問12 酸素欠乏症等の防止に関する次の記述のうち、酸素欠乏症等防止規則上、誤っているものはどれか。
(1)硫化水素中毒とは、硫化水素の濃度が100万分の10を超える空気を吸入すにより生ずる症状が認められる状態をいう。
(2)冷蔵室、冷凍室等密閉して使用する施設の内部の作業に労働者を従事させる場合は、当該施設の出入口の扉が内部から容易に開くことができる構造のものである場合又は施設の内部に通報装置若しくは警報装置が設けられている場合を除き、労働者が作業に従事する間、出入口の扉が締まらないような措置を講じなければならない。
(3)第二種酸素欠乏危険作業については、酸素欠乏危険作業主任者技能講習を修了した者のうちから、酸素欠乏危険作業主任者を選任しなければならない。
(4)酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合に、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気を行うときは、純酸素を使用してはならない。
(5)酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちにその旨を酸素欠乏危険作業主任者及びその他の関係者に通報する者を置く等異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2023年度(令和5年度) | 問12 | 難易度 | 酸欠則に関する基本的な知識問題であるが、ケアレスミスに注意したい問題。 |
---|---|---|---|
酸素欠乏症の防止 | 2 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問12 酸素欠乏症等の防止に関する次の記述のうち、酸素欠乏症等防止規則上、誤っているものはどれか。
(1)硫化水素中毒とは、硫化水素の濃度が100万分の10を超える空気を吸入すにより生ずる症状が認められる状態をいう。
(2)冷蔵室、冷凍室等密閉して使用する施設の内部の作業に労働者を従事させる場合は、当該施設の出入口の扉が内部から容易に開くことができる構造のものである場合又は施設の内部に通報装置若しくは警報装置が設けられている場合を除き、労働者が作業に従事する間、出入口の扉が締まらないような措置を講じなければならない。
(3)第二種酸素欠乏危険作業については、酸素欠乏危険作業主任者技能講習を修了した者のうちから、酸素欠乏危険作業主任者を選任しなければならない。
(4)酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合に、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気を行うときは、純酸素を使用してはならない。
(5)酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちにその旨を酸素欠乏危険作業主任者及びその他の関係者に通報する者を置く等異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。酸欠則第2条第四号の定義によれば、硫化水素中毒とは、硫化水素の濃度が100万分の10を超える空気を吸入すにより生ずる症状が認められる状態をいうとされている。
【酸素欠乏症等防止規則】
(定義)
第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~三 (略)
四 硫化水素中毒 硫化水素の濃度が百万分の十を超える空気を吸入することにより生ずる症状が認められる状態をいう。
五~八 (略)
(2)正しい。酸欠則第 20 条第1項により、冷蔵室、冷凍室等密閉して使用する施設の内部の作業に労働者を従事させる場合は、当該施設の出入口の扉が内部から容易に開くことができる構造のものである場合又は施設の内部に通報装置若しくは警報装置が設けられている場合を除き、労働者が作業に従事する間、出入口の扉が締まらないような措置を講じなければならない。
【酸素欠乏症等防止規則】
(冷蔵室等に係る措置)
第20条 事業者は、冷蔵室、冷凍室、むろその他密閉して使用する施設又は設備の内部における作業に労働者を従事させる場合は、労働者が作業に従事する間、当該施設又は設備の出入口の扉又は蓋が締まらないような措置を講じなければならない。ただし、当該施設若しくは設備の出入口の扉若しくは蓋が内部から容易に開くことができる構造のものである場合又は当該施設若しくは設備の内部に通報装置若しくは警報装置が設けられている場合は、この限りでない。
2 (略)
(3)誤り。酸欠則第11条第1項により、第二種酸素欠乏危険作業については、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者のうちから、酸素欠乏危険作業主任者を選任しなければならない。酸素欠乏危険作業主任者技能講習ではない。
【酸素欠乏症等防止規則】
(作業主任者)
第11条 事業者は、酸素欠乏危険作業については、第一種酸素欠乏危険作業にあつては酸素欠乏危険作業主任者技能講習又は酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者のうちから、第二種酸素欠乏危険作業にあつては酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者のうちから、酸素欠乏危険作業主任者を選任しなければならない。
2及び3 (略)
(4)正しい。酸欠則第5条第3項により、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合に、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気を行うときは、純酸素を使用してはならない。
純粋な酸素の中では可燃物が極めて燃焼しやすくなるため、酸素は危険なガスなのである。むしろ、安衛則第328条の4では、作業場所に酸素が流入しないような措置を取ることが義務付けられている。。
【酸素欠乏症等防止規則】
(換気)
第5条 事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合は、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上(第二種酸素欠乏危険作業に係る場所にあつては、空気中の酸素の濃度を18パーセント以上、かつ、硫化水素の濃度を百万分の十以下。次項において同じ。)に保つように換気しなければならない。ただし、爆発、酸化等を防止するため換気することができない場合又は作業の性質上換気することが著しく困難な場合は、この限りでない。
2 (略)
3 事業者は、前二項の規定により換気が行われるときは、純酸素を使用してはならない。
【労働安全衛生規則】(参考)
(液化酸素の製造設備の改造等)
第328条の4 事業者は、液化酸素を製造する設備の改造、修理、清掃等を行う場合において、当該設備の内部で作業を行うときは、次に定めるところによらなければならない。
一 当該作業の方法及び順序を決定し、あらかじめ、これを関係労働者に周知させること。
二 当該作業の指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させること。
三 作業箇所に酸素が漏えいしないように、バルブ若しくはコックを二重に閉止し、又はバルブ若しくはコックを閉止するとともに閉止板等を施すこと。
四 前号のバルブ、コック又は閉止板等に施錠し、これらを開放してはならない旨を表示し、又は監視人を置くこと。
(5)正しい。酸欠則第 13 条第1項により、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちにその旨を酸素欠乏危険作業主任者及びその他の関係者に通報する者を置く等異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。
【酸素欠乏症等防止規則】
(監視人等)
第13条 事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、常時作業の状況を監視し、異常があつたときに直ちにその旨を酸素欠乏危険作業主任者及びその他の関係者に通報する者を置く等異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。
2 (略)