労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生関係法令 問07

労働安全衛生規則に基づく衛生基準




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和2年度) 問07 難易度 安衛則の衛生基準の基本的な事項についての条文問題である。正答できなければならない。
安衛則上の衛生基準

問7 労働安全衛生規則に基づく衛生基準に関する次の文中の A  D に入る語句又は数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

① 事業者は、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者が臥床することのできる A を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。

② 事業者は、著しい騒音を発する所定の屋内作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、 B を測定しなければならない。

③ 事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、精密な作業を行う場合は、特殊な作業を行う作業場を除き、 C ルクス以上にしなければならない。

④ 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場においては、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、換気が十分行われる性能を有する設備を設けたときを除き、常時床面積の D 以上になるようにしなければならない。

    A   B   C   D
(1) 休憩の設備   最大騒音レベル   500   20分の1
(2) 休養室又は休養所   最大騒音レベル   500   10分の1
(3) 休憩の設備   等価騒音レベル   500   10分の1
(4) 休養室又は休養所   等価騒音レベル   300   20分の1
(5) 休憩の設備   等価騒音レベル   300   20分の1

正答(4)

【解説】

以下により、(4)が正答となる。

① 安衛則第 618 条は、「事業者は、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」としている。(2016年問9の(4)に類問)

これは覚えておかなければならない。とは言っても、日本語の普通の感覚で考えても、床できるのなら、「休憩の設備」ではなく、「休養室又は休養所」だろう。

なお、女性30人のみを使用する場合に、男性用の休養室又は休養所を設ける必要がないことは当然である。休養室又は休養所を一か所だけ設けて、それを“女性用”にしておけばよい。ただし、女性30人と男性1人を使用する場合は男性用の休憩室を設けなければならない。

試験本番で、「男性の人数が少なければ、男性は臥床ができなくてもよいのではないか」という疑問が湧くことがあるので、ここはきちんと押さえておくこと。男性20人で女性が29人なら男女ともは臥床ができなくてもよいが、男性1人で女性が30人だと、男女ともには臥床できる必要があるのだ。

このようにしたのは、女性だけ臥床できるようにすると、男性が女性の休養室に入って横になろうとするのではないかという不安があったためである。今では信じられないようなことだが、この規定ができた当時は、男尊女卑の風潮があり、また中高齢の女性の羞恥心など気にする必要はないという時代だったのだ。

なお、常時 50 人以上の労働者を雇用する事業場で働いている方は、自社に「労働者が臥床することのできる」休養室又は休養所が「男性用と女性用に区別して」あったかななどと、自社の状況と関連付けてみると覚えやすいかもしれない。

【労働安全衛生規則】

(休養室等)

第618条 事業者は、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。

② 安衛則第 590 条第1項は、「事業者は、著しい騒音を発する所定の屋内作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない」としている。

これも覚えておかなければならない事項である。なお、ここまで読めば、③と④を読まなくても正答できる。

【労働安全衛生規則】

(騒音の測定等)

第590条 事業者は、第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。

 (略)

③ 安衛則第 604 条(表)は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、精密な作業を行う場合は、特殊な作業を行う作業場を除き、300ルクス以上にしなければならないとしている。これも、覚えておくべき事項である。

なお、事務所則第10条の表もこの機会に覚えておきたい。

【労働安全衛生規則】

(照度)

第604条 事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場については、この限りでない。

作業の区分 基準
精密な作業 300ルクス以上
普通の作業 150ルクス以上
粗な作業 70ルクス以上

④ 安衛則第 601 条第1項は、「事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場においては、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、換気が十分行われる性能を有する設備を設けたときを除き、常時床面積の二十分の一以上になるようにしなければならない」としている。

【労働安全衛生規則】

(換気)

第601条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場においては、窓その他の開口部の直接外気に向つて開放することができる部分の面積が、常時床面積の20分の1以上になるようにしなければならない。ただし、換気が十分行なわれる性能を有する設備を設けたときは、この限りでない。

2条 (略)

2020年12月13日執筆