労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生一般 問07

酸素欠乏症及び硫化水素中毒




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2022年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2022年度(令和04年度) 問07 難易度 硫化水素中毒に関するやや引っ掛け的な要素のある問題。しかし、正答率は高い。
酸素欠乏症等

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問7 酸素欠乏症及び硫化水素中毒とその予防に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)硫化水素は、自然界では火山ガスや温泉などから放出されている。

(2)硫化水素は、水への溶解度が比較的低いため、肺胞に到達し肺水腫を起こす。

(3)無酸素空気の吸入による肺胞気中酸素分圧の急激な低下は、死の危険を招く。

(4)酸素欠乏症の症状は、酸素を大量に必要とする大脳皮質の機能低下から始まる。

(5)硫化水素に対応する防毒マスクは、酸素欠乏危険場所では使用してはならない。

正答(2)

【解説】

問7試験結果

試験解答状況
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(1)適切である。硫化水素は、自然界では火山ガスや温泉などから放出されている。

(2)適切ではない。硫化水素が肺水腫を起こすことは正しい。しかし、硫化水素の水への溶解度(20℃)は1リットル当たり5グラム程度である。水への溶解度が低いとはいえないだろう。

なお、水への溶解度が低いガスは、上気道に炎症を起こしにくいため吸い込んだことに気付かず、肺に到達して、肺水腫を起こすリスクが高まるので本肢のロジックは正しい。その意味で、やや引っ掛け的な要素がある肢である。

(3)適切である。ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると、肺胞毛細血管中の酸素濃度より肺胞内の酸素濃度の方が低くなる。こうなると、肺胞のガス交換が不可能になる。このため、酸素濃度の低い空気は一呼吸するだけでもきわめて危険である。無酸素の空気を1回でも吸入すると死の危険がある。

(4)適切である。脳は体内全体の酸素の消費量の約25%を占め、その一方で筋肉のような酸素を蓄える機能もない。そのため、酸素の血液からの流入の欠乏に、きわめて敏感な器官でもある。

親と幼い子で航空機に搭乗している場合に、事故で、酸素マスクが下りてきたとき、まず親が自分でマスクを着け、その後で子供に着けるのが原則である。これは、先ず子供に酸素マスクを着けさせようとすると、その間に親が酸欠で動きが取れなくなると、2人ともマスクをつけることができなくなるからである。

(5)適切である。酸素欠乏空気が発生するおそれがある場所ではフレッシュエアを給気しなければならない。電動ファン付き呼吸用保護具は、ろ過式であり、フレッシュエアを給気するものではない。

2022年12月08日執筆 2023年08月11日一部修正