労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生関係法令 問10

構造規格の対象となるもの




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 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問10 難易度 かなり基本的な問題である。確実に正答しなければならない問題である。
構造規格の対象

問10 次のイ~ニの機械等について、労働安全衛生法令上、厚生労働大臣が定める規格を具備すべきものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 電動ファン付き呼吸用保護具

ロ 高圧室内業務を行うときに設置する再圧室

ハ 硫化水素用防毒マスク

ニ 消費電力250Wの電動モーターを動力源とするチェーンソー

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)ロ   ハ

(4)ロ   ニ

(5)ハ   ニ

正答(1)

【解説】

厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等の範囲は、安衛法第42条により定められている。この条文はきわめて分かりにくいが、判りやすく言い替えると、安衛法別表第2に掲げるもの及び政令(安衛令第13条第3項)に定めるものとされているのである。

以下により、(1)が正答となる。

イ 対象となる。安衛法別表第2第十六号

ロ 対象となる。安衛令第13条第3項第二十号

ハ 対象とならない(※)

ニ 対象とならない。安衛令第13条第3項第二十九号のチェーンソーは内燃機関を内蔵するものに限られている。

 安衛法別表第2第9号に「防毒マスク」が掲げられているので、「防毒マスク」はすべて「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等」になるように思えるが、安衛令第13条第5項が、安衛法別表第2そのものを限定するという、非常に分かりにくい規定となっている。

そして、安衛令第13条第5項は、安衛法別表第2第9号に掲げる「防毒マスク」は、「ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの」に限られるとしている。そしてこの規定を受けて、安衛則第26条は、「その他厚生労働省令で定めるもの」を一酸化炭素用防毒マスク、アンモニア用防毒マスク及び亜硫酸ガス用防毒マスクと定めている。

従って「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき」防毒マスクは以下のものに限定されることとなる。

① ハロゲンガス用防毒マスク

② 有機ガス用防毒マスク

③ 一酸化炭素用防毒マスク

④ アンモニア用防毒マスク

⑤ 亜硫酸ガス用防毒マスク

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

別表第2 別表第二(第四十二条関係)

一~八 (略)

 防毒マスク

十~十五 (略)

十六 電動ファン付き呼吸用保護具

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (略)

 (略)

 法第四十二条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~十九 (略)

二十 再圧室

二十一~二十八 (略)

二十九 チエーンソー(内燃機関を内蔵するものであって、排気量が四十立方センチメートル以上のものに限る。)

三十~三十四 (略)

 (略)

 次の表の上欄に掲げる機械等には、それぞれ同表の下欄に掲げる機械等を含まないものとする。

(略) (略)
法別表第二第九号に掲げる防毒マスク ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒マスク
(略) (略)

【労働安全衛生規則】

(規格を具備すべき防毒マスク)

第26条 令第13条第5項の厚生労働省令で定める防毒マスクは、次のとおりとする。

 一酸化炭素用防毒マスク

 アンモニア用防毒マスク

 亜硫酸ガス用防毒マスク

2019年11月30日執筆