問9 職場における熱中症予防に関する次のイ~ホの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 暑熱環境による熱ストレスの程度は、気温、湿度及び輻射熱の3要素によって決まる。
ロ 暑熱環境で体温が上がり過ぎないよう、放射、伝導、対流及び蒸発の四つの熱放散を利用する。
ハ 暑熱への順化期間として3日程度を目標とする。
ニ 熱中症の救急処置において、最初に確認することは意識の有無である。
ホ WBGT値の単位は℃である。
(1)イ ロ ニ
(2)イ ハ
(3)ロ ニ ホ
(4)ハ ホ
(5)ニ ホ
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年度(令和3年度) | 問09 | 難易度 | 熱中症対策に関する基本的な知識問題である。意外に正答率は高くなかった。 |
---|---|---|---|
熱中症対策 | 4 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問9 職場における熱中症予防に関する次のイ~ホの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
イ 暑熱環境による熱ストレスの程度は、気温、湿度及び輻射熱の3要素によって決まる。
ロ 暑熱環境で体温が上がり過ぎないよう、放射、伝導、対流及び蒸発の四つの熱放散を利用する。
ハ 暑熱への順化期間として3日程度を目標とする。
ニ 熱中症の救急処置において、最初に確認することは意識の有無である。
ホ WBGT値の単位は℃である。
(1)イ ロ ニ
(2)イ ハ
(3)ロ ニ ホ
(4)ハ ホ
(5)ニ ホ
正答(3)
【解説】
イ 誤り。人体の熱収支に与える影響としては、①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3要素が大きいことは事実である。しかし、気流、身体作業強度、作業服の熱特性なども影響を与える。
本肢は「暑熱環境」とあるので、身体作業強度、作業服の熱特性などは対象外であるが、「気流」が含まれていないので誤りである(※)。
※ 「職場における熱中症予防対策マニュアル」には「熱中症のリスクが存在する暑熱環境であるかどうかを評価するには、気温の測定のみでは不十分です。(中略)気温が 30℃を超えると熱中症発生件数が急増していますが、30℃より低くても相対湿度が高い場合には熱中症が発生していることが分かります。(中略)さらに熱中症の発生には湿度だけでなく、輻射熱(放射熱)と空気の流れ(風速)も大きく影響します(下線強調引用者)
」とされている。
ロ 正しい。誤っていると考える余地がない。人体の熱は、この4つによって体外に放散される(※)。伝導、対流、輻射、蒸発は、ガスコンロの火を止めた後の鍋でも、太陽光によって温度が上がった岩の日没後でも、すべての物体の熱放散で起こり得る物理現象である。
なお、人体における「蒸発」は汗の蒸発であり、周囲の温度が体温より高くても熱の放散が可能である。
※ 「職場における熱中症予防対策マニュアル」に、「中枢は、人間が意識しなくても、体内の熱の産生(食事、運動)と熱の放散(伝導、対流、輻射、蒸発)との平衡を維持しようとします(下線強調引用者)
」との表現がある。
ハ 誤り。作業を行う者が暑熱順化していない状態から7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くする(※)。3日では熱への順化期間としては短い。
※ 「職場における熱中症予防対策マニュアル」に「作業を行う者が暑熱順化していない状態から7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くすること
」とされている。
ニ 正しい。職場における熱中症予防対策マニュアルに作業現場での応急処置として、「まずは意識を確認します
」とされている。
ホ 正しい。