労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生関係法令 問10

型式検定の対象となるもの




問題文
トップ
合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2020年度(令和2年度) 問10 難易度 型式検定の対象は過去問に類例がない(安コンにはあるが少ない)ため、やや難問だったようだ。
型式検定の対象

問10 次のイ~ニの機械等について、労働安全衛生法令上、型式についての検定を受けなければならないもののみを挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 透過写真撮影用ガンマ線照射装置

ロ レーザー用保護眼鏡

ハ 空気呼吸器

ニ ハロゲンガス用防毒マスク

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)ロ   ニ

(4)ハ

(5)ニ

正答(5)

【解説】

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

(型式検定)

第44条の2 第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。

2~7 (略)

別表二 (第四十二条関係)

一~八 (略)

 防毒マスク

十~十六 (略)

別表四 (第四十四条の二関係)

一~五 (略)

 防毒マスク

七~十三 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項 略)

 法第四十二条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする

一~二十二 (略)

二十三 ガンマ線照射装置(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第四項に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)

二十四~三十四 (略)

 (略)

 次の表の上欄に掲げる機械等には、それぞれ同表の下欄に掲げる機械等を含まないものとする。

(略) (略)
法別表第二第九号に掲げる防毒マスク ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒マスク
(略) (略)

(型式検定を受けるべき機械等)

第14条の2 法第44条の2第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~五 (略)

 防毒マスク(ハロゲンガス用又は有機ガス用のものその他厚生労働省令で定めるものに限る。)

七~十四 (略)

【労働安全衛生規則】

(規格を具備すべき防毒マスク)

第26条 令第13条第5項の厚生労働省令で定める防毒マスクは、次のとおりとする。

 一酸化炭素用防毒マスク

 アンモニア用防毒マスク

 亜硫酸ガス用防毒マスク

型式検定について、安衛法第 44 条の2は、「第 42 条の機械等のうち、別表第4に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない」としている。

すなわち、型式検定の対象は、①第 42 条の機械等のうち、②別表第4に掲げるもので、③政令で定めるものという、3段階の絞り込みが行われている。以下、本問で示された「イ 透過写真撮影用ガンマ線照射装置」、「ロ レーザー用保護眼鏡」、「ハ 空気呼吸器」及び「ニ ハロゲンガス用防毒マスク」がこの3つの条件に合致するかを順にみてゆこう。

① 第 42 条の機械等

安衛法第 42 条の機械等とは、「特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるもの」である。

これは、複雑な書き方がしているがたんに、

  • 「特定機械でないもの」であって、
  • かつ「別表第2に掲げるもの」又は「政令で定めるもの」という2つの条件のいずれかに合致するもの

と言っているのである。そして、別表第2には「防毒マスク」(第六号)が掲げられ、政令(安衛令第13条第3項)には「ガンマ線照射装置(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第四項に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)」(第23号))が定められている。

そして、特定機械とは、安衛法第37条により「別表第一に掲げるもので、政令で定めるもの」とされているが、「イ 透過写真撮影用ガンマ線照射装置」も「ニ ハロゲンガス用防毒マスク」も別表第1に掲げられていないので特定機械ではない。従って、双方とも①の条件はクリアする。

従って、この時点で「イ 透過写真撮影用ガンマ線照射装置」と「ニ ハロゲンガス用防毒マスク」以外の2つは、型式検定の対象でないことが分かる。

② 別表第4に掲げるもの

別表第4に掲げるものに、防毒マスクは掲げられているが、ガンマ線照射装置は掲げられていない。従って、②の条件は「ニ ハロゲンガス用防毒マスク」のみがクリアする。

③ 政令で定めるもの

ここにいう政令で定めるものとは、安衛令第14条の2に定められているが、「防毒マスク(ハロゲンガス用又は有機ガス用のものその他厚生労働省令で定めるものに限る。)(第六号)」が定められている。

以上より、「ニ ハロゲンガス用防毒マスク」は型式検定の対象になるが、他のものは対象とならない。

2020年12月13日執筆 2022年09月12日執筆