問29 労働安全衛生マネジメントシメテムの運用に関する次の記述のうち、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」及びその関係通達に定められているものはどれか。
(1)労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置は、建設業においては、店社及び建設工事現場をそれぞれ一つの単位として実施することを基本とする。
(2)システム監査の実施者は監査対象部署における安全衛生計画の実施状況等の実情を承知していることが必要なので、実施者として監査対象部署の労働者を参加させることが望ましい。
(3)安全衛生方針の作成、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たっては、安全衛生委員会を通じて労働者の意見を反映するようにする。
(4)労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置の実施に関し、安全衛生計画の実施状況、システム監査の結果等の必要な事項を記録する。
(5)労働災害や事故が発生した場合に、その原因の調査及び問題点の把握を行う際には、背景要因ではなく、直接の原因の解明を行うことが重要である。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
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2022年度(令和04年度) | 問29 | 難易度 | 本問も、安全コンサルタント試験との共通問題である。本問も安全、衛生ともに正答率は高い。 |
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OSHMS指針 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問29 労働安全衛生マネジメントシメテムの運用に関する次の記述のうち、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」及びその関係通達に定められているものはどれか。
(1)労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置は、建設業においては、店社及び建設工事現場をそれぞれ一つの単位として実施することを基本とする。
(2)システム監査の実施者は監査対象部署における安全衛生計画の実施状況等の実情を承知していることが必要なので、実施者として監査対象部署の労働者を参加させることが望ましい。
(3)安全衛生方針の作成、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たっては、安全衛生委員会を通じて労働者の意見を反映するようにする。
(4)労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置の実施に関し、安全衛生計画の実施状況、システム監査の結果等の必要な事項を記録する。
(5)労働災害や事故が発生した場合に、その原因の調査及び問題点の把握を行う際には、背景要因ではなく、直接の原因の解明を行うことが重要である。
正答(4)
【解説】
本問は、問題文にもあるように「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(以下、「指針」という。)及び令和元年7月1日基発 0701 第3号「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針の改正について」(以下「通達」という。)に関する問題である。
(1)定められていない。指針第4条は「建設業に属する事業の仕事を行う事業者については、当該仕事の請負契約を締結している事業場及び当該事業場において締結した請負契約に係る仕事を行う事業場を併せて一の単位として実施することを基本とする
」とされている。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(適用)
第4条 労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置は、事業場又は法人が同一である二以上の事業場を一の単位として実施することを基本とする。ただし、建設業に属する事業の仕事を行う事業者については、当該仕事の請負契約を締結している事業場及び当該事業場において締結した請負契約に係る仕事を行う事業場を併せて一の単位として実施することを基本とする。
(2)定められていない。システム監査は事業者による監査対象部署に対する監査であるから、実施者として監査対象部署の労働者を参加させるべきではない。
OSHMSのシステム監査に限らず、監査を受ける側が監査を行う側に対して影響を及ぼすような体制とすることは好ましくない。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(適用)
第17条 事業者は、定期的なシステム監査の計画を作成し、第五条から前条までに規定する事項についてシステム監査を適切に実施する手順を定めるとともに、この手順に基づき、システム監査を適切に実施するものとする。
2 (略)
(3)定められていない。指針第6条は「事業者は、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たり、安全衛生委員会等(安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会をいう。以下同じ。)の活用等労働者の意見を反映する手順を定める
」とされている。
すなわち、指針は、安全衛生方針の作成について労働者の意見を反映するようにするとはされていないのである。
また、指針は「安全衛生委員会等(中略)の活用等」により労働者の意見を反映するとされており、本肢のように労働者の意見を反映する方法を「安全衛生委員会」に限定していない。限定してしまったら、安全衛生委員会が設置されていない事業場はOSHMSを実現できなくなってしまう。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(労働者の意見の反映)
第6条 事業者は、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たり、安全衛生委員会等(安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会をいう。以下同じ。)の活用等労働者の意見を反映する手順を定めるとともに、この手順に基づき、労働者の意見を反映するものとする。
(4)定められている。指針第9条に「事業者は、安全衛生計画の実施状況、システム監査の結果等労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置の実施に関し必要な事項を記録するとともに、当該記録を保管するものとする
」と定められている。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(記録)
第9条 事業者は、安全衛生計画の実施状況、システム監査の結果等労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置の実施に関し必要な事項を記録するとともに、当該記録を保管するものとする。
(5)定められていない。労働災害や事故が発生した場合に、その原因の調査及び問題点の把握を行う際には、直接の原因のみならず、背景要因の解明を行うことが重要である。
【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】
(労働災害発生原因の調査等)
第16条 事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順を定めるとともに、労働災害、事故等が発生した場合には、この手順に基づき、これらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施するものとする。
なお、本問のように「定められているものはどれか」とか「定められていないものはどれか」という設問の場合、選択肢の中に「内容は適切だが定められてはいない」ものが、正しい肢として出題されることはないと考えてよい。もし、そのような肢が存在して正しい肢だとすると、出題の対象となる(厚生労働省が策定した)規程が不完全だということになってしまう。そのような問題が厚生労働省の実施する試験の問題に出題されるわけがないのである。
本問の場合も「定められていない肢」は、すべて「内容が不適切な肢である。コンサルタント試験で「定められているものはどれか」と聞かれたら、正しい内容の肢を選べばよく、「定められていないものはどれか」と聞かれたら、誤った内容の肢を選べばよいのである。