問12 作業環境測定を行うべき作業場、測定対象及び測定頻度の組合せとして、労働安全衛生法令上、誤っているものは次のうちどれか。
作業場 | 測定対象 | 頻度 | |||
---|---|---|---|---|---|
(1) | 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場 | 気温、湿度及びふく射熱 | 半月以内ごとに1回 | ||
(2) | 動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍛造の業務を行う屋内作業場 | 等価騒音レベル | 6か月以内ごとに1回 | ||
(3) | 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で事務所の周に供されるもの | 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率、室温及び外気温並びに相対湿度 | 6か月以内ごとに1回 | ||
(4) | メタノールを用いて精密機器の洗浄業務を行う屋内作業場 | 気中メタノールの濃度 | 6か月以内ごとに1回 | ||
(5) | 鉛ライニングの業務を行う屋内作業場 | 気中鉛の濃度 | 1年以内ごとに1回 |
このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2019年度(令和元年度) | 問12 | 難易度 | やや細かなことを聞いているが作業環境測定は基本である。やや難度は高いが正答したい問題である。 |
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作業環境測定対象業務等 | 4 |
問12 作業環境測定を行うべき作業場、測定対象及び測定頻度の組合せとして、労働安全衛生法令上、誤っているものは次のうちどれか。
作業場 | 測定対象 | 頻度 | |||
---|---|---|---|---|---|
(1) | 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場 | 気温、湿度及びふく射熱 | 半月以内ごとに1回 | ||
(2) | 動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍛造の業務を行う屋内作業場 | 等価騒音レベル | 6か月以内ごとに1回 | ||
(3) | 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で事務所の周に供されるもの | 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率、室温及び外気温並びに相対湿度 | 6か月以内ごとに1回 | ||
(4) | メタノールを用いて精密機器の洗浄業務を行う屋内作業場 | 気中メタノールの濃度 | 6か月以内ごとに1回 | ||
(5) | 鉛ライニングの業務を行う屋内作業場 | 気中鉛の濃度 | 1年以内ごとに1回 |
正答(3)
【解説】
作業環境を行うべき作業場は安衛令第 21 条に定められているが、具体的には安衛則第 587 条から第 589 条の他、各特別規則に定められている。
なお「作業環境測定の頻度と記録保存年限」に一覧表の形にまとめてあるので、参考にして頂きたい。
(1)正しい。「溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場」は安衛則第 587 条第8号に定められており、同規則第607条の規定により半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならない。
【労働安全衛生法
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 (略)
二 暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの
三~十 (略)
【労働安全衛生規則】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第587条 令第21条第二号の厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりとする。
一~七 (略)
八 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行なう屋内作業場
九~十六 (略)
(気温、湿度等の測定)
第607条 事業者は、第587条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない。
2 (略)
(2)正しい。「動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍛造の業務を行う屋内作業場」は、安衛則第 588 条第3号に定められており、同規則第590条の規定により「六月以内ごとに一回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない」とされている。
【労働安全衛生法
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三 著しい騒音を発する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの
四~十 (略)
【労働安全衛生規則】
第588条 令第21条第三号の厚生労働省令で定める著しい騒音を発する屋内作業場は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三 動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍛造又は成型の業務を行なう屋内作業場
四~九 (略)
(騒音の測定等)
第590条 事業者は、第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
2 (略)
(3)誤り。「中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で事務所の周に供されるもの」は、安衛令第 21 条に定められている。そして、事務所則第7条には「一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率、室温及び外気温並びに相対湿度」を測定しなければならないと定められているが、測定頻度は原則として2か月に1回である。6か月に1度ではない。
【労働安全衛生法
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~四 (略)
五 中央管理方式の空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。)を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの
六~十 (略)
【事務所衛生基準規則】
(作業環境測定等)
第7条 事業者は、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第21条第五号の室について、2月以内ごとに1回、定期に、次の事項を測定しなければならない。ただし、当該測定を行おうとする日の属する年の前年1年間において、当該室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40パーセント以上70パーセント以下である状況が継続し、かつ、当該測定を行おうとする日の属する1年間において、引き続き当該状況が継続しないおそれがない場合には、第二号及び第三号に掲げる事項については、3月から5月までの期間又は9月から11月までの期間、6月から8月までの期間及び12月から2月までの期間ごとに1回の測定とすることができる。
一 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率
二 室温及び外気温
三 相対湿度
2 (略)
(4)正しい。「メタノールを用いて精密機器の洗浄業務を行う屋内作業場」は安衛令第 21 条及び有機則第 28 条第1項により測定対象となる。そして、有機則第 28 条第2項により「6月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない」とされている。
なお、有機則第 28 条第1項の「第三条第一項の場合における同項の業務」とは許容消費量による例外規定であるので、本問では考慮する必要はない。
【労働安全衛生法
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~九 (略)
十 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場
別表第6の2 有機溶剤(第六条、第二十一条、第二十二条関係)
一~四十一 (略)
四十二 メタノール
四十三~五十五 (略)
【有機溶剤中毒予防規則】
(定義等)
第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~五 (略)
六 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。
イ~ト (略)
チ 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務
リ~ヲ (略)
2 (略)
(測定)
第28条 令第21条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務とする。
2 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
3 (略)
(5)正しい。「鉛ライニングの業務を行う屋内作業場」は、安衛令第 21 条第8号の規定により測定対象となる(別表第4第七号)。そして、鉛則第 52 条の規定により「一年以内ごとに一回、定期に、空気中における鉛の濃度を測定しなければならない」とされている。
【労働安全衛生法
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一~七 (略)
八 別表第四第一号から第八号まで、第十号又は第十六号に掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。)を行う屋内作業場
十 (略)
別表第4 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)
一~六 (略)
七 鉛ライニングの業務(仕上げの業務を含む。)
八~十八 (略)
【鉛中毒予防規則】
(測定)
第52条 事業者は、令第21条第八号に掲げる屋内作業場について、1年以内ごとに1回、定期に、空気中における鉛の濃度を測定しなければならない。
2 (略)