問18 作業環境測定(A・B測定)のデザインに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね 1.2 以下である場合には、測定点を6mを超える等間隔で引いた縦横の線の交点とすることができる。
(2)A測定では、単位作業場所の範囲が著しく狭い場合であって、単位作業場所における有害物質の濃度がほぼ均一であることが明らかな場合に、測定点の数を5未満としたときは、測定値の総数は5以上にしなくてもよい。
(3)単位作業場所の範囲は平面的な場所だけではなく、有害物質の発生場所を取り巻くように設置された作業足場のような立体的なものとなる場合もある。
(4)単位作業場所は、労働者の作業中の行動範囲、作業に伴って発散する有害物質の分布等の状況等によって決定する。
(5)A測定の2日間測定は、有害物濃度の日間変動を加味した測定結果を得るためであるが、合理的な理由がある場合は、連続する二作業日に実施しなくてもよい。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
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2023年度(令和05年度) | 問18 | 難易度 | 作業環境測定実施時の留意事項に関する設問であるが、ごく常識的な問題である。正答できなければならない。 |
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作業環境測定 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問18 作業環境測定(A・B測定)のデザインに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね 1.2 以下である場合には、測定点を6mを超える等間隔で引いた縦横の線の交点とすることができる。
(2)A測定では、単位作業場所の範囲が著しく狭い場合であって、単位作業場所における有害物質の濃度がほぼ均一であることが明らかな場合に、測定点の数を5未満としたときは、測定値の総数は5以上にしなくてもよい。
(3)単位作業場所の範囲は平面的な場所だけではなく、有害物質の発生場所を取り巻くように設置された作業足場のような立体的なものとなる場合もある。
(4)単位作業場所は、労働者の作業中の行動範囲、作業に伴って発散する有害物質の分布等の状況等によって決定する。
(5)A測定の2日間測定は、有害物濃度の日間変動を加味した測定結果を得るためであるが、合理的な理由がある場合は、連続する二作業日に実施しなくてもよい。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。「作業環境測定基準」に「(気中の:引用者)濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる
」とされている。そして、昭和57年6月14日基発第412号「作業環境測定基準の一部改正について」の記の「1 第二条関係」の(2)に「『粉じんの濃度が均一であることが明らかなとき』には、過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね1.2以下であることが明らかなときがある
」とされている。
【作業環境測定基準】
(粉じんの濃度等の測定)
第2条 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)第二十一条第一号の屋内作業場における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度の測定は、次に定めるところによらなければならない。
一 測定点は、単位作業場所(当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう。以下同じ。)の床面上に六メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上五十センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置(設備等があって測定が著しく困難な位置を除く。)とすること。ただし、単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる。
一の二~四 (略)
2~4 (略)
※ 「作業環境測定基準」(昭和51年4月22日労働省告示第46号 最終改正:令和5年4月17日 厚生労働省告示第174号)
【作業環境測定基準の一部改正について】
1 第二条関係
(1) 削除
(2) 第一項第一号ただし書の「単位作業場所が著しく狭い場合」とは、単位作業場所の広さがおおむね三〇m2以下の場合をいうものであつて、「粉じんの濃度が均一であることが明らかなとき」には、過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね一・二以下であることが明らかなときがあること。
(後段 略)
(3)~(4) (略)
2~4 (略)
※ 「作業環境測定基準の一部改正について」(昭和57年6月14日基発第412号)
(2)誤り。例えば粉じんについては「作業環境測定基準」の第2条の一号の二に「前号の規定にかかわらず、同号の規定により測定点が五に満たないこととなる場合にあっても、測定点は、単位作業場所について五以上とすること。ただし、単位作業場所が著しく狭い場合であって、当該単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、この限りでない
」とされている。
しかし、その場合であっても昭和57年6月14日基発第412号「作業環境測定基準の一部改正について」は、「(これに該当する場合には:引用者)当該単位作業場所における測定値の総数を五以上とするよう指導すること
」とされている。
【作業環境測定基準】
(粉じんの濃度等の測定)
第2条 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)第二十一条第一号の屋内作業場における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度の測定は、次に定めるところによらなければならない。
一 (略)
一の二 前号の規定にかかわらず、同号の規定により測定点が五に満たないこととなる場合にあっても、測定点は、単位作業場所について五以上とすること。ただし、単位作業場所が著しく狭い場合であって、当該単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、この限りでない。
二~四 (略)
2~4 (略)
※ 「作業環境測定基準」(昭和51年4月22日労働省告示第46号 最終改正:令和5年4月17日 厚生労働省告示第174号)
【作業環境測定基準の一部改正について】
1 第二条関係
(1) 削除
(2) (前段 略)
なお、第一項第一号ただし書に該当する場合には、当該単位作業場所における測定値の総数を五以上とするよう指導すること。
(3)~(4) (略)
2~4 (略)
※ 「作業環境測定基準の一部改正について」(昭和57年6月14日基発第412号)
(3)正しい。単位作業場所は、必ずしも、平面的な場所だけでなく、装置の周囲に設けられた作業足場のような立体的な作業場も単位作業場所となり得る。
(4)正しい。作業環境測定基準に、単位作業場所とは「当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう
」とされている。
【作業環境測定基準】
(粉じんの濃度等の測定)
第2条 (柱書 略)
一 測定点は、単位作業場所(当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう。以下同じ。)の床面上に六メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上五十センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置(設備等があって測定が著しく困難な位置を除く。)とすること。ただし、単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる。
一の二~四 (略)
2~4 (略)
※ 「作業環境測定基準」(昭和51年4月22日労働省告示第46号 最終改正:令和5年4月17日 厚生労働省告示第174号)
(5)正しい「作業環境評価基準」には「(A測定について:引用者)前項の規定にかかわらず、連続する二作業日(連続する二作業日について測定を行うことができない合理的な理由がある場合にあっては、必要最小限の間隔を空けた二作業日)に測定を行ったときは、第一評価値及び第二評価値は、次の式により計算することができる
」とされている。
【作業環境評価基準】
(評価値の計算)
第3条 前条第一項の第一評価値及び第二評価値は、次の式により計算するものとする。
(数式 略)
2 前項の規定にかかわらず、連続する二作業日(連続する二作業日について測定を行うことができない合理的な理由がある場合にあっては、必要最小限の間隔を空けた二作業日)に測定を行ったときは、第一評価値及び第二評価値は、次の式により計算することができる。
(数式 略)
※ 「作業環境評価基準」(昭和63年9月1日労働省告示第79号 最終改正:令和2年4月22日厚生労働省告示第192号)