問10 特定化学物質予防規則に定める特別管理物質に関する次の記述のうち、特定化学物質予防規則上、誤っているものはどれか。
(1)特別管理物質を製造する特定化学設備については、2年を超える期間使用しない場合を除き、2年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行い、所定の事項を記録し、これを30年間保存するものとされている。
(2)特別管理物質を製造する屋内作業場については、6カ月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定を行い、所定の事項を記録し、これを30年間保存するものとされている。
(3)特別管理物質を製造する作業場において常時作業に従事する労働者については、1カ月を超えない期間ごとに、従事した作業の概要及び期間等の所定の事項を記録し、これを30年間保存するものとされている。
(4)特別管理物質を製造する業務に常時従事する労働者に対して、6カ月以内ごとに1回、定期に、所定の項目について医師による健康診断を行い、その結果に基づき作成した特定化学物質健康診断個人票については、これを30年間保存するものとされている。
(5)特別管理物質を製造し、又は取り扱う事業者が、事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書に所定の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出するものとされている。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
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2022年度(令和4年度) | 問10 | 難易度 | 特化則に定める特別管理物質に関する基本的な問題。合否を分けるレベルだったろうか。 |
---|---|---|---|
特別管理物質 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問10 特定化学物質予防規則に定める特別管理物質に関する次の記述のうち、特定化学物質予防規則上、誤っているものはどれか。
(1)特別管理物質を製造する特定化学設備については、2年を超える期間使用しない場合を除き、2年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行い、所定の事項を記録し、これを30年間保存するものとされている。
(2)特別管理物質を製造する屋内作業場については、6カ月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定を行い、所定の事項を記録し、これを30年間保存するものとされている。
(3)特別管理物質を製造する作業場において常時作業に従事する労働者については、1カ月を超えない期間ごとに、従事した作業の概要及び期間等の所定の事項を記録し、これを30年間保存するものとされている。
(4)特別管理物質を製造する業務に常時従事する労働者に対して、6カ月以内ごとに1回、定期に、所定の項目について医師による健康診断を行い、その結果に基づき作成した特定化学物質健康診断個人票については、これを30年間保存するものとされている。
(5)特別管理物質を製造し、又は取り扱う事業者が、事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書に所定の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出するものとされている。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。特別管理物質を製造するか否かにかかわらず特定化学設備については、2年を超える期間使用しない場合を除き、2年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行うべきことは特化則第 31 条により正しい。しかし、定期自主検査の記録は、特別管理物質にかかわるものかどうかにかかわらず、特化則第32条の規定に基づき、3年間保存すれば足りる。
なお、特定化学設備の定義は特化則第 13 条(安衛令第 15 条第1項第十号)にあり、特別管理物質の定義は特化則第 38 条の4にある。
【労働安全衛生法】
(定期自主検査)
第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(定期に自主検査を行うべき機械等)
第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。
一~九 (略)
十 特定化学設備(別表第三第二号に掲げる第二類物質のうち厚生労働省令で定めるもの又は同表第三号に掲げる第三類物質を製造し、又は取り扱う設備で、移動式以外のものをいう。)及びその附属設備
十一 (略)
2~4 (略)
【特定化学物質障害予防規則】
(腐食防止措置)
第13条 (前略)特定化学設備(令第15条第1項第十号の特定化学設備をいう。以下同じ。)(以下略)
第31条 事業者は、特定化学設備又はその附属設備については、2年以内ごとに1回、定期に、次の各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、2年を超える期間使用しない特定化学設備又はその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一及び二 (略)
2 (略)
(定期自主検査の記録)
第32条 事業者は、前2条の自主検査を行なつたときは、次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。
一~六 (略)
(作業の記録)
第38条の4 (前略)第一類物質(塩素化ビフエニル等を除く。)又は令別表第三第二号3の2から6まで、8、8の2、11から12まで、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、21、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物若しくは別表第一第三号の二から第六号まで、第八号、第八号の二、第十一号から第十二号まで、第十三号の二から第十五号の二まで、第十八号の二から第十九号の五まで、第二十一号、第二十二号の二から第二十二号の五まで、第二十三号の二から第二十四号まで、第二十六号、第二十七号の二、第二十九号、第三十号、第三十一号の二、第三十二号、第三十三号の二若しくは第三十四号の三に掲げる物(以下「特別管理物質」と総称する。)(以下略)
一~三 (略)
(2)正しい。特化則第 36 条第1項の規定により、第一類特定化学物質及び第二類特定化学物質(特別管理物質はすべて第1類物質及び第2類物質に含まれる。)を製造する屋内作業場については、6カ月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定を行わなければならない。
また、同条第3項の規定により、クロム酸等(特別管理物質はすべてクロム酸等に含まれる。)を製造する作業場に関する測定の結果については 30 年間保存するものとされている。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~六 (略)
七 別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質(同号34の2に掲げる物及び同号37に掲げる物で同号34の2に係るものを除く。)を製造し、若しくは取り扱う屋内作業場(同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを行うものを除く。)、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場若しくは石綿分析用試料等を製造する屋内作業場又はコークス炉上において若しくはコークス炉に接してコークス製造の作業を行う場合の当該作業場
八~十 (略)
【特定化学物質障害予防規則】
(測定及びその記録)
第36条 事業者は、令第21条第七号の作業場(石綿等(石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)第2条第1項に規定する石綿等をいう。以下同じ。)に係るもの及び別表第1第三十七号に掲げる物を製造し、又は取り扱うものを除く。)について、6月以内ごとに1回、定期に、第一類物質(令別表第三第一号8に掲げる物を除く。)又は第二類物質(別表第一に掲げる物を除く。)の空気中における濃度を測定しなければならない。
2 事業者は、前項の規定による測定を行つたときは、その都度次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。
一~七 (略)
3 事業者は、前項の測定の記録のうち、令別表第三第一号1、2若しくは4から7までに掲げる物又は同表第二号3の2から6まで、8、8の2、11の2、12、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物に係る測定の記録並びに同号11若しくは21に掲げる物又は別表第一第十一号若しくは第二十一号に掲げる物(以下「クロム酸等」という。)を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行つた令別表第三第二号11又は21に掲げる物に係る測定の記録については、三十年間保存するものとする。
4 (略)
(作業の記録)
第38条の4 (前略)第一類物質(塩素化ビフエニル等を除く。)又は令別表第三第二号3の2から6まで、8、8の2、11から12まで、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、21、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物若しくは別表第一第三号の二から第六号まで、第八号、第八号の二、第十一号から第十二号まで、第十三号の二から第十五号の二まで、第十八号の二から第十九号の五まで、第二十一号、第二十二号の二から第二十二号の五まで、第二十三号の二から第二十四号まで、第二十六号、第二十七号の二、第二十九号、第三十号、第三十一号の二、第三十二号、第三十三号の二若しくは第三十四号の三に掲げる物(以下「特別管理物質」と総称する。)(以下略)
一~三 (略)
(3)正しい。特化則第 38 条の4に、特別管理物質を製造する作業場において常時作業に従事する労働者については、1カ月を超えない期間ごとに、従事した作業の概要及び期間等の所定の事項を記録し、これを30年間保存するものとされている。
【労働安全衛生法】
(書類の保存等)
第103条 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律又はこれに基づく命令の規定に基づいて作成した書類(次項及び第3項の帳簿を除く。)を、保存しなければならない。
2及び3 (略)
【特定化学物質障害予防規則】
(作業の記録)
第38条の4 事業者は、第一類物質(塩素化ビフェニル等を除く。)又は令別表第三第二号3の2から6まで、8、8の2、11から12まで、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、21、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物若しくは別表第一第三号の二から第六号まで、第八号、第八号の二、第十一号から第十二号まで、第十三号の二から第十五号の二まで、第十八号の二から第十九号の五まで、第二十一号、第二十二号の二から第二十二号の五まで、第二十三号の二から第二十四号まで、第二十六号、第二十七号の二、第二十九号、第三十号、第三十一号の二、第三十二号、第三十三号の二若しくは第三十四号の三に掲げる物(以下「特別管理物質」と総称する。)を製造し、又は取り扱う作業場(クロム酸等を取り扱う作業場にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場に限る。)において常時作業に従事する労働者について、1月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを30年間保存するものとする。
一 労働者の氏名
二 従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間
三 (略)
(4)正しい。特化則第 39 条により、第一類特定化学物質及び第二類特定化学物質(特別管理物質はすべて第1類物質及び第2類物質に含まれる。)を製造する業務に常時従事する労働者に対して、6カ月以内ごとに1回、定期に、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
また、特化則第 40 条により、健康診断の結果に基づいて作成した特定化学物質健康診断個人票のうち、特別管理物質を製造し、又は取り扱う業務(クロム酸等を取り扱う業務にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う業務に限る。)に常時従事し、又は従事した労働者に係る特定化学物質健康診断個人票については、これを 30 年間保存するものとされている。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 (第1項略)
2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3~5 (略)
(健康診断の結果の記録)
第66条の3 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第66条第1項から第4項まで及び第5項ただし書並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。
【労働安全衛生法施行令】
(健康診断を行うべき有害な業務)
第22条 法第66条第2項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三 別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質(同号5及び31の2に掲げる物並びに同号37に掲げる物で同号5又は31の2に係るものを除く。)を製造し、若しくは取り扱う業務(同号8若しくは32に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号8若しくは32に係るものを製造する事業場以外の事業場においてこれらの物を取り扱う業務及び同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを除く。)、第16条第1項各号に掲げる物(同項第四号に掲げる物及び同項第九号に掲げる物で同項第四号に係るものを除く。)を試験研究のため製造し、若しくは使用する業務又は石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造若しくは石綿分析用試料等の製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務
四~六 (略)
2及び3 (略)
【特定化学物質障害予防規則】
(健康診断の実施)
第39条 事業者は、令第22条第1項第三号の業務(石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造又は石綿分析用試料等(石綿則第2条第4項に規定する石綿分析用試料等をいう。)の製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務及び別表第一第三十七号に掲げる物を製造し、又は取り扱う業務を除く。)に常時従事する労働者に対し、別表第三の上欄に掲げる業務の区分に応じ、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及びその後同表の中欄に掲げる期間以内ごとに1回、定期に、同表の下欄に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。
2~7 (略)
(健康診断の結果の記録)
第40条 事業者は、前条第1項から第3項までの健康診断(法第66条第5項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「特定化学物質健康診断」という。)の結果に基づき、特定化学物質健康診断個人票(様式第二号)を作成し、これを5年間保存しなければならない。
2 事業者は、特定化学物質健康診断個人票のうち、特別管理物質を製造し、又は取り扱う業務(クロム酸等を取り扱う業務にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う業務に限る。)に常時従事し、又は従事した労働者に係る特定化学物質健康診断個人票については、これを30年間保存するものとする。
(5)正しい。特化則第 53 条に、特別管理物質を製造し、又は取り扱う事業者が、事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書に所定の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出するものとされている。
【労働安全衛生法】
(報告等)
第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2及び3 (略)
【特定化学物質障害予防規則】
第53条 特別管理物質を製造し、又は取り扱う事業者は、事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書(様式第十一号)に次の記録及び特定化学物質健康診断個人票又はこれらの写しを添えて、所轄労働基準監督署長に提出するものとする。
一~三 (略)
※ 本問の解説に掲げた条文は、本問出題当時とは大きく修正されており、いずれも修正後のものである。基本的にこの問題の範囲内では正誤に影響を与えるようなものではない。