労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生一般 問21

GHS




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合格

 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問21 難易度 GHSは極めて重要な分野である。確実に正答したい問題である。
GHS(全般)

問21 「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)GHSでは、国際的に統一された方法で化学品の危険有害性を分類する。

(2)GHSは、化学品の危険有害性に関する情報を、それを取り扱う全ての人々に正確に伝えることによって、人の安全・健康及び環境の保護を行うことを目的とする。

(3)物理化学的危険性、健康に対する有害性及び環境に対する有害性に関して危険有害性クラスが設定されており、それぞれの危険有害性クラスについて危険有害性区分の分類基準が定められている。

(4)環境に対する有害性に関する危険有害性クラスには、陸生環境有害性及びオゾン層への有害性の2つがある。

(5)GHSによる化学品の危険有害性の情報伝達の方法には、ラベル及び安全データシート(SDS)がある。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。職場の安全サイト「GHS」には、「GHSは化学品の危険有害性を世界的に統一された一定の基準に従って分類」するとされている。

GHSでは、物質または混合物の固有な危険有害性のみに着目していることを示すために、「危険有害性の分類」という語を用いている。①物質または混合物についての関連するデータの特定、②物質または混合物のもつ危険有害性を確認する目的でのそのデータの検討、③合意された危険有害性の分類基準とデータとの比較検討に基づく、物質または混合物の該当する危険有害性クラスおよび区分についての決定という手順を取る。

なお、「化学品」とはGHS分野で用いられる用語であり、「物質(自然状態にあるか、または任意の製造過程において得られる化学元素およびその化合物)及び混合物(複数の物質で構成される反応を起こさない混合物または溶液)」をいう。安衛法の化学物質とは「元素及び化合物」であるから、異なる概念である。

(2)正しい。「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)(改訂6版)」の1.1.2.5の要素1には「GHSの対象者には、消費者、労働者、輸送担当者、緊急時対応職員が含まれる」とされている。

なお、安衛法の文書交付及び表示の対象は労働者であるが、運送業者の労働者は含まれていない。

(3)正しい。危険有害性クラスとは、例えば「急性毒性」や「発がん性」などである。また、危険有害性区分とは、例えば「発がん性物質」であれば「区分1」(細区分「区分1A」及び「区分1B」)、「区分2」のことである。なお、「区分外」は厳密には「区分」ではなく、「区分できない」についてはGHSには定められていない。

これらのクラスごとに危険有害性区分(例えば「発がん性物質」であれば「区分1」(細区分「区分1A」及び「区分1B」)、「区分2」)の分類基準が定められている。

(4)誤り。環境に対する有害性に関する危険有害性クラスには、「水生環境有害性」と「オゾン層への有害性」の2つがある。

(5)正しい。なお、安衛法ではラベルは「表示」(安衛法第57条)、SDSは「文書」(安衛法第57条の2)と規定されている。

2019年12月08日執筆