問7 労働安全衛生法に基づく監督等に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントに対し、出頭を命ずることができるが、この場合は、出頭を命ずる理由及び聴取しようとする事項を通知するものとする。
ロ 事業者は、労働安全衛生法及びこれに基づく命令の要旨を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること、書面を労働者に交付することその他の所定の方法により、労働者に周知させなければならない。
ハ 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントは、依頼者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所、依頼を受けた年月日等所定の事項を記載した帳簿を備え、これを記載の日から5年間保存しなければならない。
ニ 厚生労働大臣は、労働者がさらされる化学物質等又は労働者の従事する作業と労働者の疾病との相関関係を把握するため必要があると認めるときは、疫学調査その他の調査を行うことができる。
(1)イ ロ ニ
(2)イ ハ ニ
(3)イ ハ
(4)ロ ハ
(5)ロ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2023年度(令和5年度) | 問07 | 難易度 | 過去に類問のない問題。コンサルタント則まで学習が及ばないと難しい。 |
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監督等 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問7 労働安全衛生法に基づく監督等に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントに対し、出頭を命ずることができるが、この場合は、出頭を命ずる理由及び聴取しようとする事項を通知するものとする。
ロ 事業者は、労働安全衛生法及びこれに基づく命令の要旨を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること、書面を労働者に交付することその他の所定の方法により、労働者に周知させなければならない。
ハ 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントは、依頼者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所、依頼を受けた年月日等所定の事項を記載した帳簿を備え、これを記載の日から5年間保存しなければならない。
ニ 厚生労働大臣は、労働者がさらされる化学物質等又は労働者の従事する作業と労働者の疾病との相関関係を把握するため必要があると認めるときは、疫学調査その他の調査を行うことができる。
(1)イ ロ ニ
(2)イ ハ ニ
(3)イ ハ
(4)ロ ハ
(5)ロ ニ
正答(1)
【解説】
イ 正しい。安衛法第100条により、厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントに対し、出頭を命ずることができる。この場合、コンサルタント則第21条(第二号)により、出頭を命ずる理由及び聴取しようとする事項を通知するものとするとされている。
【労働安全衛生法】
(報告等)
第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2及び3 (略)
【労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則】
(報告)
第21条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、法第百条第一項の規定により、コンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずるときは、次の事項を通知するものとする。
一 報告をさせ、又は出頭を命ずる理由
二 出頭を命ずる場合には、聴取しようとする事項
ロ 正しい。安衛法第101条第1項事業者は、労働安全衛生法及びこれに基づく命令の要旨を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること、書面を労働者に交付することその他の所定の方法により、労働者に周知させなければならない。
【労働安全衛生法】
(法令等の周知)
第101条 事業者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させなければならない。
2~4 (略)
ハ 誤り。安衛法第 103 条第3項及びコンサルタント則第 22 条により、労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントは、依頼者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所、依頼を受けた年月日等所定の事項を記載した帳簿を備え、これを記載の日から3年間保存しなければならない。5年ではない。
概して、委員会の記録、定期自主検査の結果、教育・訓練の実施の記録、作業環境測定やリスクアセスメントの結果、産業医の勧告など安衛法上の記録や帳簿類の保存が義務付けられる期間は3年間というケースが多い。5年間の保存は健康診断(石綿と発がん性物質を除く。)や面接指導の関係で多い。
健康診断や面接指導関係以外で記録の保存期間を訪ねられて、正確に覚えていなければ3年間と答えれば、正答の可能性は高い。
【労働安全衛生法】
(書類の保存等)
第103条 (第1項及び第2項 略)
3 コンサルタントは、厚生労働省令で定めるところにより、その業務に関する事項で、厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
【労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則】
(帳簿)
第22条 コンサルタントは、次の各号に掲げる事項を記載した帳簿を備え、これを記載の日から三年間保存しなければならない。
一 依頼者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所
二 依頼を受けた年月日
三 実施した診断の項目
四 依頼者から受けた報酬の額
ニ 正しい。安衛法第108条の2により、厚生労働大臣は、労働者がさらされる化学物質等又は労働者の従事する作業と労働者の疾病との相関関係を把握するため必要があると認めるときは、疫学調査その他の調査を行うことができる。
本条は、労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律(昭和 52 年7月1日法律第 76 号)による法改正によって、化学物質調査制度等とともに追加されたものである。しかし、森山(※)によれば、「相当以前から、本条に基づく疫学的調査は行われていない
」とされており、コンサルタント試験の出題として適切かという疑問は感じる。
※ 森山誠也「労働安全衛生法の改正に向けた法学的視点からの調査研究 分担研究報告書 労働安全衛生法第 106 条から第 108 条の2までの逐条解説」(P2325)(三柴丈典他「労働安全衛生法の改正に向けた法学的視点からの調査研究」(2022年)所収)
【労働安全衛生法】
(疫学的調査等)
第108条の2 厚生労働大臣は、労働者がさらされる化学物質等又は労働者の従事する作業と労働者の疾病との相関関係をは握するため必要があると認めるときは、疫学的調査その他の調査(以下この条において「疫学的調査等」という。)を行うことができる。
2~4 (略)