労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生関係法令 問04

高気圧作業安全衛生規則




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合格

 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問04 難易度 かなり細かい条文問題である。難易度は高いだろう
高気圧作業安全衛生規則

問4 高気圧作業安全衛生規則に定める作業室及び気こう室におけるガス分圧の制限に関する次の文中の A  C に入る数値又は気体名の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

作業室及び気こう室における次に掲げる気体の分圧がそれぞれに定める分圧の範囲に収まるように、作業室又は気こう室への送気、換気その他の必要な措置を講じなければならない。

1 酸 素   18キロパスカル以上 A キロパスカル以下(ただし、気こう室において高圧室内作業者に減圧を行う場合にあっては、18キロパスカル以上220キロパスカル以下とする。)

2 窒 素    B キロパスカル以下

3  C    0.5キロパスカル以下

(1) 80 800 ヘリウム
(2) 80 600 アルゴン
(3) 160 600 アルゴン
(4) 160 400 炭酸ガス
(5) 200 400 炭酸ガス

正答(4)

【解説】

高圧則第15条により、 A には160、 B には400、 C には炭酸ガスが入る。

従って、(4)が正答となる。

おそらくほとんどの受験生はこのような条文は知らないと思う。しかし、試験の現場で考えることで、ある程度絞り込むことはできるだろう。

潜水時に注意しなければならないことに窒素酔いがあることは覚えておこう。窒素酔いを避けるため、ヘリウムと酸素を混合したガスや、アルゴンと酸素を混合したガスが用いられることがある。すなわち、ヘリウムやアルゴンは不活性ガスであり、それほど分圧を下げる必要はない。一方、炭酸ガスは有害性があるガスである。そこで、 C には炭酸ガスが入ると気付かなければならない。

そうなると、酸素分圧が 160kPa か 200kPa かの2択となる。160kPa は(3)と(4)で選択肢が2個あるが、200kPa は(5)の1個だけである。そこで試験官が受験者を迷わすために正しい用語を増やしたのではないかと考えて(4)を選ぶと結果的に正答できたわけである。やや邪道であり、常に成功するとは限らないが・・・。

【高気圧作業安全衛生規則】

(ガス分圧の制限)

第15条 事業者は、酸素、窒素又は炭酸ガスによる高圧室内作業者の健康障害を防止するため、作業室及び気こう室における次の各号に掲げる気体の分圧がそれぞれ当該各号に定める分圧の範囲に収まるように、作業室又は気こう室への送気、換気その他の必要な措置を講じなければならない。

 酸素 18キロパスカル以上160キロパスカル以下(ただし、気こう室において高圧室内作業者に減圧を行う場合にあつては、18キロパスカル以上220キロパスカル以下とする。)

 窒素 400キロパスカル以下

 炭酸ガス 0.5キロパスカル以下

 (略)

※ 高圧則第 15 条は、本問出題当時には第2項がなかった。本問の正誤とは関係がないが、現在は、改正により第2項が新設されて請負人等の安全に関して規定されている。

2019年11月28日執筆 2024年11月10日法令改正に対応