労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生関係法令 問09

鉛作業に用いる局所排気装置及び除じん装置




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 このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2022年度(令和4年度) 問09 難易度 鉛則の局排に特化した問題は過去11年では初めて。かなりの難問だったようだ。
鉛中毒予防規則(局排)

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問9 鉛蓄電池を製造する工程において、鉛等の溶融を行う屋内の作業場に儲けなければならない局所排気装置及び除じん装置に関する記述のうち、鉛中毒予防規則上、正しいものはどれか。

(1)局所排気装置のフードは、作業方法上、著しく困難である場合を除き、囲い式のものとしなければならない。

(2)局所排気装置に設けなければならない除じん装置は、ろ過除じん方式又はこれと同等以上の性能を有するものとしなければならない。

(3)除じん装置を設けた局所排気装置のファンについては、吸引された鉛等の蒸気又は粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないときを除き、除じんした後の空気が通る位置に設けなければならない。

(4)局所排気装置の排気口については、除じん装置を付設したものを除き、屋外に設けなければならない。

(5)局所排気装置は、そのフードの外側における鉛の濃度を、空気1立方メートル当たり0.1ミリグラムを超えないものとする能力を有するものでなければならない。

正答(2)

【解説】

問9試験結果

試験解答状況
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(1)誤り。鉛則第 24 条第四号は、第7条第一号については適用がない。従って、鉛蓄電池を製造する工程において、鉛等の溶融を行う屋内の作業場に儲けなければならない局所排気装置のフードは、著しく困難ではない場合でも必ずしも囲い式のものとする必要はない。

【鉛中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ及びロ (略)

 鉛蓄電池又は鉛蓄電池の部品を製造し、修理し、又は解体する工程において鉛等の溶融、鋳造、粉砕、混合、ふるい分け、練粉、充てん、乾燥、加工、組立て、溶接、溶断、切断、若しくは運搬をし、又は粉状の鉛等をホツパー、容器等に入れ、若しくはこれらから取り出す業務

ニ~ワ (略)

(鉛蓄電池の製造等に係る設備)

第7条 事業者は、第1条第五号ハに掲げる鉛業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

 鉛等の溶融、鋳造、加工、組立て、溶接若しくは溶断又は極板の切断を行なう屋内の作業場所に、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けること。

二~九 (略)

(フード)

第24条 事業者は、局所排気装置又は排気筒(前章の規定により設ける局所排気装置又は排気筒をいう。以下この章(第32条を除く。)及び第34条において同じ。)のフードについては、次に定めるところに適合するものとしなければならない。

一~三 (略)

 第5条第二号及び第三号、第6条第二号及び第三号、第7条第二号及び第三号、第10条第二号及び第三号並びに第15条第三号の規定により設ける局所排気装置のフードは、囲い式のものであること。ただし、作業方法上これらの型式のものとすることが著しく困難であるときは、この限りでない。

(2)正しい。鉛則第 26 条第1項の表で、第1条第五号ハに掲げる鉛業務として「第7条第一号の局所排気装置又はプッシュプル型換気装置(製造する工程における鉛等の溶融、又は鋳造を行なう作業場所に設けるものに限る。)」が挙げられている。

【鉛中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ及びロ (略)

 鉛蓄電池又は鉛蓄電池の部品を製造し、修理し、又は解体する工程において鉛等の溶融、鋳造、粉砕、混合、ふるい分け、練粉、充てん、乾燥、加工、組立て、溶接、溶断、切断、若しくは運搬をし、又は粉状の鉛等をホツパー、容器等に入れ、若しくはこれらから取り出す業務

ニ~ワ (略)

(除じん装置)

第26条 事業者は、次の表の上欄に掲げる鉛業務について設ける同表の下欄に掲げる設備には、ろ過除じん方式の除じん装置又はこれと同等以上の性能を有する除じん装置を設けなければならない。

鉛業務 設備等
(略) (略)
第1条第五号ハに掲げる鉛業務

一 第7条第一号の局所排気装置又はプッシュプル型換気装置(製造する工程における鉛等の溶融、又は鋳造を行なう作業場所に設けるものに限る。)

二 第7条第二号及び第三号の局所排気装置又はプッシュプル型換気装置

(略) (略)

2及び3 (略)

(3)誤り。鉛則第 28 条第1項により、除じん装置を設けた局所排気装置のファンは、除じんした後の空気が通る位置に設けなければならない。本肢のような例外規定はない。

なお、粉じん則、有機則及び特化則の同種の規定には、本肢に類似した例外規定がある(※)。本問について、本肢を正しいとした受験者が多いのはそのためであろう。

※ 石綿則及び四鉛則には、局所排気装置の排風機の位置に関する規定そのものがない。

鉛則についてだけこの種の例外規定がない理由ははっきりしない。

【鉛中毒予防規則】

(ファン)

第28条 事業者は、除じん装置が設けられている局所排気装置のフアンについては、除じんした後の空気が通る位置に設けなければならない。

 (略)

【粉じん障害防止規則】

(局所排気装置等の要件)

第11条 事業者は、第四条又は第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置については、次に定めるところに適合するものとしなければならない。

一及び二 (略)

 前条第1項の規定により除じん装置を付設する局所排気装置の排風機は、除じんをした後の空気が通る位置に設けられていること。ただし、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食又は摩耗のおそれがないときは、この限りでない

四及び五 (略)

 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(排風機等)

第15条 事業者は、局所排気装置の排風機については、当該局所排気装置に空気清浄装置が設けられているときは、清浄後の空気が通る位置に設けなければならない。ただし、吸引された有機溶剤の蒸気等による爆発のおそれがなく、かつ、フアンの腐食のおそれがないときは、この限りでない

 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(局所排気装置等の要件)

第7条 事業者は、第3条、第4条第3項又は第5条第1項の規定により設ける局所排気装置(第3条第1項ただし書の局所排気装置を含む。次条第1項において同じ。)については、次に定めるところに適合するものとしなければならない。

一及び二 (略)

 除じん装置又は排ガス処理装置を付設する局所排気装置のフアンは、除じん又は排ガス処理をした後の空気が通る位置に設けられていること。ただし、吸引されたガス、蒸気又は粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、フアンの腐食のおそれがないときは、この限りでない

四及び五 (略)

 (略)

(4)誤り。鉛則第 29 条により、局所排気装置の排気口は、屋外に設けなければならない。本肢のような例外規定はない。

【鉛中毒予防規則】

(排気口)

第29条 事業者は、局所排気装置、プッシュプル型換気装置(前章の規定により設けるプッシュプル型換気装置をいう。以下この章及び第三十四条において同じ。)、全体換気装置又は排気筒の排気口については、屋外に設けなければならない。

(5)誤り。鉛則第30条により、局所排気装置は、そのフードの外側における鉛の濃度を、空気1立方メートル当たり0.05ミリグラムを超えないものとする能力を有するものでなければならない。

【鉛中毒予防規則】

(局所排気装置等の性能)

第30条 事業者は、局所排気装置又は排気筒については、そのフードの外側における鉛の濃度を、空気1立方メートル当たり0.05ミリグラムを超えないものとする能力を有するものを使用しなければならない。

2022年11月27日執筆