労働衛生コンサルタント試験 2021年 労働衛生一般 問06

減圧症の症状と対策




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年度(令和3年度) 問06 難易度 減圧症の症状と対策に関する基本的な知識問題である。過去に類問も多く、正答率も高い。
減圧症の症状と対策

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問6 減圧症に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 急な減圧時に血液や生体組織内で二酸化炭素が気泡化して発生する。

ロ べンズと呼ばれる関節や筋肉の痛みが生じる。

ハ チョークスと呼ばれる息苦しさ、呼吸困難が生じる。

ニ 予防として空気より窒素の割合を高めた酸素・窒素・ヘリウム混合ガスを呼吸用に使用する。

(1)イ  ロ

(2)イ  ハ

(3)イ  ニ

(4)ロ  ハ

(5)ハ  ニ

正答(4)

【解説】

問6試験結果

試験解答状況
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イ 誤り。高気圧状態から急速に減圧したとき、血液中に溶解していた窒素ガスが気泡となって、気泡による血流障害(気泡塞栓)や、気泡が組織を圧迫する。

ロ 正しい。減圧により生じる「ベンズ」(Ⅰ型ベンズ)とは、四肢の関節や筋肉に痛みや違和感が出ること(※)で、減圧症のほとんどがこの病型である。窒素ガス気泡の圧迫によるもので、90%は減圧終了後2時間以内に発症する。

※ 昭和 53 年3月 30 日基発第 186 号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」に、「ベンズ(bends)と呼ばれる主として四肢の関節又はその周辺部の疼痛及びそれに基づく運動機能障害」という表現がある。

ハ 正しい。チョークス(Ⅱ型ベンズ)とは、肺に表れる症状で、胸苦しさ(胸の痛み)、呼吸困難(息切れ)などのこと(※)である。運動麻痺、知覚障害、意識消失、ショック症状なども起き、死亡災害となることもある重篤な疾患である。この病型には、中枢神経障害型とメニエール型がある。

※ 前記の通達(昭和 53 年3月 30 日基発第 186 号)に、「前胸痛、頻呼吸、息切れ等のいわゆるチヨークス(chokes)」という表現がある。

ニ 誤り。厚生労働省の「高気圧作業安全衛生規則改正検討会報告書」(平成26年2月)によれば、「今日では、高気圧作業の呼吸ガスに、窒素混合ガス(ナイトロックス。窒素と酸素の混合ガス)、ヘリウム混合ガス(ヘリオックス。ヘリウムと酸素の混合ガス)、三種混合ガス(トライミックス。窒素とヘリウムと酸素の混合ガス)といった、酸素と呼気用不活性ガス(窒素及びヘリウム)を混合した混合ガスを利用することが技術的に可能であり、これを用いれば健康障害を起こすリスクを下げ減圧時間の短縮が可能である」とされている。

トライミックスの組成は、酸素25%、窒素50%、ヘリウム25%であり、窒素濃度は空気(窒素濃度約80%)より低い。

2021年11月23日執筆