問20 良い作業姿勢に関する次のイ~ニの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 作業台の高さは、作業者の肩から膝までの高さに調節する。
ロ 前屈姿勢をなくす。
ハ ひねり姿勢やねじり姿勢をなくす。
ニ 適正視野内に作業対象物を置く。
(1)イ ロ ハ ニ
(2)イ ロ
(3)イ ハ
(4)ロ ハ ニ
(5)ハ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2022年度(令和04年度) | 問20 | 難易度 | 作業姿勢に関する問題は、難易度は低いが意味不明な肢が混じることが多い。本年は、まだまともな方か。 |
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良い作業姿勢 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問20 良い作業姿勢に関する次のイ~ニの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 作業台の高さは、作業者の肩から膝までの高さに調節する。
ロ 前屈姿勢をなくす。
ハ ひねり姿勢やねじり姿勢をなくす。
ニ 適正視野内に作業対象物を置く。
(1)イ ロ ハ ニ
(2)イ ロ
(3)イ ハ
(4)ロ ハ ニ
(5)ハ ニ
正答(4)
【解説】
本問は、「職場における腰痛予防対策指針及び解説」(以下、「指針」という。)に関する問題である。
イ 適切ではない。指針には「作業台や椅子は適切な高さに調節すること。具体的には、立位、椅座位に関わらず、作業台の高さは肘の曲げ角度がおよそ 90 度になる高さとすること」とされている。作業台の高さを、作業者の肩から膝までの高さに調節したら、作業がやり難くて仕方がないだろう。
ロ 適切である。指針には「「不自然な姿勢」には、上半身が前傾する前屈姿勢、膝関節を曲げて立つ中腰姿勢、上半身と下半身の向きが異なるひねり姿勢、体幹を後方に傾けながらねじる後屈ねんてん姿勢、しゃがむ・かがむ等の姿勢が含まれる」としている。
ハ 適切である。ロの解説で示したように、ひねり姿勢やねじり姿勢は「不自然な姿勢」とされており、それをなくすことは適切である。
ニ やや疑問はあるが適切であるとしておく。「適正視野」という用語は一般的ではない(※)が、おそらく「不自然でない姿勢で見える範囲」という意味であろう。仮にそういう意味だとしても、本肢のようなことは指針にはないが、「不自然な姿勢をしなくても見える位置に作業対象物を置く」という意味であれば適切である。
※ 衛生コンサルタント試験の「姿勢」に関する設問には、疑問を感じる内容のものが多い。本問の「適正視野」という用語もそうだが、本来「視野」とは目を動かさないで見ることのできる範囲を意味する。眼の機能を表す言葉であって、緑内障、黄斑変性、網膜症などの疾患によって狭くなる(視野狭窄)ことがある。
本肢の「適正視野」という用語は聴いたことがない。GoogleとYAHOOで検索してもヒットしなかった。常識的には、視野狭窄等の疾患に罹っていない健康な人の視野という印象を受ける用語である。そのため本肢は、「視野狭窄となっている作業者は無視してよいが、健康な人の視野内に作業対象物を置く」という意味にしか思えず、本肢の記述には違和感を受ける。
また、顔をどちらに向けるかで、本肢の正誤は変わってしまうのではないか。「適正視野」などという一般的でない用語を用いるなら、問題文中で定義すべきであろう。欠陥問題と言うべきである。