労働衛生コンサルタント試験 2024年 労働衛生一般 問10

振動障害の診断に用いられる検査項目




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2024年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2024年度(令和06年度) 問10 難易度 専門的な内容だが、過去問に類例がある。常識的に考えれば正答可能。確実に正答しておきたい。
振動障害の診断  1 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問10 振動障害の診断に用いられる検査項目として、適切でないものは次のうちどれか。

(1)握力(最大握力、瞬発握力)

(2)手指の皮膚温

(3)血圧

(4)爪圧迫

(5)24時間心電図

正答(5)

【解説】

問10試験結果

試験解答状況
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本問は、振動障害の診断に用いられる検査項目を問うものである。振動障害についての政府の労災認定基準である「振動障害の認定基準について(昭和 52 年5月 28 日基発第 307 号)」(以下「認定基準」という。)により、認定の基準として定められているものは、診断に用いられる検査項目であるとしてよいであろう。

認定基準にないものは、一般的な健康診断の診断項目となっているかどうかによろう。

なお、過去問では、2015年の問7に類問がある。

(1)適切である。握力(最大握力、瞬発握力)は、認定基準において労災認定の判断に用いられている。

(2)適切である。手指の皮膚温は、認定基準において労災認定の判断に用いられている。

(3)適切でないとは言えない。血圧の測定は、振動工具の取扱い等の業務に係る特殊健康診断の項目とされている。

(4)適切である。爪圧迫は、認定基準において労災認定の判断に用いられている。

(5)適切ではない。24時間心電図は振動障害の診断に役立つようなものではない。

【振動障害の認定基準について】

  解説

  さく岩機、鋲打機、チェンソー等の振動工具を取り扱うことにより身体局所に振動ばく露を受ける業務(以下「振動業務」という。)に従事する労働者に発生した疾病であって、次の1及び2の要件を満たし、療養を要すると認められるものは、労働基準法施行規則別表第1の2第3号3に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。

  (略)

1.(略)

2.次に掲げる要件のいずれかに該当する疾病であること。

(1)手指、前腕等にしびれ、痛み、冷え、こわばり等の自覚症状が持続的又は間けつ的に現われ、かつ、次のイからハまでに掲げる障害のすべてが認められるか、又はそのいずれかが著明に認められる疾病であること。

 手指、前腕等の末梢循環障害

 手指、前腕等の末梢神経障害

 手指、前腕等の骨、関節、筋肉、腱等の異常による運動機能障害

(2)(略)

解説

4.症状及び障害について

(2) 末梢循環障害、末梢神経障害及び運動機能障害について

  本文2の(1)の末梢循環障害、末梢神経障害及び運動機能障害のは握は、原則として別添1に掲げる検査によることとし、検査結果の評価は、別添2によること。

  (以下略)

別添1 振動障害に関する検査項目及び検査手技について

1 末梢循環機能検査

(1)手指の皮膚温

  (検査方法略)

(2)爪圧迫

  (検査方法略)

2 末梢神経機能検査(感覚検査)

  (検査内容略)

3 運動機能検査

(1)握力(最大握力、瞬発握力)

  (検査方法略)

※ 厚生労働省「振動障害の認定基準について」(昭和 52 年5月 28 日基発第 307 号)(下線強調引用者)

【振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について】

Ⅰ 第一次健康診断

1~3 (略)

4 運動機能検査

  運動機能検査は、被検者の協力が必要であり、また巧拙が大きく影響するので、検査の実施に当たっては十分留意すること。

(1)握力(最大握力、瞬発握力)

  (検査方法略)

(2)(略)

5 血圧、最高血圧及び最低血圧

6 末梢循環機能検査

  室温20℃~23℃位の室で30分以上安静にさせた後行うこと。

(1)手指の皮膚温

  (検査方法略)

(2)爪圧迫

  (検査方法略)

 (略)

Ⅱ 第二次健康診断

1 末循環機能検査

  室温20℃~23℃位の室で30分以上安静にさせた後行うこと。

(1)手指の皮膚温

  (検査方法略)

(2)爪圧迫

  (検査方法略)

 (略)

Ⅲ 医師が必要と認めた場合に実施する項目

1及び2 (略)

 心電図検査

  高年令者、高血圧者等について、安静時心電図をとること。また、必要な場合は、負荷心電図をとること。

4及び5 (略)

Ⅳ (略)

※ 厚生労働省「振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について」(昭和 50 年 10 月 20 日基発第 609 号)(下線強調引用者)

【振動工具(チエンソー等を除く。)の取扱い等の業務に係る特殊健康診断】

3 健康診断の項目

(1)第一次健康診断

イ~ハ (略)

 握力検査

 血圧検査

 末梢循環機能検査

  常温における手指の爪圧迫テスト及び皮膚温

ト及びチ (略)

(2)第二次健康診断

 末梢循環機能検査

  常温における手指の爪圧迫テスト及び皮膚温

 (略)

 筋力検査

(イ) 5回法又は 60 %法による維持握力

(ロ) つまみ力

(3) 健康診断の結果医師が特に必要と認めた者については、次の項目のうち医師が必要と認める事項を行う。

イ~ハ (略)

 心電図又は負荷心電図

 (略)

※ 厚生労働省「振動工具(チエンソー等を除く。)の取扱い等の業務に係る特殊健康診断について」(昭和 49 年1月 28 日基発第 45 号)(下線強調引用者)