労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生一般 問02

労働安全衛生統計等




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和2年度) 問02 難易度 (安全)衛生統計は毎年の出題。細かな内容もあるが、組合せ問題であり、正答できる必要がある。
労働安全衛生統計等

問02 我が国の労働安全衛生統計等に関する次のイ~ニの記述について、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 休業4日以上の死傷者数は、過去10年間、年々減少傾向にあり、平成30年は約6万人である。

ロ 休業4日以上の業務上疾病者数は、平成20年以降、7千人から9千人の間で推移し、そのうち約6割が災害性腰痛である。

ハ 厚生労働省「じん肺健康管理実施結果調」によると、じん肺の有所見者数は年々減少傾向にあり、ここ数年は1万人台で推移している。

ニ 厚生労働省の平成30年労働安全衛生調査(実態調査)結果によると、労働者数50人以上の事業場のうち、ストレスチェック制度の実施事業場の割合は約8割である。

(1)イ   ロ   ハ

(2)イ   ロ   ニ

(3)イ   ハ

(4)ロ   ニ

(5)ハ   ニ

正答(4)

【解説】

労働衛生統計については、本サイトの「最新の労働衛生の統計情報」の他、本問に関する具体的な数値は「表で見る労働災害の発生と労働衛生の状況」も参照されたい。

労働災害の推移

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イ 誤り。休業4日以上の死傷者数は、過去10年間のトレンドでいえば、微増傾向にある。これは、労働者の高齢化によって、転倒などの災害が増加していることによるものであろう。

※ なお、グラフでは令和2年(2020年)以降の新型コロナへの感染による死亡災害は除いている。新型コロナへの感染を含めたグラフは「労働衛生(産業保健)最新統計」を参照して頂きたい。

また、平成30年の被災者数は12万人を超えている。休業4日以上の死傷者数は、死亡者数の100倍を超えているが、近年、その比率は拡大する傾向にある。

業務上疾病者数の推移

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ロ 正しい(ただし2020年以降を除いた場合)。休業4日以上の業務上疾病者数は、平成20年以降は、7千人から9千人の間で推移している。また、折れ線グラフ(右目盛り)に示したように、その6割程度は災害性の腰痛である。

※ グラフでは令和2年(2020年)以降の新型コロナへの感染は除いている。新型コロナへの感染を含めたグラフは「労働衛生(産業保健)最新統計」を参照して頂きたい。

なお、本問出題後の2020年以降に新型コロナによる感染が保健衛生業を中心に急増したため、この肢は現時点では誤りの肢となろう。

じん肺管理区分決定の状況

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ハ 誤り。厚生労働省「じん肺健康管理実施結果調」によると、じん肺の有所見者数は年々減少傾向にあるが、平成30年には1,366名である。1万人台で推移していたのは、平成7年から同13年までのことである。

ニ 正しい。厚生労働省の平成30年労働安全衛生調査(実態調査)結果によると、労働者数50人以上の事業場のうち「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所計」の割合は90.7%であり、そのうち「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」を行った事業所の割合は90.9%である。従って、全体としては約8割の事業所がストレスチェックを実施している。

なお、平成27-29年度労働安全衛生総合研究事業「ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究」によると、ストレスチェック制度の実施義務対象事業場のうち、82.9%の事業場がストレスチェック制度を実施したとされている。

2020年11月23日執筆