労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生関係法令 問07

安衛法に基づく健康診断




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合格

 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問07 難易度 健康診断の規定の中でも基本的な問題である。確実に正答できなければならない。
健康診断

問7 労働安全衛生規則(以下「規則」という。)に基づく健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、雇入時の健康診断とは規則第43条による健康診断を、定期健康診断とは規則第44条による健康診断をいう。

(1)事業者は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、雇入時の健康診断及び定期健康診断の項目中、肝機能検査その他所定の項目を省略することができる。

(2)事業者は、弗化水素のガスを発散する場所における業務に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6か月以内ごとに1回、定期に、歯科医師による健康診断を行わなければならない。

(3)事業者は、労働者を本邦外の地域に6か月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、所定の項目について、医師による健康診断(海外派遣労働者の健康診断)を行わなければならない。

(4)事業者は、定期健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

(5)常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断を行ったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。安衛則第 43 条の雇入れ時の健康診断には、同規則第 44 条第2項のような、本肢にいう省略の規定はない。最初のときは、その労働者の健康状態について分かるはずがないのだから、すべて検査しろということである。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生規則】

雇入時の健康診断

第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

一~六 (略)

 肝機能検査

八~十一 (略)

定期健康診断

第44条 事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

一~十一 (略)

 第1項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる

3及び4 (略)

(2)正しい。安衛法第 66 条第3項、安衛令第 22 条第3項及び安衛則第 48 条により、弗化水素のガスを発散する場所における業務に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6か月以内ごとに1回、定期に、歯科医師による健康診断を行わなければならない。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 (第1項及び第2項 略)

 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

4及び5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(健康診断を行うべき有害な業務)

第22条 (第1項及び第2項 略)

 法第66条第3項の政令で定める有害な業務は、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務とする。

【労働安全衛生規則】

(歯科医師による健康診断)

第48条 事業者は、令第22条第3項の業務に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6月以内ごとに1回、定期に、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

(3)正しい。安衛則第 45 条の2の通りである。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生規則】

(海外派遣労働者の健康診断)

第45条の2 事業者は、労働者を本邦外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

2~4 (略)

(4)正しい。安衛法第 66 条の6により、事業者は定期健康診断の結果を労働者に通知しなければならず、定期健康診断結果の通知は安衛則第 51 条の4により遅滞なく行わなければならない。

【労働安全衛生法】

(健康診断の結果の通知)

第66条の6 事業者は、第66条第1項から第4項までの規定により行う健康診断を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

【労働安全衛生規則】

(健康診断の結果の通知)

第51条の4 事業者は、法第66条第4項又は第43条、第44条若しくは第45条から第48条までの健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

(5)正しい。安衛法第100条、安衛則第52条。

【労働安全衛生法】

(報告等)

第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

2及び3 (略)

【労働安全衛生規則】

(健康診断結果報告)

第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条又は第45条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない

 事業者は、第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(様式第六号の二)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

※ 本条は、本問出題当時は以下のようになっていた。2022年10月1日施行の改正により現在は上記のようになっているが、本問の正誤とは関係がない。なお、本条は、2025年4月1日に再び改正される。

(健康診断結果報告)

第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条、第45条又は第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行なつたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

2019年11月30日執筆 2024年11月10日法令改正への対応のため改訂