問17 作業環境評価基準に基づく有害物質の作業環境測定の結果の評価などに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)管理濃度とは、その濃度以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康障害を起こすことのない濃度をいう。
(2)第1評価値及び第2評価値は、測定値の幾何平均値以上の値になる。
(3)作業環境測定の評価が第2管理区分であったので、当該単位作業場所の作業環境管理に問題はないと判断した。
(4)第2評価値が管理濃度を上回っていても、第3管理区分になるとは限らない。
(5)B測定の測定値が管理濃度を超えている単位作業場所は、A測定の結果に関係なく第3管理区分に区分される。
このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2019年度(令和元年度) | 問17 | 難易度 | 作業環境測定の結果の評価は必須事項。効率的に得点できる分野である。 |
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作業環境測定結果の評価 | 1 |
問17 作業環境評価基準に基づく有害物質の作業環境測定の結果の評価などに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)管理濃度とは、その濃度以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康障害を起こすことのない濃度をいう。
(2)第1評価値及び第2評価値は、測定値の幾何平均値以上の値になる。
(3)作業環境測定の評価が第2管理区分であったので、当該単位作業場所の作業環境管理に問題はないと判断した。
(4)第2評価値が管理濃度を上回っていても、第3管理区分になるとは限らない。
(5)B測定の測定値が管理濃度を超えている単位作業場所は、A測定の結果に関係なく第3管理区分に区分される。
正答(2)
【解説】
(1)誤り。管理濃度とは、「作業環境管理を進める上で、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、作業環境測定基準に従って実施した作業環境測定の結果から作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標」
(※)である。
本肢の説明は、職業ばく露限界に関するものである。現実には、管理濃度は職業ばく露限界値(日本産業衛生学会の許容濃度、ACGIHのTLV-TWAなど)を参考にして決められることが多く、実質的には本肢は正しいと言ってよいのだが、定義は異なる。
※ 厚生労働省職場のあんぜんサイト安全衛生キーワード「管理濃度」より。
(2)正しい。1日で測定を行った場合を例に挙げると、第1評価値と第2評価値は、作業環境評価基準第3条第1項の規定によって算出する。そして、第1評価値EA1、及び第2評価値EA2は同項により次式によって算出する。
ここに、M1はA測定の測定値の幾何平均値である。
(3)誤り。作業環境測定の評価が第2管理区分のときは、施設、設備、作業工程または作業方法の点検を行い、その結果に基づき、作業環境を改善するために必要な措置を講ずるよう努める必要がある。
(4)誤り。第2評価値が管理濃度を上回っていれば、B測定の結果にかかわらず第3管理区分になる。
A測定 | X<A2 | ①第3管理区分 | ④第3管理区分 | ⑦第3管理区分 |
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A2≦X≦A1 | ②第2管理区分 | ⑤第2管理区分 | ⑧第3管理区分 | |
A1<X | ③第1管理区分 | ⑥第2管理区分 | ⑨第3管理区分 | |
A1:第1評価値、A2:第2評価値 B:B測定結果、X:管理濃度 |
B<X | X≦B≦1.5X | 1.5X<B | |
B測定 |
(5)誤り。B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えている単位作業場所は、A測定の結果に関係なく第3管理区分に区分される。