問5 労働安全衛生法に基づく健康診断のうち、労働者に対しその業務内容に関わらず行わなければならない健康診断(以下「一般健康診断」という。)に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組み合わせは(1)~(5)のうちどれか。
イ 事業者は、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場においては、専属の産業医を選任し、労働者の雇入れ時及びその後1年以内ごとに1回、定期に、当該産業医による一般健康診断を実施しなければならない。
ロ 1年以内ごとに1回、定期に行う一般健康診断は、労働安全衛生規則で定める項目について実施しなければならないが、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、一部の項目を省略することができる。
ハ 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に行う一般健康診断を行ったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
ニ 事業者は、一般健康診断を実施した日から3か月以内に、健康診断を受けた労働者全員について、その健康診断の結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2022年度(令和4年度) | 問05 | 難易度 | 一般の健康診断に関する基本的な内容の知識問題。本問は正答できなければならない。 |
---|---|---|---|
一般の定期健康診断 | 2 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問5 労働安全衛生法に基づく健康診断のうち、労働者に対しその業務内容に関わらず行わなければならない健康診断(以下「一般健康診断」という。)に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組み合わせは(1)~(5)のうちどれか。
イ 事業者は、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場においては、専属の産業医を選任し、労働者の雇入れ時及びその後1年以内ごとに1回、定期に、当該産業医による一般健康診断を実施しなければならない。
ロ 1年以内ごとに1回、定期に行う一般健康診断は、労働安全衛生規則で定める項目について実施しなければならないが、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、一部の項目を省略することができる。
ハ 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に行う一般健康診断を行ったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
ニ 事業者は、一般健康診断を実施した日から3か月以内に、健康診断を受けた労働者全員について、その健康診断の結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
正答(3)
【解説】
本問の健康診断は、安衛法第66条第1項の健康診断のことである。
イ 誤り。安衛法第 66 条第1項は「医師による」とされている。産業医による健康診断を実施しなければならないという規定はない。
ロ 正しい。安衛法第 66 条により、1年以内ごとに1回、定期に行う一般健康診断は、労働安全衛生規則で定める項目について実施しなければならない。しかし、安衛則第 44 条第2項により、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、一部の項目を省略することができる。
ハ 正しい。安衛則第 52 条により、常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に行う一般健康診断を行ったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
ニ 誤り。安衛法第 66 条の4の医師の意見聴取は、健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者のみが対象である。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
2~5 (略)
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第66条の4 事業者は、第66条第1項から第4項まで若しくは第5項ただし書又は第66条の2の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
【労働安全衛生規則】
(定期健康診断)
第44条 (第1項 略)
2 第1項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
3及び4 (略)
(健康診断結果報告)
第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条又は第45条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 (略)
※ 安衛法によって事業者に義務付けられる届出・報告の主要なものについては、2025 年1月1日より、原則として電子申請が義務付けられる。従って、安衛則第 52 条も改正されるが、本問の正誤には影響を与えない。
なお、本件の詳細については「労働者死傷病報告等の電子申請の義務化」を参照されたい。