労働衛生コンサルタント試験 2024年 労働衛生一般 問03

労働衛生統計




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 このページは、2024年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2024年度(令和06年度) 問03 難易度 やや細かな内容の肢もあるが、基本的な知識があれば正答できる。確実に正答しておかなければならない。
労働衛生統計  4 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問3 厚生労働省の労働衛生統計等に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 「精神障害の労災補償状況」によると、精神障害による労災補償支給決定件数は、平成 30 年度以降増加傾向にあり、令和4年度は約 700 件であった。

ロ 「脳・心臓疾患の労災補償状況」によると、脳・心臓疾患の労災補償支給決定件数は、平成 30 年度以降増加傾向にあり、令和4年度は約 500 件であった。

ハ 「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は、労働者数50人以上の事業場で約 50 %であった。

ニ 「第 14 次労働災害防止計画」の記述によると、特定化学物質障害予防規則等による個別規制の対象外となっている化学物質による労働災害が、化学物質による労働災害全体の約8割を占めている。

(1)イ  ロ

(2)イ  ニ

(3)ロ  ハ

(4)ロ  ニ

(5)ハ  ニ

正答(2)

【解説】

問3試験結果

試験解答状況
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衛生統計は、過去問においても頻出事項である。労働衛生統計についての基本的な事項は当サイトの「労働衛生(産業保健)最新統計」で確認をしておいて頂きたい。

本問に関しては、イとロは覚えておかなければならない事項である。ハとニはやや細かい事項だが、ハとニの正誤が分からなくても本問に関しては正答が可能である。

精神障害等による労働災害認定件数の推移

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イ 正しい。「精神障害の労災補償状況」によると、精神障害による労災補償支給決定件数は、平成 30 年度(2018 年度)以降増加傾向にあり、令和4年度(2022 年度)は約 700 件であった。

脳・心臓疾患の労災補償状況の推移

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ロ 誤り。「脳・心臓疾患の労災補償状況」によると、脳・心臓疾患の労災補償支給決定件数は、平成30年度(2018年度)以降令和3年度(2021 年度)まで減少しており、その後増加に転じたものの、令和4年度(2022 年度)は 194 件であった。

メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合

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ハ 誤り。「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は、労働者数 50 人以上の事業場で 91.1 %であった。

労働安全衛生調査(実態調査)による「メンタルヘルス対策」の中には、常時 50 人以上の労働者を雇用する事業場の事業者に対して、法令で義務付けられている事項(衛生委員会での調査審議(安衛則第 22 条第十号)及びストレスチェックの実施(安衛法第 66 条の 10))も含まれているのである。そのことを知っていれば、約 50 %ではあまりにも少なすぎると分かるだろう。

ニ 正しい。「第14次労働災害防止計画」の記述によると、特定化学物質障害予防規則等による個別規制の対象外となっている化学物質による労働災害が、化学物質による労働災害全体の約8割を占めている。

【第14次労働災害防止計画】

2 安全衛生を取り巻く現状と施策の方向性

(1)~(3)(略)

(4)化学物質等による健康障害の現状と対策の方向性

  化学物質の性状に関連の強い労働災害(有害物等との接触、爆発、火災によるもの)は年間約 500 件発生しており、減少がみられない。業種別には、製造業のみならず、建設業、第三次産業における労働災害も多い。また、特定化学物質障害予防規則(昭和 47 年労働省令第 39 号)等による個別規制の対象外となっている物質による労働災害が、これら化学物質による労働災害全体の8割を占めている。(以下略)

(5)(略)

※ 厚生労働省「第14次労働災害防止計画」(令和元年7月1日基発 0701 第1号)