労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生関係法令 問11

特別教育の対象となる業務




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 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問11 難易度 特別教育の対象となる業務は、衛生関係ではそれほど数は多くない。やや難度は高いが正答したい。
特別教育の対象業務

問11 事業者が、有害な業務に労働者を就かせるときに、労働安全衛生法令で定められた特別教育を行わなければならないものに該当しないものは次のうちどれか。

(1)有機溶剤等を用いて行う洗浄の作業に係る業務

(2)圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室において行う作業に係る業務

(3)地下に敷設されるケーブルを収容するための暗きょの内部における作業に係る業務

(4)屋内の、粉状の酸化チタンを袋詰めする場所における作業に係る業務

(5)石綿等が使用されている建築物の解体等の作業に係る業務

正答(1)

【解説】

労働安全衛生法第59条第3項の規定による特別教育を実施するべき業務は、安衛則第36条に定められている。また、詳細な規定が、各特別規則に定められている場合がある。

(1)該当しない。有機則に、「有機溶剤等を用いて行う洗浄の作業に係る業務」について特別教育を行わなければならないとは定められていない。

なお、有機溶剤や特定化学物質関連で、「特別教育が必要である」という設問があったら、とりあえず「誤」としてよい。

(2)該当する。高圧則第11条第1項(第六号)。なお、同号の「高圧室内業務」の定義は同規則第1条の2第二号に定められており、安衛令第6条第1号の「高圧室内作業(潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシヤフトの内部において行う作業に限る。)」にかかる業務とされている。

【労働安全衛生法

(安全衛生教育)

第59条 (略)

 (略)

 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6 (略)

 高圧室内作業(潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシヤフトの内部において行う作業に限る。)

二~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(特別教育を必要とする業務)

第36条 法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。

一~二十四 (略)

二十四の二 高圧室内作業に係る業務

二十五~四十一 (略)

【高気圧作業安全衛生規則】

(定義)

第1条の2 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 (略)

 高圧室内業務 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)第六条第一号の高圧室内作業に係る業務をいう。

三~六 (略)

(特別の教育)

第11条 事業者は、次の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、当該業務に関する特別の教育を行わなければならない

一~五 (略)

 高圧室内業務

 (略)

(3)該当する。安衛則36条(第二十六号)の規定により「令別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業」に係る業務に労働者をつかせるときは、特別教育を行わなければならない。

そして、「地下に敷設される物を収容するための暗きよ」は安衛令別表第6第3号により酸素欠乏危険場所とされている。

【労働安全衛生法施行令】

別表第6 酸素欠乏危険場所(第六条、第二十一条関係)

一及び二 (略)

 ケーブル、ガス管その他地下に敷設される物を収容するための暗きよ、マンホール又はピツトの内部

三の二~十二 (略)

【労働安全衛生規則】

(特別教育を必要とする業務)

第36条 法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。

一~二十五 (略)

二十六 令別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所における作業に係る業務

二十七~四十一 (略)

【酸素欠乏症等防止規則】

(定義)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 酸素欠乏危険作業 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所(以下「酸素欠乏危険場所」という。)における作業をいう。

 第一種酸素欠乏危険作業 酸素欠乏危険作業のうち、第二種酸素欠乏危険作業以外の作業をいう。

 第二種酸素欠乏危険作業 酸素欠乏危険場所のうち、令別表第六第三号の三、第九号又は第十二号に掲げる酸素欠乏危険場所(同号に掲げる場所にあつては、酸素欠乏症にかかるおそれ及び硫化水素中毒にかかるおそれのある場所として厚生労働大臣が定める場所に限る。)における作業をいう。

(特別の教育)

第12条 事業者は、第一種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について特別の教育を行わなければならない

一~五 (略)

 前項の規定は、第二種酸素欠乏危険作業に係る業務について準用する。この場合において、同項第一号中「酸素欠乏」とあるのは「酸素欠乏等」と、同項第二号及び第五号中「酸素欠乏症」とあるのは「酸素欠乏症等」と読み替えるものとする。

 (略)

(4)該当する。安衛則第36条(第29号)の規定により、粉じん規則第2条第1項第三号の特定粉じん作業は特別教育の対象となる。そして、粉じん則第2条第1項第三号により特定粉じん作業とは、「粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源であるものをいう」とされている。そして、特定粉じん発生源とは、同条第二号により同規則別表第2に掲げる箇所とされている。

「屋内の、粉状の酸化チタンを袋詰めする場所」は同別表第2第九号に該当する。本肢には「常時」という用語がないのでやや疑問はあるが、(1)が明らかに該当しないので、本肢は該当するとしておく。

【労働安全衛生規則】

(特別教育を必要とする業務)

第36条 法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。

一~二十八の五 (略)

二十九 粉じん障害防止規則(昭和五十四年労働省令第十八号。以下「粉じん則」という。)第二条第一項第三号の特定粉じん作業(設備による注水又は注油をしながら行う粉じん則第三条各号に掲げる作業に該当するものを除く。)に係る業務

三十~四十一 (略)

【粉じん障害防止規則】

(定義等)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 (略)

 特定粉じん発生源 別表第二に掲げる箇所をいう。

 特定粉じん作業 粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源であるものをいう。

2~6 (略)

(特別の教育)

第22条 事業者は、常時特定粉じん作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について特別の教育を行わなければならない

一~五 (略)

 (略)

別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)

一~八 (略)

 別表第一第九号又は第十号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料、炭素製品、アルミニウム若しくは酸化チタンを袋詰めする箇所

十~十五 (略)

(5)該当する。安衛則第36条(第三十七号)の規定により、石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に労働者を就かせるときは特別教育を行わなければならない。

そして、「石綿使用建築物等解体等作業に係る業務」とは、同規則第4条第1項によれば、「石綿等が使用されている解体等対象建築物等(前条第四項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなされるものを含む。)の解体等の作業」とされている。

【労働安全衛生規則】

(特別教育を必要とする業務)

第36条 法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。

一~三十六 (略)

三十七 石綿障害予防規則(平成十七年厚生労働省令第二十一号。以下「石綿則」という。)第四条第一項各号に掲げる作業に係る業務

三十八~四十一 (略)

【石綿障害予防規則】

(作業計画)

(作業計画)

第4条 事業者は、石綿等が使用されている解体等対象建築物等(前条第四項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなされるものを含む。)の解体等の作業(以下「石綿使用建築物等解体等作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、作業計画を定め、かつ、当該作業計画により石綿使用建築物等解体等作業を行わなければならない。

2及び3 (略)

(特別の教育)

第27条 事業者は、石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、当該業務に関する衛生のための特別の教育を行わなければならない

一~五 (略)

 (略)

2019年11月30日執筆 2021年12月23日最終修正