問15 じん肺法及びじん肺法施行規則に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ じん肺管理区分が管理1と決定された者に係る続発性気胸は、じん肺法施行規則に規定する合併症の一つであり、当該合併症にかかっている者は、療養を要するものとする。
ロ 事業者は、新たに常時粉じん作業に従事することになった労働者で、当該作業に従事することとなった日前6か月以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理3ロと決定されたものに対しては、その就業の際、じん肺健康診断を行わなくてもよい。
ハ 事業者は、常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者については、1年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
ニ 事業者は、じん肺管理区分が管理3ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするように努めなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ
(5)ロ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2023年度(令和5年度) | 問15 | 難易度 | じん肺健康診断と管理区分決定に関する基本的な問題である。学習時間によって差のつく問題である。 |
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じん肺健康診断 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問15 じん肺法及びじん肺法施行規則に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ じん肺管理区分が管理1と決定された者に係る続発性気胸は、じん肺法施行規則に規定する合併症の一つであり、当該合併症にかかっている者は、療養を要するものとする。
ロ 事業者は、新たに常時粉じん作業に従事することになった労働者で、当該作業に従事することとなった日前6か月以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理3ロと決定されたものに対しては、その就業の際、じん肺健康診断を行わなくてもよい。
ハ 事業者は、常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者については、1年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
ニ 事業者は、じん肺管理区分が管理3ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするように努めなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ
(5)ロ ニ
正答(5)
【解説】
イ 誤り。続発性気胸は、じん肺法施行規則第1条(第五号)に合併症として規定されている。しかし、本肢の場合、じん肺管理区分が管理1と決定された者であるから合併症はあり得ない。なお、じん肺法第 23 条に、合併症にかかっている者は、療養を要するものとされている。
こういう本質的でない部分であまりにも非常識なことを書かれると、かえって見落とす。ひっかけ問題ではないかと思うが、筆者も最初ここを見落としたために迷った。
なお、管理4の場合も、法的には合併症とは呼ばないので、(口述試験で間違ったことを言わないために)念のために覚えておくこと。
【じん肺法】
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 (略)
二 合併症 じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病をいう。
三~五 (略)
2 合併症の範囲については、厚生労働省令で定める。
3 (略)
(療養)
第23 じん肺管理区分が管理四と決定された者及び合併症にかかつていると認められる者は、療養を要するものとする。
【じん肺法施行規則】
(合併症)
第1条 じん肺法(以下「法」という。)第2条第1項第二号の合併症は、じん肺管理区分が管理二又は管理三と決定された者に係るじん肺と合併した次に掲げる疾病とする。
一 肺結核
二 結核性胸膜炎
三 続発性気管支炎
四 続発性気管支拡張症
五 続発性気胸
六 原発性肺がん
ロ 正しい。じん肺法施行規則第9条(第三号)は、新たに常時粉じん作業に従事することになった労働者で、当該作業に従事することとなった日前6か月以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理3ロと決定されたものに対しては、その就業の際のじん肺健康診断を免除している。
【じん肺法】
(就業時健康診断)
第7条 事業者は、新たに常時粉じん作業に従事することとなつた労働者(当該作業に従事することとなつた日前一年以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理二又は管理三イと決定された労働者その他厚生労働省令で定める労働者を除く。)に対して、その就業の際、じん肺健康診断を行わなければならない。この場合において、当該じん肺健康診断は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を省略することができる。
【じん肺法施行規則】
(就業時健康診断の免除)
第9条 法第七条の厚生労働省令で定める労働者は、次に掲げる労働者とする。
一及び二 (略)
三 新たに常時粉じん作業に従事することとなつた日前六月以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理三ロと決定された労働者
ハ 誤り。じん肺法第8条第1項(第三号)により、3年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
なお、じん肺法第8条第1項及びじん肺則第 10 条第1項はすべて覚えておいた方がよい。
【じん肺法】
(定期健康診断)
第8条 事業者は、次の各号に掲げる労働者に対して、それぞれ当該各号に掲げる期間以内ごとに一回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
一 常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く。) 3年
二 常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理二又は管理三であるもの 1年
三 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理二である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。) 3年
四 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理三である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。)1年
2 (略)
【じん肺法施行規則】
(じん肺健康診断の一部省略)
第10条 事業者は、法第7条から第9条の2までの規定によりじん肺健康診断を行う場合において、当該じん肺健康診断を行う日前3月以内に法第3条第1項各号の検査の全部若しくは一部を行つたとき、又は労働者が当該じん肺健康診断を行う日前3月以内に当該検査を受け、当該検査に係るエックス線写真若しくは検査の結果を証明する書面を事業者に提出したときは、当該検査に相当するじん肺健康診断の一部を省略することができる。
2 (略)
ニ 正しい。じん肺法第 21 条第2項により、事業者は、じん肺管理区分が管理3ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするように努めなければならない。
なお、本条の内容は試験までに記憶しておくこと。
【じん肺法】
(作業の転換)
第21条 都道府県労働局長は、じん肺管理区分が管理三イである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、事業者に対して、その者を粉じん作業以外の作業に常時従事させるべきことを勧奨することができる。
2 事業者は、前項の規定による勧奨を受けたとき、又はじん肺管理区分が管理三ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするように努めなければならない。
3 事業者は、前項の規定により、労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとなつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を都道府県労働局長に通知しなければならない。
4 都道府県労働局長は、じん肺管理区分が管理三ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事している場合において、地方じん肺診査医の意見により、当該労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対して、その者を粉じん作業以外の作業に常時従事させるべきことを指示することができる。