労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生関係法令 問15

粉じんによる健康障害の防止措置




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 このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2022年度(令和4年度) 問15 難易度 粉じん障害防止の問題は詳細な知識問題が多いが、正答率は低くない。合否を分ける問題か。
粉じん健康障害防止措置

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問15 粉じんによる健康障害の防止のための設備、健康管理等の措置に関する次の記述のうち、じん肺法令上又は粉じん障害防止規則上、正しいものはどれか。

(1)屋内作業場において、研磨材の吹き付けにより、金属を研磨する箇所には、粉じんの発散を防止するため、局所排気装置の設置若しくはプッシュプル型換気装置の設置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

(2)屋内作業場において、粉状の鉱石を原料として使用するものを製造する工程において、粉状の鉱石を混合する箇所に設けるプッシュプル型換気装置については、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものを除き、その排出口は屋外に設けなければならない。

(3)常時特定粉じん作業が行われ、土石、岩石又は鉱物の粉じんを著しく発散する屋内作業場及び坑内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中の粉じんの濃度及び当該粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。

(4)常時特定粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理2又は管理3であるもの及び常時特定粉じん作業に従事させたことがあり、現に粉じん作業以外の作業に常時従事している労働者でじん肺管理区分が管理3であるものについては、1年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。

(5)常時特定粉じん作業に従事する労働者について定期のじん肺健康診断を行ったときは、所定の提出書に受診した全労働者のじん肺健康診断結果証明書及びエックス線写真を添えて所轄都道府県労働局長に提出し、じん肺管理区分の決定を受けなければならない。

正答(4)

【解説】

問15試験結果

試験解答状況
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(1)誤り。本肢は、粉じん則別表第2第六号に該当し、同規則第4条表第五号に該当する。従って、「密閉する設備の設置又は局所排気装置の設置」でなければならない。

【粉じん障害防止規則】

(特定粉じん発生源に係る措置)

第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

特定粉じん発生源 措置
(略) (略)

五 別表第二第六号、第八号及び第十四号に掲げる箇所(別表第二第八号に掲げる箇所にあつては、アルミニウムはくを破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所に、同表第十四号に掲げる箇所にあつては、砂を再生する箇所に限る。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

別表第1 (第二条、第三条関係)

一~六 (略)

 研磨材の吹き付けにより研磨し、又は研磨材を用いて動力により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、若しくは金属を裁断する場所における作業(前号に掲げる作業を除く。)

八~十五 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~五 (略)

 別表第一第六号又は第七号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、研磨材の吹き付けにより、研磨し、又は岩石若しくは鉱物を彫る箇所

七~十五 (略)

(2)誤り。粉じん則第11条第2項(第三号)の規定により、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものを除き、排出口を屋外に設けなければならないプッシュプル型換気装置は、屋内作業場において、粉状の鉱石を原料として使用するものを製造する工程において、粉状の鉱石を混合する箇所に設けるものは該当しない。

【粉じん障害防止規則】

特定粉じん発生源 措置
(略) (略)

九 別表第二第十号及び第十一号に掲げる箇所

一及び二 (略)

三 プッシュプル型換気装置を設置すること。

四 (略)

(局所排気装置等の要件)

第11条 (第1項 略)

 事業者は、第四条又は第二十七条第一項ただし書の規定により設けるプッシュプル型換気装置については、次に定めるところに適合するものとしなければならない。

一及び二 (略)

 排出口は、屋外に設けられていること。ただし、別表第二第七号に掲げる特定粉じん発生源に設けるプッシュプル型換気装置であつて、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものにあつては、この限りでない。

 (略)

別表第1 (第二条、第三条関係)

一~十 (略)

十一 粉状の鉱石又は炭素原料を原料又は材料として使用する物を製造し、又は加工する工程において、粉状の鉱石、炭素原料又はこれらを含む物を混合し、混入し、又は散布する場所における作業(次号から第十四号までに掲げる作業を除く。)

十二~十五 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~九 (略)

 別表第一第十一号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、粉状の鉱石、炭素原料又はこれらを含む物を混合し、混入し、又は散布する箇所

十一~十五 (略)

(3)誤り。粉じん則第25条及び第26条による作業環境測定は、屋内作業場が対象である。坑内作業場については、安衛令第21条第四号に定められており、安衛則第589条によって定められているが、粉じんに関するものではない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

二及び三 (略)

 坑内の作業場で、厚生労働省令で定めるもの

五~十 (略)

【粉じん障害防止規則】

(作業環境測定を行うべき屋内作業場)

第25条 令第二十一条第一号の厚生労働省令で定める土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場は、常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場とする。

(粉じん濃度の測定等)

第26条 事業者は、前条の屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。

 事業者は、前条の屋内作業場のうち、土石、岩石又は鉱物に係る特定粉じん作業を行う屋内作業場において、前項の測定を行うときは、当該粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。ただし、当該土石、岩石又は鉱物中の遊離けい酸の含有率が明らかな場合にあつては、この限りでない。

3~7 (略)

【労働安全衛生規則】

第589条 令第二十一条第四号の厚生労働省令で定める坑内の作業場は、次のとおりとする。

 炭酸ガスが停滞し、又は停滞するおそれのある坑内の作業場

 気温が二十八度をこえ、又はこえるおそれのある坑内の作業場

 通気設備が設けられている坑内の作業場

(4)正しい。(じん肺法第8条第1項(第一号及び第四号))なお、特定粉じん作業でなくとも同様である。

【じん肺法】

(定期健康診断)

第8条 事業者は、次の各号に掲げる労働者に対して、それぞれ当該各号に掲げる期間以内ごとに一回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。

 常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く。) 三年

 常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理二又は管理三であるもの 一年

 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理二である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。) 三年

 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理三である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。) 一年

 (略)

(5)誤り。じん肺法第12条によりじん肺管理区分の決定を受けなければならないのは、じん肺の所見があると診断された労働者のみである。全労働者ではない。

【じん肺法】

(事業者によるエックス線写真等の提出)

第12条 事業者は、第七条から第九条の二までの規定によりじん肺健康診断を行つたとき、又は前条ただし書の規定によりエックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他の書面が提出されたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、じん肺の所見があると診断された労働者について、当該エックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める書面を都道府県労働局長に提出しなければならない。

2022年11月28日執筆

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