労働衛生コンサルタント試験 2021年 労働衛生一般 問11

健康診断の事後措置指針




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年度(令和3年度) 問11 難易度 健康診断の事後措置指針は3年続けての出題。今後、定番の出題となるか。難易度は低いが。
健康診断の事後措置指針

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問11 厚生労働省の「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)二次健康診断結果の保存には、当該労働者の同意を得ることが必要である。

(2)事業者が医師等の意見に基づいて就業上の措置を決定する場合には、当該労働者の意見を聴き、話合いを通じて了解が得られるようにする。

(3)健康診断の結果による就業区分には、通常勤務、就業制限、要休業の三つがある。

(4)事業者は健康診断の受診率が向上するよう労働者に対する周知及び指導に努める必要がある。

(5)保健指導には日常生活面での指導は含まれない。

正答(5)

【解説】

問11試験結果

試験解答状況
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問題文にもあるように、本問は、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成8年10月1日 健康診断結果措置指針公示第1号)(以下、「指針」という。)からの出題である。

(1)正しい。指針の2の(5)のホには、二次健康診断の結果について「保存に当たっては、当該労働者の同意を得ることが必要である」とされている。二次健康診断の結果の保存は法令に基づく義務ではないので、個人情報保護法第16条により、保存についても同意が必要となるのである。

(2)正しい。指針の2の(4)のイのには「事業者は、(3)の医師等の意見に基づいて、就業区分に応じた就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めることが適当」とされている。

就業上の措置は、当人にとって仕事上のやりがいや地位の低下、さらには収入の減少等の不利益を伴うことがあり、本人の納得が得られることが重要であるとしたものである。

(3)やや疑問はあるが正しいとしておく。指針の2の(3)のハの(イ)には、健康診断の結果による就業区分の例として、通常勤務、就業制限、要休業の三つに分けている。

ただ、これはあくまでも一例として挙げているだけであり、これでなければならないとしているものではない。行政の通達や告示に例示されたものを絶対的なものとして思考停止してしまうようでは、柔軟に現状に対応した適切な事後措置は不可能であろう。

(4)正しい。指針の2の(1)に「健康診断の実施に当たっては、事業者は受診率が向上するよう労働者に対する周知及び指導に努める必要がある」としている。

なお、ここにいう「健康診断」には、「自発的健診」と「二次健康診断」を含めているものと考えられる(※)。安衛法上で義務付けられている健康診断については、その実施は公法上の国に対する義務であり、労働者に対して周知及び指導に努めるだけでは義務を果たしたことにはならない。

※ 指針の文書上は、直前に「労働安全衛生法第66条第1項から第4項までの規定に定めるところにより、労働者に対し医師等による健康診断を実施し」とあり、法定の健康診断についてのこととも読める。しかし、「1 趣旨」で、指針の「健康診断」という用語には「自発的健診」と「二次健康診断」を含めていると読める文章もある。この点は、やや、あいまいである。

(5)誤り。指針の2の(5)のロには、「一般健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対して、医師又は保健師による保健指導を受けさせるよう努めなければならない。この場合、保健指導として必要に応じ日常生活面での指導、健康管理に関する情報の提供、健康診断に基づく再検査又は精密検査、治療のための受診の勧奨等を行う」と明記されている。

2021年11月23日執筆