問13 厚生労働省の「第14次労働災害防止計画」における労働者の健康確保対策の推進に関し、労働者の協力を得て事業者が取り組む事項についての次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)ストレスチェック結果をもとに集団分析を行い、その集団分析を活用した職場環境の改善まで行うことで、メンタルヘルス不調の予防を強化する。
(2)年次有給休暇の確実な取得を促進する。
(3)育児と仕事の両立支援に関して、労働者や管理監督者等に対する研修の実施等の環境整備に取り組む。
(4)長時間労働による医師の面接指導の対象となる労働煮に対して、医師による面接や、保健師等の産業保健スタッフによる相談支援を受けるよう勧奨する。
(5)職場におけるハラスメント防止対策に取り組む。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2023年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2023年度(令和05年度) | 問13 | 難易度 | 労働災害防止計画の内容に関する知識問題。やや詳細すぎる内容かもしれない。 |
---|---|---|---|
第14次労働災害防止計画 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問13 厚生労働省の「第14次労働災害防止計画」における労働者の健康確保対策の推進に関し、労働者の協力を得て事業者が取り組む事項についての次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)ストレスチェック結果をもとに集団分析を行い、その集団分析を活用した職場環境の改善まで行うことで、メンタルヘルス不調の予防を強化する。
(2)年次有給休暇の確実な取得を促進する。
(3)育児と仕事の両立支援に関して、労働者や管理監督者等に対する研修の実施等の環境整備に取り組む。
(4)長時間労働による医師の面接指導の対象となる労働煮に対して、医師による面接や、保健師等の産業保健スタッフによる相談支援を受けるよう勧奨する。
(5)職場におけるハラスメント防止対策に取り組む。
正答(3)
【解説】
本問は、問題文にもあるように、「第 14 次労働災害防止計画」からの出題である。試験の解答状況からも分かるように、かなりの難問だったようだ。
(1)適切である。計画の4(7)ア(ア)に「ストレスチェックの実施のみにとどまらず、ストレスチェック結果をもとに集団分析を行い、その集団分析を活用した職場環境の改善まで行うことで、メンタルヘルス不調の予防を強化する
」とされている。
ストレスチェックの実施とその集団分析を活用した職場環境の改善は、労働安全衛生行政にとって大きな課題のひとつである。このことから、そのような内容が計画に入っていないという趣旨の問題を厚労省が所轄する国家試験に出すはずはないと判断できよう。
【第 14 次労働災害防止計画】
4 重点事項ごとの具体的取組
(7)労働者の健康確保対策の推進
ア メンタルヘルス対策
(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
・ ストレスチェックの実施のみにとどまらず、ストレスチェック結果をもとに集団分析を行い、その集団分析を活用した職場環境の改善まで行うことで、メンタルヘルス不調の予防を強化する。
※ 「第 14 次労働災害防止計画」
(2)適切である。計画の4(7)イ(ア)に、次の措置を行うとして「② 年次有給休暇の確実な取得の促進
」が挙げられている。
年次有給休暇の取得の推進は、労働安全衛生行政の直接の課題ではないが、安全衛生行政の大きな課題である過重労働対策の重要な手段である。このことから、そのような内容が計画に入っていないというような問題を厚労省の所轄する国家試験に出すはずはないと判断できよう。
【第 14 次労働災害防止計画】
4 重点事項ごとの具体的取組
(7)労働者の健康確保対策の推進
イ 過重労働対策
(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
・ 「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(平成18年3月17日付け基発第0317008号)に基づき、次の措置を行う。
① 時間外・休日労働時間の削減、労働時間の状況の把握、健康確保措置等
② 年次有給休暇の確実な取得の促進
③ 勤務間インターバル制度の導入等、労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)に基づく労働時間等の設定の改善
※ 「第 14 次労働災害防止計画」
(3)適切ではない。計画にこのような記述はない。なお、計画の4(7)ウ(ア)に「治療と仕事の両立支援に関して、支援を必要とする労働者が支援を受けられるように、労働者や管理監督者等に対する研修の実施等の環境整備に取り組む
」とされている。
「育児と仕事の両立支援」は、厚生労働省では雇用環境・均等局の管轄であり、安全衛生部は所掌していないのである。他の肢に比較すれば、労働災害の防止に一番関係のなさそうなのがこの肢である。さすがに、「育児と仕事の両立支援」は、労働災害防止計画の中で「取り組む」とするような内容ではないだろう。
【第 14 次労働災害防止計画】
4 重点事項ごとの具体的取組
(7)労働者の健康確保対策の推進
ウ 産業保健活動の推進
(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
・ 治療と仕事の両立支援に関して、支援を必要とする労働者が支援を受けられるように、労働者や管理監督者等に対する研修の実施等の環境整備に取り組む。
※ 「第 14 次労働災害防止計画」
(4)適切である。計画の4(7)イ(ア)に「長時間労働による医師の面接指導の対象となる労働者に対して、医師による面接指導や、保健師等の産業保健スタッフによる相談支援を受けるよう勧奨する
」とされている。
面接指導の推進は、労働安全衛生行政にとって大きな課題となっている。このことから、そのような内容が計画に入っていないはずはないと判断できよう。
【第 14 次労働災害防止計画】
4 重点事項ごとの具体的取組
(7)労働者の健康確保対策の推進
イ 過重労働対策
(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
・ 長時間労働による医師の面接指導の対象となる労働者に対して、医師による面接指導や、保健師等の産業保健スタッフによる相談支援を受けるよう勧奨する。
※ 「第 14 次労働災害防止計画」
(5)適切である。計画の4(7)ア(ア)に「職場におけるハラスメント防止対策に取り組む
」とされている。
【第 14 次労働災害防止計画】
4 重点事項ごとの具体的取組
(7)労働者の健康確保対策の推進
ア メンタルヘルス対策
(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
・ 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)に基づく取組をはじめ、職場におけるハラスメント防止対策に取り組む。
※ 「第 14 次労働災害防止計画」