労働衛生コンサルタント試験 2024年 労働衛生一般 問02

職場における受動喫煙防止のためのガイドライン




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2024年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2024年度(令和06年度) 問02 難易度 受動喫煙の防止の問題は過去問に例がないが、正答率は高い。確実に正答できなければならない。
受動喫煙の防止  2 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問2 厚生労働省の「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 第一種施設とは、多数の者が利用する施設のうち、学校、病院、国や地方公共団体の行政機関の庁舎等をいい、「原則敷地内禁煙」とされている。

ロ 第二種施設には一般の事務所や工場が含まれ、「原則屋内禁煙」とされているが、特定の時間を禁煙とする時間分煙は例外的に認められている。

ハ たばこの煙の流出を防止するための技術的基準に適合した喫煙専用室においては、飲料の摂取は認められている。

ニ 喫煙専用室には、20 歳未満の者を立ち入らせてはならず、たとえ清掃作業のためであっても認められない。

(1)イ  ロ

(2)イ  ニ

(3)ロ  ハ

(4)ロ  ニ

(5)ハ  ニ

正答(2)

【解説】

問2試験結果

試験解答状況
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本問は、問題文本文にもあるように、「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン令和元年7月1日基発 0701 第1号)」(以下「ガイドライン」という。)からの出題である。

意外に思えるかもしれないが、受動喫煙に特化した問題が労働衛生一般に出題されるのは、少なくとも本サイトで解説を掲示している 2012 年度以降では初めてである(※)。おそらく、問題数に 30 問という制限があり受動喫煙の問題を割り込ませることが難しかったのだろう。しかし、健康確保の重要性が高まる中で、今後は、出題される可能性は高い。

※ 保健衛生区分の場合は、「健康管理」で頻出事項であり、口述試験でも問われることがあるので、今までも学習の必要性はあった。

イ 正しい。ガイドラインの2の(2)によれば、第一種施設とは、多数の者が利用する施設のうち、学校、病院、国や地方公共団体の行政機関の庁舎等をいうとされている。また、ガイドラインの5の(1)により、「原則敷地内禁煙」とされている。

【職場における受動喫煙防止のためのガイドライン】

2 用語の定義

  本ガイドラインで使用する用語の定義は、次に掲げるとおりであること。

(1)(略)

(2)第一種施設

  「第一種施設」とは、多数の者が利用する施設のうち、学校、病院、児童福祉施設その他の受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設として健康増進法施行令(平成 14 年政令第 361 号)第3条及び健康増進法施行規則(平成 15 年厚生労働省令第 86 号)第 12 条から第 14 条までに規定するもの並びに国及び地方公共団体の行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る。)をいうこと。

(3)~(8)(略)

5 各種施設における受動喫煙防止対策

(1)第一種施設

  事業者は、第一種施設が健康増進法により「原則敷地内禁煙」とされていることから、第一種施設内では、受動喫煙を防止するために必要な別紙1の技術的基準を満たす特定屋外喫煙場所を除き、労働者に敷地内で喫煙させないこと。また、技術的基準を満たすための効果的手法等の例には、別紙2に示すものがあること。

(2)~(4)(略)

※ 厚生労働省「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」(令和元年7月1日基発 0701 第1号)

【健康増進法】(参考)

(定義)

第28条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 第一種施設 多数の者が利用する施設のうち、次に掲げるものをいう。

 学校、病院、児童福祉施設その他の受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設として政令で定めるもの

 国及び地方公共団体の行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る。)

六~十四 (略)

(特定施設等における喫煙の禁止等)

第29条 何人も、正当な理由がなくて、特定施設等においては、次の各号に掲げる特定施設等の区分に応じ、当該特定施設等の当該各号に定める場所(以下この節において「喫煙禁止場所」という。)で喫煙をしてはならない。

 第一種施設 次に掲げる場所以外の場所

 特定屋外喫煙場所

 喫煙関連研究場所

二~五 (略)

 (略)

ロ 誤り。ガイドラインの5の(2)のアにより、第二種施設においても、特定の時間を禁煙とする時間分煙は認められていない。かつては空間分煙ができない場合に限って次善の策として時間分煙を認めていたこともあったが、時間分煙を行っても喫煙可能な時間帯に受動喫煙が起きるので、受動喫煙防止の意味はない。このため、現在は、どのような場合にも時間分煙は認められていない。

なお、第二種施設には一般の事務所や工場が含まれ、「原則屋内禁煙」とされていることは正しい。

【職場における受動喫煙防止のためのガイドライン】

2 用語の定義

  本ガイドラインで使用する用語の定義は、次に掲げるとおりであること。

(1)及び(2)(略)

(3)第二種施設

  「第二種施設」とは、多数の者が利用する施設のうち、第一種施設及び喫煙目的施設以外の施設(一般の事務所や工場、飲食店等も含まれる。)をいうこと。

(4)~(8)(略)

5 各種施設における受動喫煙防止対策

(1)(略)

(2)第二種施設

 事業者は、第二種施設が健康増進法により「原則屋内禁煙」とされていることから、第二種施設内では、次に掲げるたばこの煙の流出を防止するための技術的基準に適合した室を除き、労働者に施設の屋内で喫煙させないこと。

(ア)及び(イ)(略)

(3)及び(4)(略)

※ 厚生労働省「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」(令和元年7月1日基発 0701 第1号)

ハ 誤り。喫煙専用室は、喫煙のみが可能な専用室で、飲食等を提供することはできない。飲食が認められるのは指定たばこ専用喫煙室である。

【職場における受動喫煙防止のためのガイドライン】

2 用語の定義

  本ガイドラインで使用する用語の定義は、次に掲げるとおりであること。

(1)~(6)(略)

(7)喫煙専用室

  「喫煙専用室」とは、第二種施設等の屋内又は内部の場所の一部の場所であって、構造及び設備がその室外の場所(第二種施設等の屋内又は内部の場所に限る。)へのたばこの煙の流出を防止するための技術的基準に適合した室を、専ら喫煙をすることができる場所として定めたものをいうこと。

  専ら喫煙をする用途で使用されるものであることから、喫煙専用室内で飲食等を行うことは認められないこと。

(8)指定たばこ専用喫煙室

  「指定たばこ専用喫煙室」とは、第二種施設等の屋内又は内部の場所の一部の場所であって、構造及び設備がその室外の場所(第二種施設等の屋内又は内部の場所に限る。)への指定たばこ(加熱式たばこをいう。)の煙の流出を防止するための技術的基準に適合した室を、指定たばこのみ喫煙をすることができる場所として定めたものをいうこと。

  指定たばこ専用喫煙室内では、飲食等を行うことが認められていること。

※ 厚生労働省「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」(令和元年7月1日基発 0701 第1号)

ニ 正しい。ガイドラインの4の(1)により、喫煙専用室には、20 歳未満の者を立ち入らせてはならない。たとえ清掃作業のためであっても同様である。

【職場における受動喫煙防止のためのガイドライン】

4 喫煙可能な場所における作業に関する措置

(1)20 歳未満の者の立入禁止

  事業者は、健康増進法において、喫煙専用室などの喫煙可能な場所に 20 歳未満の者を立ち入らせることが禁止されていることから、20 歳未満の労働者を喫煙専用室等に案内してはならないことはもちろん、20 歳未満の労働者を喫煙専用室等に立ち入らせて業務を行わせないようにすること(喫煙専用室等の清掃作業も含まれる。)。また、20 歳未満と思われる者が喫煙専用室等に立ち入ろうとしている場合にあっては、施設の管理権原者等に声掛けをすることや年齢確認を行うことで 20 歳未満の者を喫煙専用室等に立ち入らせないようにさせること。

(2)及び(3)(略)

※ 厚生労働省「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」(令和元年7月1日基発 0701 第1号)

【健康増進法】(参考)

(喫煙専用室)

第33条 (第1項 略)

 第二種施設等の管理権原者は、前項の規定により当該第二種施設等の基準適合室の場所を専ら喫煙をすることができる場所として定めようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該場所の出入口の見やすい箇所に、次に掲げる事項を記載した標識(以下この節において「喫煙専用室標識」という。)を掲示しなければならない。

 (略)

 当該場所への二十歳未満の者の立入りが禁止されている旨

 (略)

3及び4 (略)

 喫煙専用室設置施設等の管理権原者等は、20歳未満の者を当該喫煙専用室設置施設等の喫煙専用室に立ち入らせてはならない。

6及び7 (略)