問8 安全衛生教育について、事業者が講ずべき措置等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)雇入れ時の教育において、業種によらず行わなければならない事項には、作業手順に関すること、整理、整頓及び清潔の保持に関すること、事故時等における応急措置及び退避に関することが含まれる。
(2)建設業の事業場では、新たに職務につくこととなった職長、作業主任者その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者に対し、安全又は衛生のための職長等教育を行わなければならない。
(3)第一種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者をつかせるときは、当該業務に関する衛生のための特別教育を行わなければならない。
(4)廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務に労働者をつかせるときは、当該業務に関する安全又は衛生のための特別教育を行わなければならない。
(5)特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを5年間保存しておかなければならない。
※ 本問は、出題後の省令改正により正答となる肢が2つある。
このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年度(令和2年度) | 問08 | 難易度 | 安全衛生教育についての条文問題であるがかなり細かい内容である。難問の部類だろう。 |
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安全衛生教育 | 5 |
問8 安全衛生教育について、事業者が講ずべき措置等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)雇入れ時の教育において、業種によらず行わなければならない事項には、作業手順に関すること、整理、整頓及び清潔の保持に関すること、事故時等における応急措置及び退避に関することが含まれる。
(2)建設業の事業場では、新たに職務につくこととなった職長、作業主任者その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者に対し、安全又は衛生のための職長等教育を行わなければならない。
(3)第一種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者をつかせるときは、当該業務に関する衛生のための特別教育を行わなければならない。
(4)廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務に労働者をつかせるときは、当該業務に関する安全又は衛生のための特別教育を行わなければならない。
(5)特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを5年間保存しておかなければならない。
※ 本問は、出題後の省令改正により正答となる肢が2つある。
正答(4)(その後の省令改正により(1)も正答となる)
【解説】
(1)出題当時は誤りの肢であったが、現時点では正しい肢となっている。雇入れ時の教育について、出題当時の安衛則第35条第1項の但書きにより、「作業手順に関すること」は、安衛令第二条第三号に掲げる業種(非工業的業種)の事業場の労働者については省略できた。なお、「整理、整頓及び清潔の保持に関すること」及び「事故時等における応急措置及び退避に関すること」は、当時も現在も業種によらず行わなければならない。
しかし、2024 年4月1日に同条の但書きが削除されたため、業種によらず「作業手順に関すること」についても教育の対象となった。なお、その教育を行う対象者が、事務作業しか行わないその他の理由で、作業手順についての教育を行う必要がないのであれば、作業手順についての教育を省略できることは言うまでもない。
【労働安全衛生法施行令】
(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)
第2条 (柱書 略)
一 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 100人
二 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 300人
三 その他の業種 1,000人
【労働安全衛生規則】
(雇入れ時等の教育)
第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。
一及び二 (略)
三 作業手順に関すること。
四及び五 (略)
六 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
七 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
八 (略)
2 (略)
※ 安衛則第35条第1項は、2024年(令和6年)3月 31 日までは、次のように但書があった。
(雇入れ時等の教育)
第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。ただし、令第2条第三号に掲げる業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。
一~八 (略)
2 (略)
(2)誤り。安衛法第60条により、建設業の事業場では、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者に対し、安全又は衛生のための職長等教育を行わなければならない。しかし、作業主任者は対象から除かれている。
【労働安全衛生法】
第60条 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
一~三 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(職長等の教育を行うべき業種)
第19条 法第60条の政令で定める業種は、次のとおりとする。
一 建設業
二 製造業。ただし、次に掲げるものを除く。
イ たばこ製造業
ロ 繊維工業(紡績業及び染色整理業を除く。)
ハ 衣服その他の繊維製品製造業
ニ 紙加工品製造業(セロフアン製造業を除く。)
三 電気業
四 ガス業
五 自動車整備業
六 機械修理業
※ 安衛則第19条は、2024年(令和6年)3月 31 日までは、以下のようになっていた。
(職長等の教育を行うべき業種)
第19条 法第60条の政令で定める業種は、次のとおりとする。
一 (変更なし)
二 製造業。ただし、次に掲げるものを除く。
イ 食料品・たばこ製造業(うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く。)
ロ~ニ (変更なし)
ホ 新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業
三~六 (変更なし)
(3)誤り。特別教育を行わなければならない業務は安衛則第 36 条に定められている。しかし、第一種有機溶剤等に係る有機溶剤業務は、対象となっていない。
受験テクニックとして、特定化学物質又は有機溶剤等と言われたら、特別教育は関係がないと覚えておく。
(4)正しい。廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務は、安衛則第 36 条第三十五号に定められている。当該業務に労働者をつかせるときは、当該業務に関する安全又は衛生のための特別教育を行わなければならない。
【労働安全衛生法】
(安全衛生教育)
第59条 (第1項及び第2項 略)
3条 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
【労働安全衛生規則】
(特別教育を必要とする業務)
第36条 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
一~三十四 (略)
三十五 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務
三十六~四十一 (略)
(5)誤り。特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならない。5年間ではない。
【労働安全衛生規則】
(特別教育の記録の保存)
第38条 事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならない。