労働衛生コンサルタント試験 2021年 労働衛生関係法令 問07

労働安全衛生規則に基づく衛生基準




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年度(令和3年度) 問07 難易度 安衛則の衛生基準についての細かな内容の条文問題。記憶に頼らず内容で判断するしかないか。
安衛則上の衛生基準

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問7 労働安全衛生規則に定める衛生基準に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場においては、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

(2)事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。

(3)事業者は、保護具又は器具の使用によって、労働者に疾病感染のおそれがあるときは、各人専用のものを備え、又は疾病感染を予防する措置を講じなければならない。

(4)事業者は、有害なガス、蒸気又は粉じんを発散する作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由があるときを除き、作業場外に休憩の設備を設けなければならない。

(5)事業者は、日常行う清掃のほか、大掃除を、6か月以内ごとに1回、定期に、統一的に行わなければならない。

正答(1)

【解説】

問7試験結果

試験解答状況
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(1)誤り。安衛則第 583 条の2は、「事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場における業務に労働者を従事させるときは、当該屋内作業場が強烈な騒音を発する場所であることを労働者が容易に知ることができるよう、標識によつて明示する等の措置を講ずるものとする」とあるが、立入り禁止までは求めていない。

なお、同条の「ものとする」という表現は、「努めなければならない」を柔らかく表現したものと考えればよい。

【労働安全衛生規則】

(騒音を発する場所の明示等)

第583条の2 事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場における業務に労働者を従事させるときは、当該屋内作業場が強烈な騒音を発する場所であることを、見やすい箇所に標識によつて明示する等の措置を講ずるものとする。

※ 安衛則第 583 条の2は出題当時の条文は以下のようになっていた。現在は、上記のように改正されているが、本肢の正誤に影響はない。

(騒音を発する場所の明示等)

第583条の2 事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場における業務に労働者を従事させるときは、当該屋内作業場が強烈な騒音を発する場所であることを労働者が容易に知ることができるよう、標識によつて明示する等の措置を講ずるものとする。

スポーツドリンク

(2)正しい。安衛則第 617 条にそのままの規定がある。

そもそも、多量の発汗を伴う作業場において、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えるべきことは、熱中症対策に必要なことなのである。もし、本肢が誤りの肢だとすると、法令の不備(法律用語の欠缺)ということになろう。そのような問題を厚生労働省が出すはずがないのである(※)

※ もしかすると、本肢を誤りと考えた受験者は、「今どき、『塩と水』でもないだろう」と思って誤りとしたのかもしれないが・・・。まあ、古い法令だから、そういう面は残っているのである。もちろん、多量の発汗を伴う作業場に「塩と水」ではなくスポーツドリンクを備えたとしても違反にはならない。

と、この解説に書いたら、それから1月も経たない間に、令和3年12月1日基発 1201 第1号「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」が発出され、その中でわざわざ安衛則第617条について「本条の「塩」は、塩飴や塩タブレット等のほか、スポーツドリンクなどの飲料水中に含まれる塩分も当然に含む趣旨であること」と書かれている。偶然ではあろうが、やや驚いた。

【労働安全衛生規則】

(発汗作業に関する措置)

第617条 事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。

(3)正しい。安衛則第 598 条にそのままの規定がある。新型コロナ感染対策の必要性を背景にした問題である。

本肢も、試験問題作成時に喫緊の課題となっていた新型コロナ対策を進める上で必要な措置である。この時期に、これを間違いだとするような問題を厚生労働省が出題するわけがないだろう。

【労働安全衛生規則】

(専用の保護具等)

第598条 事業者は、保護具又は器具の使用によつて、労働者に疾病感染のおそれがあるときは、各人専用のものを備え、又は疾病感染を予防する措置を講じなければならない。

(4)正しい。安衛則第 614 条にそのままの規定がある。迷うとしたら本肢の「坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由があるときを除き」であろうか。

ただ、坑内作業場で作業場外に休憩設備を設けるとすると、作業者は休憩のたびに昇降人車(トロッコ状の移動用施設)で坑外に出なければならないことになる。やや不自然と気付けば正しい肢だと分かるが、やや難しいか。

【労働安全衛生規則】

(有害作業場の休憩設備)

第614条 事業者は、著しく暑熱、寒冷又は多湿の作業場、有害なガス、蒸気又は粉じんを発散する作業場その他有害な作業場においては、作業場外に休憩の設備を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由があるときは、この限りでない。

(5)正しい。安衛則第 619 条にそのままの規定がある。これは覚えておく必要がある。この種の問題は、自分が所属する事業場や自分が産業医を務める事業所で、大掃除をどの程度の周期で行っているかを考えてみると覚えやすい。もし、6月に1回行っていないのであれば、この機会にそれを改善するようにすれば、確実に記憶に定着されるだろう。

なお、これは衛生管理者試験では定番の問題である。例えば第1種衛生管理者 2021 年 10 月公表問題の問 25の(1)など。

【労働安全衛生規則】

(有害作業場の休憩設備)

第619条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

 日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと。

 ねずみ、昆虫等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ、昆虫等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。

 ねずみ、昆虫等の防除のため殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第14条又は第19条の2の規定による承認を受けた医薬品又は医薬部外品を用いること。

2021年11月06日執筆 2021年12月18日(3)の注に一部追記 2024年11月03日省令改正により一部改訂