問3 有害物質の性状、空気中での状態などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ヒュームの一次粒子の粒径は、一般に5~10㎛程度である。
(2)空気中の有機溶剤100 ppmは、体積分率0.01 %に相当する。
(3)作業環境における空気中の有害物質の濃度分布の多くは、対数正規分布で近似される。
(4)アセトンは、ベンゼンより極性が大きい。
(5)粉じん粒子の空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1g/cm3の球形粒子の直径である。
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年度(令和3年度) | 問03 | 難易度 | 有害物質の性状等は頻出事項。やや専門的な肢もあるが、全般に基本的な内容。正答率も高い。 |
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有害物質の性状等 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問3 有害物質の性状、空気中での状態などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ヒュームの一次粒子の粒径は、一般に5~10㎛程度である。
(2)空気中の有機溶剤100 ppmは、体積分率0.01 %に相当する。
(3)作業環境における空気中の有害物質の濃度分布の多くは、対数正規分布で近似される。
(4)アセトンは、ベンゼンより極性が大きい。
(5)粉じん粒子の空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1g/cm3の球形粒子の直径である。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。ヒュームの一次粒子の粒径は1㎛以下が主である。なお、アーク溶接のヒュームの一次粒子の粒子径は、数㎚~100㎚程度(※)である。
※ 田代真一他「溶接ヒューム生成機構の数位解析(第3報)」など。
(2)正しい。パーセント(%)は百分率、ppmは百万分率である。従って、同じ値をそれぞれの単位で表すと、その数値は、ppmで表す方が%で表すより1万倍大きくなる。空気中の有機溶剤に限らず、100 ppmは、体積分率0.01 %に相当する。
なお、2018年問2の(3)、2016年問2の(3)及び2020年問3の(2)に同種の肢がある。
(3)正しい。ただし、正確には、環境空気中の有害物質の濃度分布は「対数正規分布で近似される」のではなく、「対数正規分布で近似している」のである。
なお、2020年問3の(5)に同種の肢がある。
(4)正しい。物質の極性とは、分子内に存在している電気的な偏りのことである。極性が大きな物質は、極性の大きな溶剤には溶けやすいが、極性の小さな溶剤には溶けにくい。そして、アセトンは極性分子であるが、ベンゼンは無極性分子である。従って本肢は正しい。なお、水は極性分子であって、メタノールより極性が大きいことも覚えておこう。
なお、個々の物質の極性については、2016年問2の(5)の解説を参照して頂きたい。
(5)正しい。粉じん粒子の空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1g/cm3の球形粒子の直径である。
なお、2018年問2の(5)に同種の肢がある。