労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生一般 問05

電離放射線




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和2年度) 問05 難易度 電離放射線に関する設問は頻出である。基本的な内容であり、確実に正答しておきたい。
電離放射線

問05 電離放射線に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)電磁波であるX線の波長は、電波より長い。

(2)人体に対する影響の強さを示す放射線加重係数は、α線1に対してX線は20の値をとる。

(3)電離放射線の影響は、神経のような細胞分裂の乏しい組織に現れやすい。

(4)眼の水晶体の混濁である白内障は、電離放射線の早期影響の一つである。

(5)電離放射線の確率的影響については、防護の目標はそれによる障害発生率の減少である。

正答(5)

【解説】

本問は、本サイトの過去問の解説を読み込んでおけば正答できる問題である。

(1)誤り。電磁波であるX線の波長は、電波より短い

各種電磁波の波長(※)
電磁波の種類 波長
電波 10-1~104
マイクロ波 10-3~10-1
赤外線 8×10-7~10-3
可視光線 4×10-7~8×10-7
紫外線 10-8~10-7
X線 10-12~10-8
ガンマ線 10-11m以下

※ 電磁波の種類と波長の範囲は、テキストによって多少の異同がある。本表は、国立研究開発法人産業技術総合研究所WEBサイト「X線吸収微細構造解析(XAFS)」の表の数値を用いた。

(2)誤り。人体に対する影響の強さを示す放射線加重係数は、α 線20に対してX線は1の値をとる。数値が逆になっている。なお、2019年問5の(3)に同種の肢がある。

(3)誤り。ベルゴニー・トリボンドの法則によれば、細胞分裂頻度が高く、将来、細胞分裂の回数が大きく、形態及び機能的に未分化である組織は、放射線感受性が高いとされる。従って、電離放射線の影響が、細胞増殖の盛んな細胞に現れやすいことは正しい。

しかし、神経細胞は分裂をせず、分化した細胞であるので、放射線感受性が低く、放射線に強いとされている(異論がある)

なお、2019年問5の(4)に同種の肢がある。

(4)誤り。白内障は晩発影響であるが、例外的に確定的影響である。受験対策としては、急性影響、白内障及び不妊が確定的影響であると覚えておけばよい。なお、2019年問5の(5)及び2018年問4の(1)に同種の肢がある。

(5)正しい。電離放射線による健康への影響は、確定的影響と確率的影響に分けられる。確定的影響では、線量が大きいほど障害の程度が重篤となり、確率的影響では、線量が大きいほど障害に罹患する確率が高くなる。

従って、電離放射線の確率的影響の防護の目標が、それによる障害発生率の減少であることは当然であろう。

2020年11月25日執筆