労働衛生コンサルタント試験 2021年 労働衛生一般 問13

メンタルヘルス指針




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年度(令和3年度) 問13 難易度 メンタルヘルス指針に関するごく基本的な問題。指針を知らなくても試験場で考えれば正答できる。
メンタルヘルス指針

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問13 厚生労働省の「労働者心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルへルスに関する個人情報の保護への配慮に関する次のイ~ニの記述について、正しいもののみを全て挙げたものは(1)から(5)のうちどれか。

イ 労働者の個人情報を主治医等や家族から取得する際には、事業者はこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得る。

ロ 労働者の生命や健康の保護のために緊急かつ重要であると判断されるときは、 健康情報を含む個人情報を医療機関等へ提供すべき場合もある。

ハ 産業医等は、就業上の措置を実施するために必要な情報が的確に伝達されるように、適切に加工した上で事業者に提供するものとし、加工前の情報又は詳細な医学的情報は提供してはならない。

ニ 事業者は、個人情報を取り扱う者及びその権眼、取り扱う情報の範囲、守秘義務等について、事業場内の規程等により取り決める。

(1)イ  ロ  ハ

(2)イ  ロ  ハ  ニ

(3)イ  ハ

(4)ロ  ハ  ニ

(5)ロ  ニ

正答(2)

【解説】

問13試験結果

試験解答状況
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本問は、「労働者心の健康の保持増進のための指針」(平18年3月31日 健康保持増進のための指針公示第3号)(以下、「指針」という。)の「7 メンタルヘルスに関する個人情報の保護への配慮」からの出題である。

イ 正しい。指針の7(1)に「労働者の個人情報を主治医等の医療職や家族から取得する際には、事業者はあらかじめこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得るとともに、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい」とされている。

メンタルヘルスに係る個人情報は、個人情報保護法第2条(及び個人情報保護法施行令第2条)の要配慮個人情報に該当するものがあり、そのようなものは個人情報保護法第17条により、原則としてあらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならないのである。

指針は、さらに一歩進めて、メンタルヘルスに関する個人情報すべてについて、原則として本人の同意を得ずに入手しないものとしている。

ロ 正しい。指針の7(1)に「健康情報を含む労働者の個人情報を医療機関等の第三者へ提供する場合も、原則として本人の同意が必要である。ただし、労働者の生命や健康の保護のために緊急かつ重要であると判断される場合は、本人の同意を得ることに努めたうえで、必要な範囲で積極的に利用すべき場合もあることに留意が必要である」とされている。

これは、個人情報保護法第23条が、原則として「あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」という規定を指針に表したものである。指針の但し書きは、前述の個人情報保護法第23条第1項第二号や、民法第698条の緊急事務管理、刑法第37条の緊急避難の原則を表現したものである。

ハ 正しい。指針の7(2)に「産業医等は、当該労働者の健康を確保するための就業上の措置を実施するために必要な情報が的確に伝達されるように、集約・整理・解釈するなど適切に加工した上で提供するものとし、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等の加工前の情報又は詳細な医学的情報は提供してはならない」とされている。

生データは医療職の元に留めるとしたものである。指針のこの規定があるため、刑法第134条(秘密漏示罪)について、産業医がメンタルヘルスに関する生データを事業者側の者に提供した場合に、同罪の適用があると解釈する余地があるといえよう。

ニ 正しい。指針の7(3)に「事業者は、衛生委員会等での審議を踏まえ、これらの個人情報を取り扱う者及びその権限、取り扱う情報の範囲、個人情報管理責任者の選任、個人情報を取り扱う者の守秘義務等について、あらかじめ事業場内の規程等により取り決めることが望ましい」とされている。

2021年11月23日執筆