難しく感じる方もおられるかもしれないが、内容はそれほど複雑なわけではない。これに関係する過去問は、すべて、その内容を理解しておくことをお勧めする。
(1)正しい。作業環境評価基準第2条第2項により、A測定で、測定値が定量下限の値に満たない測定点があるときは、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなして、管理区分の決定を行う。
【作業環境評価基準】
(測定結果の評価)
第2条 労働安全衛生法第65条の2第1項の作業環境測定の結果の評価は、単位作業場所(作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)第2条第1項第一号に規定する単位作業場所をいう。以下同じ。)ごとに、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号の表の下欄に掲げるところにより、第一管理区分から第三管理区分までに区分することにより行うものとする。
一及び二 (略)
2 測定対象物の濃度が当該測定で採用した試料採取方法及び分析方法によって求められる定量下限の値に満たない測定点がある単位作業場所にあっては、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなして、前項の区分を行うものとする。
3及び4 (略)
※ 厚生労働省「作業環境評価基準」(令和2年4月 22 日厚生労働省告示第 192 号)
(2)正しい。作業環境測定基準作業環境測定結果摘要書(様式第2号)には「「B測定値又はD測定値」の欄は、B測定値又はD測定値が二以上ある場合には、そのうちの最大値を記入すること
」とされている。
※ 令和2年 12 月 25 日厚生労働省告示第 397 号による改正前の「作業環境測定結果摘要書(様式第2号)」には「『B測定値』の欄は、二以上の測定点においてB測定を行った場合には、そのうちの最大値を記入すること
」とされていた。
(3)正しい。「作業環境評価基準」第3条は、第一評価値及び第二評価値の計算の手順を示しているが、その第2項は「連続する二作業日(連続する二作業日について測定を行うことができない合理的な理由がある場合にあっては、必要最小限の間隔を空けた二作業日)に測定を行ったとき」についての定めがある。
【作業環境評価基準】
(評価値の計算)
第3条 前条第一項の第一評価値及び第二評価値は、次の式により計算するものとする。
(これらの式において、、、及びは、それぞれ次の値を表すものとする。
2 前項の規定にかかわらず、連続する2作業日(連続する2作業日について測定を行うことができない合理的な理由がある場合にあつては、必要最小限の間隔を空けた2作業日)に測定を行つたときは、第一評価値及び第二評価値は、次の式により計算することができる。
(これらの式において、、、、、及びは、それぞれ次の値を表すものとする。
※ 厚生労働省「作業環境評価基準」(令和2年4月 22 日厚生労働省告示第 192 号)
(4)誤り。作業環境評価基準第 10 条第5項(第二号)の規定により、C測定は、作業に従事する労働者が5人未満の場合を除き、単位作業場所において、5人以上の適切な数の労働者に対して行う。
【作業環境評価基準】
(特定化学物質の濃度の測定)
第10条 (第1項~第4項 略)
5 前項の規定にかかわらず、第1項に規定する測定のうち、令別表第三第一号1、3から6まで又は同表第二号1、2、3の2、5から11まで、13、13の2、15から18まで、19、19の4から22まで、23から23の3まで、25から27の2まで、30、31の2から33まで、34の3若しくは36に掲げる物(以下この項において「個人サンプリング法対象特化物」という。)の濃度の測定は、次に定めるところによることができる。
一 (略)
二 前号の規定による試料採取機器等の装着は、単位作業場所において、労働者にばく露される個人サンプリング法対象特化物の量がほぼ均一であると見込まれる作業ごとに、それぞれ、適切な数の労働者に対して行うこと。ただし、その数は、それぞれ、5人を下回つてはならない。
三 (略)
四 単位作業場所において作業に従事する労働者の数が5人を下回る場合にあつては、第二号ただし書及び前号本文の規定にかかわらず、1の労働者が1の作業日のうち単位作業場所において作業に従事する時間を分割し、2以上の第一号の規定による試料空気の採取等が行われたときは、当該試料空気の採取等は、当該2以上の採取された試料空気の数と同数の労働者に対して行われたものとみなすことができること。
五及び六 (略)
6~8 (略)
※ 厚生労働省「作業環境測定基準」(最終改訂:令和6年4月 10 日厚生労働省告示第 187 号)
(5)正しい。作業環境評価基準第 10 条第5項(第六号)の規定により、D測定を行う場合は、作業が行われる時間のうち、対象となる個人サンプング法の対象物質の濃度が最も高くなると思われる時間に、15 分間のサンプリングを行う。
【作業環境評価基準】
(特定化学物質の濃度の測定)
第10条 (第1項~第4項 略)
5 前項の規定にかかわらず、第1項に規定する測定のうち、令別表第三第一号1、3から6まで又は同表第二号1、2、3の2、5から11まで、13、13の2、15から18まで、19、19の4から22まで、23から23の3まで、25から27の2まで、30、31の2から33まで、34の3若しくは36に掲げる物(以下この項において「個人サンプリング法対象特化物」という。)の濃度の測定は、次に定めるところによることができる。
一~四 (略)
五 個人サンプリング法対象特化物の発散源に近接する場所において作業が行われる単位作業場所にあつては、前各号に定めるところによるほか、当該作業が行われる時間のうち、空気中の個人サンプリング法対象特化物の濃度が最も高くなると思われる時間に、試料空気の採取等を行うこと。
六 前号の規定による試料空気の採取等の時間は、15分間とすること。
6~8 (略)
※ 厚生労働省「作業環境測定基準」(最終改訂:令和6年4月 10 日厚生労働省告示第 187 号)