労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生一般 問27

労働災害の統計分析の基本的モデル




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 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問27 難易度 労働災害統計に関する思考問題である。よく考えれば正答できる。落としたくない問題である。
労働災害統計分析

問27 下図は、厚生労働省の労働災害の統計分析の「事故の型および起因物分類」における、災害の発生を物と人との接触としてとらえた基本的モデルを示すものである。この基本的モデルの(  )内のA~Dに当てはまる語句に関して、A及びDに当てはまる語句として、適切なものの組み合わせは(1)~(5)のうちどれか。

(1) 起因物 不安全な状態
(2) 起因物 不安全な行動
(3) 不安全な行動 加害物
(4) 不安全な状態 起因物
(5) 不安全な状態 加害物

正答(5)

【解説】

本問の図の原典は明確ではないが、陸災防のサイトの労働災害統計用語の基礎知識に同じ図が掲載されている。厚労省のサイトを探してみたが見つけることはできなかったので、陸災防のオリジナルかもしれない。

ただ、この図を知らなくとも正答することは可能である。選択肢を見ると用語は4種類である。たぶん、A ~ D にはこれらがすべて入るのではないかと想像がつくだろう。そうなると C と D は「物」とされているので、「加害物」と「起因物」のどちらかである。そして、残る A と B は「不安全な状態」と「不安全な行動」のどちらかである。

そこまで分かれば、C と D では、矢印の向きからも、また「現象災害」に近いことからも D が「加害物」だろうと想像はつく(※)。そうなると、それの原因となった C が「起因物」だと分かる。

※ 「加害物」とは、被災者に加害したものであり、例えば足場から落ちて鉄骨に激突した災害では加害物は鉄骨である。また、「起因物」とは、災害の原因となった物であり、この例では足場が起因物ということになる。

また、A と B では、物に近い A が「不安全な状態」で、人に近い B が「不安全な行動」だと分かるだろう。

従って、正解は(5)だと分かる。「加害物」と「起因物」の意味さえ知っていれば正答できる問題である。

2019年12月08日執筆