労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生一般 問04

石綿




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和2年度) 問04 難易度 石綿に関する設問は2016年以来である。ただ基本的な内容であり、確実に正答しておきたい。
石綿

問04 石綿に関する次のイ~ニの記述について、適切なものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 石綿は、蛇紋岩や角閃石が霜柱状に結晶した繊維状の鉱物である。

ロ 石綿含有成形板は、現在も日本で製造等が行われている。

ハ 石綿の管理濃度は10f/Lと定められている。

ニ 石綿は曲げや引張りに強く、不燃性、耐久性に優れている。

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)イ   ニ

(4)ロ   ハ

(5)ハ   ニ

正答(3)

【解説】

イ 正しい。石綿は、蛇紋岩や角閃石が霜柱状に結晶した繊維状の鉱物である。

ロ 誤り。石綿を含有する製品は、試験研究のために用いられるものを別にすれば、例外的なもの(※)を除き新たな製造、使用等は禁止されている。法律違反がない限り、日本で製造等が行われていることはあり得ない。

※ 石綿の分析のための試料の用に供される石綿、石綿の使用状況の調査に関する知識又は技能の習得のための教育の用に供される石綿等の製造等は禁止されていない。なお、農業では、原料に蛇紋岩を用いた肥料が一般的に使用されているが、これは禁止される石綿製品ではないと考えられている。

ハ 誤り。作業環境評価基準 別表2によれば、石綿の管理濃度は、5µm 以上の繊維として0.15f/cm3である。

ニ 正しいとしておく。石綿が不燃性、耐久性に優れていることは正しい。ただ、石綿そのものが曲げや引張りに強いかと言われると、やや疑問がないわけでもない。

しかし、国土交通省のパンフレット「建築物のアスベスト安全対策の手引き」に「アスベストは、曲げや引張りに強く、不燃性、耐久性、親和性等に優れている」と記載されている。石綿そのもののことではなく、石綿を含有する建材のことではあろうが、国のパンフレットの記載がこうなっている以上、本肢は正しいとしてよいであろう。

ロとハが明らかに誤っているので、正答することはできるだろうが、正確さを要求される国家試験の問題としては、ここは「石綿」ではなく「石綿を含有する建材」「石綿を練りこんだ材料」などとするべきではなかったかと思われる。

2020年11月23日執筆