労働衛生保護具

問２５　労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

（１）防毒マスクの使用中に臭気等を感知した場合に吸収缶の交換時期とする方法は、有害物質の臭気等を感知できる濃度がばく露限界濃度より著しく小さい物質の場合は適切である。

（２）アンモニア用防毒マスクの吸収缶の色は、緑色である。

（３）放射性物質による汚染のおそれがある区域内の作業で、オイルミストが混在する場合に使用する防じんマスクの性能の区分はＲＬ３である。

（４）一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向にある。

（５）アーク溶接作業に用いられる遮光保護具は、レーザー機器取扱作業において保護めがねとして使用してはならない。

※　出題当時から通達が変更されたため、一部の肢の正誤が異なることとなった。このため、一部の選択肢を通達に合わせて変更した。従って、難易度にも実質的な意味はない。

正答（１）

【解説】

（１）誤り。本肢は出題当時は「化学物質のばく露限界濃度にかかわらず、臭気を感知するかどうかという知覚の有無を、防毒マスクの吸収缶の交換時期の判断基準としてはならない」とされており、誤りの肢であった。これは、出題当時は有効であった平成17年2月7日基発第0207007号「防毒マスクの選択、使用等について」（以下「防毒マスク通達」という。）が、「防毒マスクの使用中に臭気等を感知した場合を使用限度時間の到来として吸収缶の交換時期とする方法は、有害物質の臭気等を感知できる濃度がばく露限界濃度より著しく小さい物質に限り行っても差し支えない」としていたためである。

その後、防じんマスク通達は、令和５年５月25日基発0525第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」（以下「保護マスク通達」という。）によって廃止された。「保護マスク通達」では、第３の２の（１）のウに「着用者の感覚では、有毒ガス等の危険性を感知できないおそれがあるので、吸収缶の破過を知るために、有毒ガス等の臭いに頼るのは、適切ではないこと」とされた。

そのため、通達の改変に合わせて問題文を修正して、誤りの肢となるようにしたものである。従って、本問の難易度にはあまり意味はない。

（２）正しい。当サイトの「労働衛生保護具の種類と性能」の表３を参照して欲しい。アンモニア用防毒マスクの吸収缶の色は、緑色である。これは覚えておく必要がある。

（３）正しい。保護マスク通達の別表５によれば「放射性物質がこぼれたとき等による汚染のおそれがある区域内の作業又は緊急作業において使用する防じんマスク」はオイルミストが混在する場合、ＲＬ３であるとされている^（※）。なお、2020年度問25の（１）に同種問題

※　防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具については、Ｓ級、ＰＬ３とされている。

なお、本問出題当時は有効であった平成17年2月7日基発第0207006号「防じんマスクの選択、使用等について」の別紙は、「放射性物質がこぼれたとき等による汚染のおそれがある区域内の作業又は緊急作業において使用する防じんマスク放射性物質による汚染のおそれのある区域内の作業で、オイルミストが混在する場合に使用する防じんマスク」の区分は、オイルミスト等が混在する場合はＲＬ３であるとしていた。

（４）正しい。保護マスク通達の記の第３の２の（１）の（ア）に「一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向にあること」とされている。

（５）正しい。「レーザー光線による障害防止対策要綱」により、レーザー機器のクラスにもよるが、レーザーを取り扱う作業では、レーザー用の保護めがねを使用する必要がある。2019年度問25の（３）に同種問題

2021年11月27日執筆